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三つ巴の戦い
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再びキングの元へとやって来たハオランだったが、それまでの勢いを急に抑え始め、慎重な動きに変わる。彼の抵抗を警戒しているのだろうか。先程の罠を考えれば、他にも企てをしていると思うのが当然だろう。
だが、それさえもキングの狙いだったのだ。人間に限らず、多少知性のある生物であれば、一度罠に嵌められれば同じ罠に警戒すると言うのは自然なことだ。
それを利用し、ハオランが直ぐに仕掛けてこないように、疑いの目を向けさせていたのだった。キングの思惑は見事に的中し、ハオランは彼との距離を保ちつつ、前に出ることを躊躇っているようだった。
「どうしたぁ?追い抜かねぇのかよぉ~、ハオラン」
「言ってくれますね・・・。貴方の余裕を本物と見るか、それともハッタリと見るか・・・」
ハオランの言葉に舌を止めるキング。この後の展開がどちらに転ぼうと、今のキングに出来ることは限られている。先手は打った。後はハオランがどう動くかを見極めるだけ。キングは振り返ることもなくそのまま前進し続ける。
キングの出すカードに、ハオランが手をこまねくのを見ていたマクシム。このままハオランが手を出せずにいると、彼自身も前に行けず、時間が経てば経つほど追いつけなくなってしまう。
痺れを切らせたマクシムは、先程引率してくれた借りを返すべく、自ら身を挺してキングに追い付かんと迫って行った。速度を調整していたハオランの横を通り過ぎ、キングの攻撃範囲内へと突入していく。
「なッ・・・!?」
「これでさっきの借りはチャラってことで・・・!」
ハオランの警戒していた範囲に入るマクシムだったが、何も起こらなかった。しかしまだ油断はできない。単純に後方への罠ではなかっただけという可能性も十分に考えられる。
現に最初の罠にかかった時は、キングを追い抜き前に出たところに仕掛けられていたのだから。キングの後ろ姿からでは、何も情報を読み取ることが出来ない。後ろを気にする様子もない彼を見ていると、後方に絶対の安心感を持っているように思える。
しかしそれも、結局のところは受け取る側の感想でしかない。こちらが動かなければ、キングがそれを明かすことは無く、また状況が変わることも無い。
幸いハオランには、借りのあるマクシムがいる。覚悟を決めた彼の動向を伺ってからでも遅くはない。マクシムの様子を伺うハオランだったが、彼は何に襲われることもなく、遂にキングの元までたどり着いて見せたのだ。
「お前じゃ俺ちゃんは止めらんないよぉ~?腰巾着さぁ~ん」
「挑発のつもりかい?見え透いてるんだよなぁ、それ。でも今回は、その安い挑発に乗るしかなさそうだなッ・・・!」
そう言うとマクシムは、複数の糸をキングへ向けて伸ばす。彼はそれを華麗な操縦で躱し、水飛沫をバリケードのように張って打ち返す。
間髪入れずにボードの機能を利用し、海中へ放った鋼糸を気づかれないように差し向けるが、それを知ってか知らずか、キングは波を利用し飛び上がると、それを見事にやり過ごす。
予定通り、ハオラン以外の者には極力能力を使いたくないキングは、順調にマクシムの相手をしていた。
するとそこへ、後方から横槍が入る。突然の風を切る音に危険を察知したキングは、直ぐに体勢を低くしハンドルを思いっきり切る。
突然変わった行動を取り始めたキングに違和感を覚えたマクシムは、そこで漸く後方から迫る何かの気配に気がついた。が、その時には既に遅く、キングへの攻撃に意識を集中させていたマクシムは、彼を狙った攻撃に巻き込まれ直撃こそ避けられたものの、衝撃に巻き込まれ大きく体勢を崩し速度を落としてしまう。
「おいおいッ!人が身体を張ってやってやってるってのにッ・・・!」
「私が頼んだことではありません。それにこれは勝負の世界ですよ」
キングが自らの周辺に罠を仕掛けていないことを確認したハオランは、再び先頭争いに加わる。マクシムにとって非常に不利な展開になってしまったが、どう言うわけか能力を使わないキングであれば、相手に出来ない訳ではない。
最早ここまで来て新たな策を考えている時間も暇もない。このまま戦闘を続行する他ないと、マクシムは現状最も脅威であるハオランの方に重点を置きながら戦闘へ身を投じる。
三つ巴の戦いになり、注意すべき対象が増えたことでより慎重になるマクシムとハオラン。手数の減る二人に、今のうちと言わんばかりに先を走るキング。
その背中は不気味なほどに無防備だが、マクシムの糸はしっかり見えているように避ける。能力を使わずとも、ハオラン程ではないものの、戦闘センスの高いキング。そう簡単に落とせる砦ではない。
だがそんな彼でも、ハオランの攻撃だけには手を焼いているようだった。ハオランの攻撃に合わせてキングを狙えば、活路が開けるかもしれない。
マクシムは両者に悟られぬよう、慎重にタイミングを図り、キングの陥落を目論む。
だが、それさえもキングの狙いだったのだ。人間に限らず、多少知性のある生物であれば、一度罠に嵌められれば同じ罠に警戒すると言うのは自然なことだ。
それを利用し、ハオランが直ぐに仕掛けてこないように、疑いの目を向けさせていたのだった。キングの思惑は見事に的中し、ハオランは彼との距離を保ちつつ、前に出ることを躊躇っているようだった。
「どうしたぁ?追い抜かねぇのかよぉ~、ハオラン」
「言ってくれますね・・・。貴方の余裕を本物と見るか、それともハッタリと見るか・・・」
ハオランの言葉に舌を止めるキング。この後の展開がどちらに転ぼうと、今のキングに出来ることは限られている。先手は打った。後はハオランがどう動くかを見極めるだけ。キングは振り返ることもなくそのまま前進し続ける。
キングの出すカードに、ハオランが手をこまねくのを見ていたマクシム。このままハオランが手を出せずにいると、彼自身も前に行けず、時間が経てば経つほど追いつけなくなってしまう。
痺れを切らせたマクシムは、先程引率してくれた借りを返すべく、自ら身を挺してキングに追い付かんと迫って行った。速度を調整していたハオランの横を通り過ぎ、キングの攻撃範囲内へと突入していく。
「なッ・・・!?」
「これでさっきの借りはチャラってことで・・・!」
ハオランの警戒していた範囲に入るマクシムだったが、何も起こらなかった。しかしまだ油断はできない。単純に後方への罠ではなかっただけという可能性も十分に考えられる。
現に最初の罠にかかった時は、キングを追い抜き前に出たところに仕掛けられていたのだから。キングの後ろ姿からでは、何も情報を読み取ることが出来ない。後ろを気にする様子もない彼を見ていると、後方に絶対の安心感を持っているように思える。
しかしそれも、結局のところは受け取る側の感想でしかない。こちらが動かなければ、キングがそれを明かすことは無く、また状況が変わることも無い。
幸いハオランには、借りのあるマクシムがいる。覚悟を決めた彼の動向を伺ってからでも遅くはない。マクシムの様子を伺うハオランだったが、彼は何に襲われることもなく、遂にキングの元までたどり着いて見せたのだ。
「お前じゃ俺ちゃんは止めらんないよぉ~?腰巾着さぁ~ん」
「挑発のつもりかい?見え透いてるんだよなぁ、それ。でも今回は、その安い挑発に乗るしかなさそうだなッ・・・!」
そう言うとマクシムは、複数の糸をキングへ向けて伸ばす。彼はそれを華麗な操縦で躱し、水飛沫をバリケードのように張って打ち返す。
間髪入れずにボードの機能を利用し、海中へ放った鋼糸を気づかれないように差し向けるが、それを知ってか知らずか、キングは波を利用し飛び上がると、それを見事にやり過ごす。
予定通り、ハオラン以外の者には極力能力を使いたくないキングは、順調にマクシムの相手をしていた。
するとそこへ、後方から横槍が入る。突然の風を切る音に危険を察知したキングは、直ぐに体勢を低くしハンドルを思いっきり切る。
突然変わった行動を取り始めたキングに違和感を覚えたマクシムは、そこで漸く後方から迫る何かの気配に気がついた。が、その時には既に遅く、キングへの攻撃に意識を集中させていたマクシムは、彼を狙った攻撃に巻き込まれ直撃こそ避けられたものの、衝撃に巻き込まれ大きく体勢を崩し速度を落としてしまう。
「おいおいッ!人が身体を張ってやってやってるってのにッ・・・!」
「私が頼んだことではありません。それにこれは勝負の世界ですよ」
キングが自らの周辺に罠を仕掛けていないことを確認したハオランは、再び先頭争いに加わる。マクシムにとって非常に不利な展開になってしまったが、どう言うわけか能力を使わないキングであれば、相手に出来ない訳ではない。
最早ここまで来て新たな策を考えている時間も暇もない。このまま戦闘を続行する他ないと、マクシムは現状最も脅威であるハオランの方に重点を置きながら戦闘へ身を投じる。
三つ巴の戦いになり、注意すべき対象が増えたことでより慎重になるマクシムとハオラン。手数の減る二人に、今のうちと言わんばかりに先を走るキング。
その背中は不気味なほどに無防備だが、マクシムの糸はしっかり見えているように避ける。能力を使わずとも、ハオラン程ではないものの、戦闘センスの高いキング。そう簡単に落とせる砦ではない。
だがそんな彼でも、ハオランの攻撃だけには手を焼いているようだった。ハオランの攻撃に合わせてキングを狙えば、活路が開けるかもしれない。
マクシムは両者に悟られぬよう、慎重にタイミングを図り、キングの陥落を目論む。
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