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リヴァイアサン討伐
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それぞれの思いをその背に受け、ハオランはリヴァイアサンの頭部へと到着する。水の道は更に上空まで続いていたが、彼はその終着点まで乗り合わせることはせず、目的地が見え次第勢いよく飛び出し、少しでも時間を短縮しようとしていたのだ。
リヴァイアサンの攻撃も、本体に乗りさえすれば飛んで来ることはない。頭部に飛び移る直前までの、嵐のような魔法の攻撃が嘘のようだった。しかもこれは、嵐の前の静けさという訳ではない。
何せ今回の登頂は、長きに渡るこの戦いに終止符を打つためのものだからだ。そしてそのタイミングは、全てハオラン自身に委ねられている。何を気にする必要もない。
炎を身に宿したハオランの到着を目撃した三大海賊の船長達は、各々の役割を更に確実なものとするため、力を入れる。そして、頭部を撃ち抜くためのレールガンは、いつでもその時を迎え入れる準備は出来ていると言わんばかりに、バチバチと光を放っている。
見えていても、それを止められるだけの攻撃や行動をリヴァイアサンに許す者は、この場には誰一人いない。暴れようとする力は増すものの、それを押さえ付けるキングの能力も、これが最後というように増している。
彼のおかげで、大きく暴れることの出来ないリヴァイアサンの頭上で、今が戦いの最中であるとは思えないほど深く深呼吸をするハオラン。
そして、瓦割りのよう足を開き拳を構える。これだけ力を溜め込める猶予が与えられ、貫通力ではなく単純な打撃力と衝撃の範囲を上げる技を選ぶ。ハオランの一撃は、もし全力を出せばリヴァイアサンの大きな身体を貫通させられるだけの破壊力を持つ。
だが当然、範囲は狭くリヴァイアサンの巨体からすれば針で貫通させられた程度の穴にしかならない。ハオランが巨獣の頭部に来たのは、頭を撃ち抜くためではなく、あくまでも頭部を海面に下げさせるのが目的。
鋭さや破壊力ではなく、押し込めるだけの衝撃力。その力が溜まり切るまで、それ程時間は掛からなかった。全ての準備が整い、そして光に包まれたハオランの拳がトールの戦鎚のようにリヴァイアサンの頭上に撃ち落とされる。
まるで巨大な爆発が起きたかのような衝撃波が周囲に広がる。同時にリヴァイアサンの頭部がガクッと落ち、海面付近にまで倒れ込む。
衝撃を受けたキングは、そのまま深い海中へと落ちていったが、シンから強奪したボードにより彼の能力を反映させることで、すぐにその場を後にっするように海中を浮上しながら駆け抜けて行った。
ハオランによっと撃ち落とされた頭部は、見事エイヴリー海賊団が構えるレールガンの射線上に現れる。エイヴリーの勇ましい号令と共に発射の合図が出され、溜め込んでいたエネルギーを吐き出すように撃ち出すレールガン。
雷撃は刹那をかける龍のようにリヴァイアサンの頭部を食う。一瞬の内に頭部を失ったリヴァイアサン。各海域で荒波や海流を引き起こしていた身体の動きがエンジンを止められたように止まる。
宙を舞っていた魔法によって作られた水球は、ただの雫へと変わり海へと帰る。動きを失ったリヴァイアサンの身体は、そのままゆっくりと海中に引き摺り込まれるようにして沈んでいく。
そして水深の深い部分から大量の泡を発生させながら消滅していくのを、海賊達は目の当たりにした。
レースに起きた異常なまでの苦戦を強いたレイド戦。その戦いは遂に終わりを告げた。
辺りを覆っていた暗雲は梅雨へと消えるようになくなり、彼ら人間達の勝利を祝福するような清々しい太陽の光が降り注がれた。あまりにも神々しいその光景に、その場にいた誰もが呆気に取られるように動きを止める。
そして暫くの沈黙を経て、海賊達の待機を震わせるほどの歓喜の声が響き渡った。
歓声に沸く中、ハオランの渾身の一撃で生じた衝撃波で、水の道を飛ばされたシンは、水の道の維持を必要としなくなったウンディーネの力を借り、大きな水の雫に乗りながらゆっくりと下降していた。
「終わったのか・・・?」
「えぇ、もうあの魔物の魔力は感じないわ」
「本当にあんなものを倒したのか・・・」
緊張から強張っていた身体の力が抜けるシン。得体の知れない力により弱体化していたとはいえ、よくぞあれだけのものを退けたと感心するウンディーネを尻目に、折角の高所から辺りの様子を眺める。
ふと、消えゆくリヴァイアサンの身体に視線を送ると、その背中に突き刺さっていた力を抑え込む装置が外れかかっていた。
文字の羅列は消え、黒い影を灯していた穴のように広がるものも、徐々にその範囲を縮小し閉じていくと、後に何も残さぬように装置ごと飲み込んでいく。
「あれを調べれば、解読できなかった文字について何か分かるかな?」
「どうかしら・・・。あれはただ、装置に使われていたどこにでもあるような人の作り出した物。あそこからは魔力も感じなければおかしな気配も感じないわ」
黒いコートの男達が残した物であれば、そこから何かのヒントを得られるのではないかと考えたが、どうやら装置に使われていた道具自体には、何の力もなく誰でも準備できる代物だったようだ。
リヴァイアサンの身体のように、期待が泡のように儚く消える。また振り出しに戻ってしまったと、少し落ち込むような表情を浮かべたシンは、リヴァイアサンの身体に更なる物を発見する。
「なぁ、あの光ってる物はなんだ?」
「あれは・・・転移用のポータルを作るアイテムかしらね」
それを聞いた瞬間、シンの頭の中に異世界への転移ポータルを作るアイテムを隠したと言っていた、黒いコートの男の言葉が駆け巡った。
もしあれがこの世界の何者かの手に渡ったらどうなってしまうのか。そもそも異世界というのが本当にシン達のいた現実世界へのものなのか。
真実を確かめる為にも、危険を事前に食い止める為にも、それだけは彼らの手に収めなければならない。
シンはウンディーネに頼み、リヴァイアサンの身体の方へ向かってくれないかと頼みこむ。敵意や魔力もなく、後は消えゆくだけの肉塊であるならばと、二人はリヴァイアサンの身体へ再び戻って行った。
リヴァイアサンの攻撃も、本体に乗りさえすれば飛んで来ることはない。頭部に飛び移る直前までの、嵐のような魔法の攻撃が嘘のようだった。しかもこれは、嵐の前の静けさという訳ではない。
何せ今回の登頂は、長きに渡るこの戦いに終止符を打つためのものだからだ。そしてそのタイミングは、全てハオラン自身に委ねられている。何を気にする必要もない。
炎を身に宿したハオランの到着を目撃した三大海賊の船長達は、各々の役割を更に確実なものとするため、力を入れる。そして、頭部を撃ち抜くためのレールガンは、いつでもその時を迎え入れる準備は出来ていると言わんばかりに、バチバチと光を放っている。
見えていても、それを止められるだけの攻撃や行動をリヴァイアサンに許す者は、この場には誰一人いない。暴れようとする力は増すものの、それを押さえ付けるキングの能力も、これが最後というように増している。
彼のおかげで、大きく暴れることの出来ないリヴァイアサンの頭上で、今が戦いの最中であるとは思えないほど深く深呼吸をするハオラン。
そして、瓦割りのよう足を開き拳を構える。これだけ力を溜め込める猶予が与えられ、貫通力ではなく単純な打撃力と衝撃の範囲を上げる技を選ぶ。ハオランの一撃は、もし全力を出せばリヴァイアサンの大きな身体を貫通させられるだけの破壊力を持つ。
だが当然、範囲は狭くリヴァイアサンの巨体からすれば針で貫通させられた程度の穴にしかならない。ハオランが巨獣の頭部に来たのは、頭を撃ち抜くためではなく、あくまでも頭部を海面に下げさせるのが目的。
鋭さや破壊力ではなく、押し込めるだけの衝撃力。その力が溜まり切るまで、それ程時間は掛からなかった。全ての準備が整い、そして光に包まれたハオランの拳がトールの戦鎚のようにリヴァイアサンの頭上に撃ち落とされる。
まるで巨大な爆発が起きたかのような衝撃波が周囲に広がる。同時にリヴァイアサンの頭部がガクッと落ち、海面付近にまで倒れ込む。
衝撃を受けたキングは、そのまま深い海中へと落ちていったが、シンから強奪したボードにより彼の能力を反映させることで、すぐにその場を後にっするように海中を浮上しながら駆け抜けて行った。
ハオランによっと撃ち落とされた頭部は、見事エイヴリー海賊団が構えるレールガンの射線上に現れる。エイヴリーの勇ましい号令と共に発射の合図が出され、溜め込んでいたエネルギーを吐き出すように撃ち出すレールガン。
雷撃は刹那をかける龍のようにリヴァイアサンの頭部を食う。一瞬の内に頭部を失ったリヴァイアサン。各海域で荒波や海流を引き起こしていた身体の動きがエンジンを止められたように止まる。
宙を舞っていた魔法によって作られた水球は、ただの雫へと変わり海へと帰る。動きを失ったリヴァイアサンの身体は、そのままゆっくりと海中に引き摺り込まれるようにして沈んでいく。
そして水深の深い部分から大量の泡を発生させながら消滅していくのを、海賊達は目の当たりにした。
レースに起きた異常なまでの苦戦を強いたレイド戦。その戦いは遂に終わりを告げた。
辺りを覆っていた暗雲は梅雨へと消えるようになくなり、彼ら人間達の勝利を祝福するような清々しい太陽の光が降り注がれた。あまりにも神々しいその光景に、その場にいた誰もが呆気に取られるように動きを止める。
そして暫くの沈黙を経て、海賊達の待機を震わせるほどの歓喜の声が響き渡った。
歓声に沸く中、ハオランの渾身の一撃で生じた衝撃波で、水の道を飛ばされたシンは、水の道の維持を必要としなくなったウンディーネの力を借り、大きな水の雫に乗りながらゆっくりと下降していた。
「終わったのか・・・?」
「えぇ、もうあの魔物の魔力は感じないわ」
「本当にあんなものを倒したのか・・・」
緊張から強張っていた身体の力が抜けるシン。得体の知れない力により弱体化していたとはいえ、よくぞあれだけのものを退けたと感心するウンディーネを尻目に、折角の高所から辺りの様子を眺める。
ふと、消えゆくリヴァイアサンの身体に視線を送ると、その背中に突き刺さっていた力を抑え込む装置が外れかかっていた。
文字の羅列は消え、黒い影を灯していた穴のように広がるものも、徐々にその範囲を縮小し閉じていくと、後に何も残さぬように装置ごと飲み込んでいく。
「あれを調べれば、解読できなかった文字について何か分かるかな?」
「どうかしら・・・。あれはただ、装置に使われていたどこにでもあるような人の作り出した物。あそこからは魔力も感じなければおかしな気配も感じないわ」
黒いコートの男達が残した物であれば、そこから何かのヒントを得られるのではないかと考えたが、どうやら装置に使われていた道具自体には、何の力もなく誰でも準備できる代物だったようだ。
リヴァイアサンの身体のように、期待が泡のように儚く消える。また振り出しに戻ってしまったと、少し落ち込むような表情を浮かべたシンは、リヴァイアサンの身体に更なる物を発見する。
「なぁ、あの光ってる物はなんだ?」
「あれは・・・転移用のポータルを作るアイテムかしらね」
それを聞いた瞬間、シンの頭の中に異世界への転移ポータルを作るアイテムを隠したと言っていた、黒いコートの男の言葉が駆け巡った。
もしあれがこの世界の何者かの手に渡ったらどうなってしまうのか。そもそも異世界というのが本当にシン達のいた現実世界へのものなのか。
真実を確かめる為にも、危険を事前に食い止める為にも、それだけは彼らの手に収めなければならない。
シンはウンディーネに頼み、リヴァイアサンの身体の方へ向かってくれないかと頼みこむ。敵意や魔力もなく、後は消えゆくだけの肉塊であるならばと、二人はリヴァイアサンの身体へ再び戻って行った。
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