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長き捜査線へ
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残る手掛かりは、現場から無くなったバイクにある。何処へ運ばれたのか、今も尚、盗んだ犯人はそれを乗っているのだろうか。
幸い、東京のセントラルシティの彼方此方には、定点カメラが設置されている。その上、常に警備用のドローンが上空から目を光らせている。その全てを調べれば、どれかにはバイクの姿が映っている筈だ。
明庵はすぐに警察へ連絡を取ろうとしたが、彼の手はスマートフォンの前で止まってしまう。
「・・・俺じゃ駄目か・・・」
警察関係者の間でも、明庵は厄介者として扱われている。捜査の段階で現場に勝手に入ったり、勝手な聴取で捜査を妨げたりと、思い立ったら行動に移してしまう彼は、次第に警察の協力を得るのも難しくなってしまった。
病院内のエレベーターが一階につき、ロビーを歩きながらメインゲートへ向かう。警察に協力を仰げないのなら、ハッカーの知人に頼んで街のカメラのデータを見せてもらおうと、メッセージを作成する明庵。
そこへ、丁度明庵の後を追って病院へやって来た天羽雫と鉢合わせた。
「あっ、明庵さん」
「天羽か。丁度いいところに来てくれた。俺の代わりに警察へ掛け合ってくれないか?」
「現場から消えたバイクの件ですか?」
「話が早くて助かる。ここで話す内容じゃない、歩きながら話そう」
そう言って二人はメインゲートから出て病院を後にすると、サイレンの音が聞こえる夜の街へと消えていく。
直ぐに明庵は、街中にある定点カメラと警備ドローンの映像を確認させて貰えるよう、雫に警察へ掛け合ってもらえないかとお願いする。
すると雫は、現場で明庵がバイクのことを聞き回り、運転手の搬送された病院へ向かったのを聞き、いずれ明庵がバイクの所在を突き止めようとするのを予測し、既に警察へ手を回していたのだ。
「既に話は通しておきました。データは持ち出し厳禁なので、私と一緒に警察署の方へ来ていただきますがよろしいですか?」
「あぁ、助かる」
一言だけ明庵が返すと、不服そうに雫が彼の方を睨み、文句を垂れる。
「ここまでしてあげたのに、それだけですか?」
確かに自分の動きを想定し、先回りして準備を整えてくれたのは、彼と付き合いの長い雫だからこそできた事。彼女がいなければ、ここまでスムーズに調査を進めることは出来なかったし、正式に警察署でカメラの映像データを拝見することも出来なかった。
「ぁ・・・あぁ、すまない。お前にはいつも迷惑をかける。ありがとう」
意外にも素直に感謝の言葉が出て来たことに、雫は驚いた。いつもは適当にあしらわれるのだが、今回の一件はそれだけ明庵の追う“異変“に迫る内容なだけに、彼も彼女の助けなしには手を汚す覚悟もしていたということだろう。
「お・・・驚きました。こんなに素直にお礼を言うなんて・・・」
「ッ・・・!もういいだろ!さっさと警察署に行って映像を確認する。場合によっては泊まり込みになりそうだしな・・・」
僅かに動揺した明庵は、恥ずかしくなったのか早々に話題をすり替え、バイクの所在を探す為の意気込みを口にする。
バイクが何処へ向かったのか分からない以上、全てのカメラ映像を確かめる必要がある。それこそ数十台で済むような話ではない。街中の定点カメラと、今も尚映像を記録し続ける警備ドローンの映像全てだ。
「えぇ~・・・お家帰れないんですかぁ~?」
ガックリと肩を落とし、これから長期にわたる調査を思うと、一体何日間署内に監禁されるのかと、不満を露にする。
明庵は雫を連れ大通りに出ると、AIによる無人自動車両を止める。車に乗ると、モニターに表示された立体地図を拡大縮小させながら、警察署の場所をタップし目的地を設定する。
最後にモニターの前でスマートフォンの画面をかざして料金を支払うと、二人を乗せた車は入力された情報に従い、警察署へと向かい始める。
幸い、東京のセントラルシティの彼方此方には、定点カメラが設置されている。その上、常に警備用のドローンが上空から目を光らせている。その全てを調べれば、どれかにはバイクの姿が映っている筈だ。
明庵はすぐに警察へ連絡を取ろうとしたが、彼の手はスマートフォンの前で止まってしまう。
「・・・俺じゃ駄目か・・・」
警察関係者の間でも、明庵は厄介者として扱われている。捜査の段階で現場に勝手に入ったり、勝手な聴取で捜査を妨げたりと、思い立ったら行動に移してしまう彼は、次第に警察の協力を得るのも難しくなってしまった。
病院内のエレベーターが一階につき、ロビーを歩きながらメインゲートへ向かう。警察に協力を仰げないのなら、ハッカーの知人に頼んで街のカメラのデータを見せてもらおうと、メッセージを作成する明庵。
そこへ、丁度明庵の後を追って病院へやって来た天羽雫と鉢合わせた。
「あっ、明庵さん」
「天羽か。丁度いいところに来てくれた。俺の代わりに警察へ掛け合ってくれないか?」
「現場から消えたバイクの件ですか?」
「話が早くて助かる。ここで話す内容じゃない、歩きながら話そう」
そう言って二人はメインゲートから出て病院を後にすると、サイレンの音が聞こえる夜の街へと消えていく。
直ぐに明庵は、街中にある定点カメラと警備ドローンの映像を確認させて貰えるよう、雫に警察へ掛け合ってもらえないかとお願いする。
すると雫は、現場で明庵がバイクのことを聞き回り、運転手の搬送された病院へ向かったのを聞き、いずれ明庵がバイクの所在を突き止めようとするのを予測し、既に警察へ手を回していたのだ。
「既に話は通しておきました。データは持ち出し厳禁なので、私と一緒に警察署の方へ来ていただきますがよろしいですか?」
「あぁ、助かる」
一言だけ明庵が返すと、不服そうに雫が彼の方を睨み、文句を垂れる。
「ここまでしてあげたのに、それだけですか?」
確かに自分の動きを想定し、先回りして準備を整えてくれたのは、彼と付き合いの長い雫だからこそできた事。彼女がいなければ、ここまでスムーズに調査を進めることは出来なかったし、正式に警察署でカメラの映像データを拝見することも出来なかった。
「ぁ・・・あぁ、すまない。お前にはいつも迷惑をかける。ありがとう」
意外にも素直に感謝の言葉が出て来たことに、雫は驚いた。いつもは適当にあしらわれるのだが、今回の一件はそれだけ明庵の追う“異変“に迫る内容なだけに、彼も彼女の助けなしには手を汚す覚悟もしていたということだろう。
「お・・・驚きました。こんなに素直にお礼を言うなんて・・・」
「ッ・・・!もういいだろ!さっさと警察署に行って映像を確認する。場合によっては泊まり込みになりそうだしな・・・」
僅かに動揺した明庵は、恥ずかしくなったのか早々に話題をすり替え、バイクの所在を探す為の意気込みを口にする。
バイクが何処へ向かったのか分からない以上、全てのカメラ映像を確かめる必要がある。それこそ数十台で済むような話ではない。街中の定点カメラと、今も尚映像を記録し続ける警備ドローンの映像全てだ。
「えぇ~・・・お家帰れないんですかぁ~?」
ガックリと肩を落とし、これから長期にわたる調査を思うと、一体何日間署内に監禁されるのかと、不満を露にする。
明庵は雫を連れ大通りに出ると、AIによる無人自動車両を止める。車に乗ると、モニターに表示された立体地図を拡大縮小させながら、警察署の場所をタップし目的地を設定する。
最後にモニターの前でスマートフォンの画面をかざして料金を支払うと、二人を乗せた車は入力された情報に従い、警察署へと向かい始める。
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