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起死回生の一手
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明かりの途絶えた暗闇の道路に、点々と燃え上がる炎が周囲を照らす。その先に小さな光で暗闇の中を照らし、道を切り開く一台の車があった。
それは宛ら、狩人に追われる小動物のようにか弱く小さい。その後ろからは、黒く硬い外殻に覆われた四足獣が数匹、獲物の後を追いかけていた。
アスファルトを擦るタイヤの音と、鋼が地を駆ける規則正しい音が響き渡り、バチバチと燃え上がる炎が彼らの姿を見送る。
一定のリズムを刻む時の流れは、一人の男にだけではなく他の者達の耳にも届くほどに近づいていた。即ち、爆弾の位置が近いことを示している。と、同時に彼らの命運を分ける瞬間が間近に迫っていうことを知らせているようでもあった。
二人の少年が車の窓から身を乗り出し、車体の上に乗り上がる。そして息を合わせるように頷いた二人は、屋根の縁を手で掴み足に力を込めて後ろに身体を傾け、その時を待った。
間も無くして、彼らの走る大きな道は一瞬にして大きな爆煙に包まれる。
爆発の衝撃に思わず身をかがめる慎。目を瞑り、頭を下げる直前に見た光景には、煙と炎の中へ突っ込んでいく中に、瓦礫がこちらへ飛んでくるのが一瞬だけ映っていた。
フロントガラスを突き破るのではないかという程の勢いで飛んで来た瓦礫は、車体に弾かれ後方へと流れるように飛んでいった。技術が進化したのは、何もプログラムやAIだけではない。車の強度も、見た目以上に頑丈になっていた。
一見では分からない技術の集大成が、彼の身を守ってくれたのだ。だが、車体の上の二人は違う。中にいる慎には、二人の様子を知る術はない。それどころか、自分の身の安全を考えることで精一杯だった。
道の先は黒煙で見えないが、間違いなく崩落している。瑜那はそのままアクセルを踏み続け、車を走らせろと言っていたが、とても正気とは思えない。このままでは間違いなく、底なしの地へと真っ逆さまになってしまう。
「ダメだッ!落ちるッ・・!!」
脳裏に過ったのは、少年が車内で見せた最後の表情だった。自身に満ち溢れたものではなかったが、不思議と信じようと思えるような微笑みに見えた。
どの道車を止めたところで、慎に追手を振り切る力はない。中途半端にブレーキをかければ、それこそ落下の運命に身を投じるのは必至。
ならば少なくとも、同じアサシンの仲間を信じて身を滅ぼした方が後味が良さそうだ。後はどうにでもなれと、右足を置いたアクセルを目を瞑りながら勢いよく踏み抜く。
車は飛んでくる瓦礫を跳ね除けながら黒煙の中を進み、そして遂にタイヤは道路から離れ宙を飛んだ。車内では慎の身体がシートベルトに抑えられるくらいに浮いていた。
間も無くして車の上から、何かが飛び出していくような音と衝撃があった。少年達が動き出したのだろう。だが、こんなに視界が塞がれた中で、彼らの狙っている作戦とやらが上手くいくのだろうか。
慎が覚悟を決め、瑜那に言われた通りアクセルを踏み抜き加速した頃、外に出た少年達は黒煙の中で移動すべきポイントを見据えていた。
「どうだ?瑜那。繋げそうなところはあったか!?」
「大丈夫、大方予想してた通りだね!爆弾は柱部分に取り付けられてたみたいだ。足場はある。それに車体の邪魔になるような物もない」
それを聞いた宵命は口角を上げて笑みを浮かべると、車体に両手をつく。すると彼の手から黒い影のようなものが広がり始めた。
それは宛ら、狩人に追われる小動物のようにか弱く小さい。その後ろからは、黒く硬い外殻に覆われた四足獣が数匹、獲物の後を追いかけていた。
アスファルトを擦るタイヤの音と、鋼が地を駆ける規則正しい音が響き渡り、バチバチと燃え上がる炎が彼らの姿を見送る。
一定のリズムを刻む時の流れは、一人の男にだけではなく他の者達の耳にも届くほどに近づいていた。即ち、爆弾の位置が近いことを示している。と、同時に彼らの命運を分ける瞬間が間近に迫っていうことを知らせているようでもあった。
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「ダメだッ!落ちるッ・・!!」
脳裏に過ったのは、少年が車内で見せた最後の表情だった。自身に満ち溢れたものではなかったが、不思議と信じようと思えるような微笑みに見えた。
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ならば少なくとも、同じアサシンの仲間を信じて身を滅ぼした方が後味が良さそうだ。後はどうにでもなれと、右足を置いたアクセルを目を瞑りながら勢いよく踏み抜く。
車は飛んでくる瓦礫を跳ね除けながら黒煙の中を進み、そして遂にタイヤは道路から離れ宙を飛んだ。車内では慎の身体がシートベルトに抑えられるくらいに浮いていた。
間も無くして車の上から、何かが飛び出していくような音と衝撃があった。少年達が動き出したのだろう。だが、こんなに視界が塞がれた中で、彼らの狙っている作戦とやらが上手くいくのだろうか。
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「どうだ?瑜那。繋げそうなところはあったか!?」
「大丈夫、大方予想してた通りだね!爆弾は柱部分に取り付けられてたみたいだ。足場はある。それに車体の邪魔になるような物もない」
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