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お手並み拝見
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小型のモンスターの進行をやり過ごす術はない。そこでシンは、新たに別のアイディアを思いつく。高速道路で、WoF内と同じようにスキルが撃てることは証明された。
「俺に考えがある」
「ほぅ?是非とも教えを乞いたいものだね。そんな方法があるなら、なんでもっと早くやらなかったのかね」
皮肉まじりにシンの考えを聞き出そうと促す朱影。だがシンが思い切れなかったのは、相手の情報量があまりにも少なかったからだ。しかし、今となっては朱影のおかげである程度相手の動き方が分かるようになってきた。
このタイミングで打ち明けたのは、今なら十分対処が可能だと判断したからだろう。
「俺達が汚水に浸かる必要はない。奴らに水中へ戻ってもらうんだ」
「アイツらを水の中に?どうやって・・・?近づけば俺達の居場所を感知され、何処までも追ってくるぞ。お前も追われてみれば分かるぞ、どんなにしつこいか・・・」
朱影のいう通り、小型のモンスターは陸だろうが壁だろうがお構いなく突き進んでくる。匂いの届く範囲に入れば、一目散に二人のところへ向かってくるだろう。
「俺のスキルは、影に物体を入れて移動させることが出来る。だがそれは、一度実際に肉眼で見たことのある場所に限られるが・・・」
「それで奴らをどっかに飛ばそうってのか?」
「地上まででは距離がある。それに蓋も閉めてきてしまったから、外に送り出すことは出来ない」
一度通ってきた道でも、遠くの場所や遮蔽物で阻まれてしまっていると、それを貫通させることは難しい。WoF内でシンが見せた壁抜けや床抜けは、近場であり尚且つ、薄い物で区切られた隣り合わせや直ぐ上下の空間であったから。
他のクラスやスキルでも言えることだが、距離や遮蔽物が間に多く広くあると、それだけスキルの効果や能力はそれに比例して、弱体化してしまう。シンのスキルも例外ではなく、遠く離れればマンホールの蓋すら通り抜けるのも難しくなる。
「だから水の中なんだ。匂いで追ってきているのなら、自ら汚水の臭いに塗れれば、こっちの匂いも一時的に分からなくなる筈・・・」
「その隙に俺が始末するって・・・そんなところか?」
黙って頷くシン。しかし水中に小型モンスターを移動させても、そこを狙い撃つのは簡単なことではないと伝える朱影。もちろんシンも、水の中に直接影を落とし込むつもりはなく、水面に近い壁に繋げ、なるべく音を立てないようにすると彼に伝えた。
「貫く方にも技術がいる・・・。大きな音は立てられない。なるべく細く鋭い一撃で倒していってもらいたい」
大型のモンスターに気付かれて仕舞えば、混戦状態となり小型モンスターが手に負えなくなってしまう。心配するシンに、朱影はそんな事にはならないと笑って答える。
「俺に言ってんのか?なら心配はいらねぇ。そんなヘマはしねぇからよ。気付かれず殺すのは俺達の十八番だろうが」
直ぐに準備に取り掛かるシンと朱影。小型モンスターの現在位置を確認したシンは、手を合わせ自身の影を通路に忍ばせる。幸いこれだけ暗ければ、いくらでも仕掛ける場所はある。
それにある程度の暗さがあれば、視覚で見極めるのも難しくなる。小型のモンスターに視力があるとは思えないが、可能性の芽は摘めるだけ摘んでおいて損はないだろう。
一方の朱影は、シンが指さした場所に狙いを定め、投擲に使うのであろう槍を準備し始める。それまで使っていた獲物とは違い、今度の槍は少し短めで細い物になっていた。
シンの言っていた、あまり音を立てずに確実に仕留められる槍を、彼なりに選別したのだろう。それを何本か出現させ、壁に立てかけると手の周りでくるくると回し、シンが小型モンスターを移動させるのを待っていた。
そしてモンスターの足が、自身の影を忍ばせた影を踏んだ時、先頭を進んでいたモンスターは足場を失ったように影の中へ落下していった。それはあまりにも静かで一瞬の出来事。
後続のモンスター達が気づく間も無く、シンの影はモンスターを捉え、水路へと移動させた。影の濃い水路の縁付近から、先程の小型モンスターが姿を現す。
胴体が影から現れたその刹那。閃光のような一瞬の衝撃がモンスターを貫いた。と、同時に通路の影を踏もうとしていた後続のモンスターの一匹が、もの凄い速さで水路上の天井にくじ刺しになった。
朱影は今の一瞬で二段攻撃を仕掛けていたのだ。二本の槍を放ったのか、投擲の途中で分離したのかは分からないが、水路の縁に一匹目のモンスター。天井にもう一匹のモンスターを、シンに明言した通り限りなく小さな音で仕留めて見せたのだ。
「俺に考えがある」
「ほぅ?是非とも教えを乞いたいものだね。そんな方法があるなら、なんでもっと早くやらなかったのかね」
皮肉まじりにシンの考えを聞き出そうと促す朱影。だがシンが思い切れなかったのは、相手の情報量があまりにも少なかったからだ。しかし、今となっては朱影のおかげである程度相手の動き方が分かるようになってきた。
このタイミングで打ち明けたのは、今なら十分対処が可能だと判断したからだろう。
「俺達が汚水に浸かる必要はない。奴らに水中へ戻ってもらうんだ」
「アイツらを水の中に?どうやって・・・?近づけば俺達の居場所を感知され、何処までも追ってくるぞ。お前も追われてみれば分かるぞ、どんなにしつこいか・・・」
朱影のいう通り、小型のモンスターは陸だろうが壁だろうがお構いなく突き進んでくる。匂いの届く範囲に入れば、一目散に二人のところへ向かってくるだろう。
「俺のスキルは、影に物体を入れて移動させることが出来る。だがそれは、一度実際に肉眼で見たことのある場所に限られるが・・・」
「それで奴らをどっかに飛ばそうってのか?」
「地上まででは距離がある。それに蓋も閉めてきてしまったから、外に送り出すことは出来ない」
一度通ってきた道でも、遠くの場所や遮蔽物で阻まれてしまっていると、それを貫通させることは難しい。WoF内でシンが見せた壁抜けや床抜けは、近場であり尚且つ、薄い物で区切られた隣り合わせや直ぐ上下の空間であったから。
他のクラスやスキルでも言えることだが、距離や遮蔽物が間に多く広くあると、それだけスキルの効果や能力はそれに比例して、弱体化してしまう。シンのスキルも例外ではなく、遠く離れればマンホールの蓋すら通り抜けるのも難しくなる。
「だから水の中なんだ。匂いで追ってきているのなら、自ら汚水の臭いに塗れれば、こっちの匂いも一時的に分からなくなる筈・・・」
「その隙に俺が始末するって・・・そんなところか?」
黙って頷くシン。しかし水中に小型モンスターを移動させても、そこを狙い撃つのは簡単なことではないと伝える朱影。もちろんシンも、水の中に直接影を落とし込むつもりはなく、水面に近い壁に繋げ、なるべく音を立てないようにすると彼に伝えた。
「貫く方にも技術がいる・・・。大きな音は立てられない。なるべく細く鋭い一撃で倒していってもらいたい」
大型のモンスターに気付かれて仕舞えば、混戦状態となり小型モンスターが手に負えなくなってしまう。心配するシンに、朱影はそんな事にはならないと笑って答える。
「俺に言ってんのか?なら心配はいらねぇ。そんなヘマはしねぇからよ。気付かれず殺すのは俺達の十八番だろうが」
直ぐに準備に取り掛かるシンと朱影。小型モンスターの現在位置を確認したシンは、手を合わせ自身の影を通路に忍ばせる。幸いこれだけ暗ければ、いくらでも仕掛ける場所はある。
それにある程度の暗さがあれば、視覚で見極めるのも難しくなる。小型のモンスターに視力があるとは思えないが、可能性の芽は摘めるだけ摘んでおいて損はないだろう。
一方の朱影は、シンが指さした場所に狙いを定め、投擲に使うのであろう槍を準備し始める。それまで使っていた獲物とは違い、今度の槍は少し短めで細い物になっていた。
シンの言っていた、あまり音を立てずに確実に仕留められる槍を、彼なりに選別したのだろう。それを何本か出現させ、壁に立てかけると手の周りでくるくると回し、シンが小型モンスターを移動させるのを待っていた。
そしてモンスターの足が、自身の影を忍ばせた影を踏んだ時、先頭を進んでいたモンスターは足場を失ったように影の中へ落下していった。それはあまりにも静かで一瞬の出来事。
後続のモンスター達が気づく間も無く、シンの影はモンスターを捉え、水路へと移動させた。影の濃い水路の縁付近から、先程の小型モンスターが姿を現す。
胴体が影から現れたその刹那。閃光のような一瞬の衝撃がモンスターを貫いた。と、同時に通路の影を踏もうとしていた後続のモンスターの一匹が、もの凄い速さで水路上の天井にくじ刺しになった。
朱影は今の一瞬で二段攻撃を仕掛けていたのだ。二本の槍を放ったのか、投擲の途中で分離したのかは分からないが、水路の縁に一匹目のモンスター。天井にもう一匹のモンスターを、シンに明言した通り限りなく小さな音で仕留めて見せたのだ。
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