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真実との接触
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「早く!次の弾だッ!」
「こっちのモンスターを排除してくれ!運搬の邪魔だ!」
船内と違い、声が鮮明に聞こえてくる。その慌ただしい様子から、侵入者に意識を割くほどの余裕がないことが伺える。これではデイヴィスの潜伏スキルがなくても、気付かれないのではと思ってしまうほどだ。
「さぁて、奴らが忙しくしてる間に、キングの位置を特定するか・・・」
周囲の気配を察知するスキルを使い、デイヴィスが乗り込んだ船の周辺にいる者達の気配を読み取る。すると、彼のスキルによる包囲網の中に、幾つか強い気配を放つ反応があった。
一つは、キングの防衛にあたるダラーヒムの気配。キングの船を囲うように陣形を展開し、小型モンスターの討伐を主に担っているようだ。だが、群がる虫のようなモンスターの多さに、全てを倒しきることが出来ず、討ち漏らしが発生しているという状況らしい。
そしてもう一つが、少し離れた位置でダラーヒムの船団と同じく、キングやその防衛にあたる者達を守るために結界を張る、トゥーマーンの気配。ダラーヒムの軍と同じようにキングの船団を囲うように船を配置し、自軍の船と連携した大きなドーム状の結界が張られている。
蜃気楼のように景色が歪んでおり、肉眼でも確認できる程の結界は、それ相応に強力な効果をもたらしているはず。しかし、小型のモンスターはそれを全く気にすることなく突っ込んで行く。
圧倒的な数で押し切り、前をいくモンスターの後ろについて突進していくと、結界の穴を潜り込めてしまうようだ。そしてリヴァイアサンの攻撃は、トゥーマーンの結界を通過することで、威力を弱体化させてくれていた。
だが、それでも甚大な被害になる事には変わりない。それを防ぐように前線で戦っているのが、残りのジャウカーンとスユーフ達になる。スユーフの軍は、キングの指示に従いハオランのバックアップを行いつつ共闘することで、チン・シーへの義理立てを企てているようだ。
しかし、その二人に関してはデイヴィスのスキル範囲外であり、彼が察知することはなかった。つまり現状、キングを守る大きな壁になり得るのは、ダラーヒムの軍とトゥーマーンの軍という事になる。
それでは、最も重要なキングは一体何処にいるのか。それは、彼らの防衛陣形の中にいるリヴァイアサンの身体の一部の最前線で飛び回っていた。あろう事か、総大将であるキング自身が最もリヴァイアサンへのダメージを稼ぐ形になっていたのだ。
その圧倒的な能力を遺憾無く発揮し、リヴァイアサンの身体をあちこちに引き摺り回しては、到底人の拳の威力とは思えない一撃を、次から次へとお見舞いしていた。
「おいおい・・・。なんつぅ戦い方してやがんだ。あんな戦い方じゃ、命がいくつあっても足らないだろうに・・・。それを諸共しないのが、キングの力って訳か」
巨大なモンスターの身体を、まるで山を動かすかの如く動かし、その拳の痕でダムが作れてしまいそうな程、強烈な打撃を叩き込んでいる。これが自身に向けられるかと思うと、まるで大型の巨人を生身で相手にしなければならないような、無謀さを感じてしまう。
だが、キングの強さはデイヴィスも勿論知っていた。それがどのような原理で、どんな弱点があるかは分からないが、彼にはそんな相手でもどうにかできる奥の手があった。
幾つかの船を飛び回り、定期的にデイヴィスが潜伏しているキングの本船へと戻ってくるような動きをしている。流石の彼でも、空を飛び回り続ける力は無いらしい。
戻ってくる度に僅かな休憩を取りながら、船員達へ指示を出している。若い船員達は彼の指示を忠実にこなそうと、必死で走り回り剣を振るう。まるで、そうしなければ殺されてしまうのではないかと脅されているかのようだった。
そんな、まだ幼い者達が必死に働かされているところを見て、デイヴィスはその度に妹の事を思い出してしまう。妹もこうして、こき使われているのだろうか。酷い扱いを受けているのではないだろうか。食事は出来ているだろうか。そもそも、生きているのだろうか。
デイヴィス海賊団の時代から、ずっと愛用してきた短剣を引き抜く。そしてそんな思いが現れているかのように、グリップを握る手に力が入る。
「漸くここまで来た。もうすぐだ・・・。もうすぐで真実を確かめる事が出来る・・・。絶対にしくじらねぇ・・・」
息を澄まし、姿を潜めてその時を待つ。そしていよいよ、キングがひと段落をつけ自身の船へと戻って来る。勢いよく戻って来たわりには、船はあまり揺れなかった。キングなりに、船に残っている者達のことを配慮して、力をコントロールしたのだろう。
「FOOO・・・。みんな、上手いことやってる~?少し休んだら俺ちゃん、もっかい行ってくっからねぇ~。・・・それに、もうそろそろだろうからねぇ・・・」
最後に口にした言葉だけ、誰にも聞こえないような声で意味深に言い残すキング。それが何を意味してのことなのかは、彼にしか分からない。一息つくように、豪勢に作られた椅子にどかっと腰掛けるキング。
それを見計らっていたデイヴィスが物陰から飛び出し、キングの背後から刃を喉に突き立てる。
「よぉ・・・。会いたかったぜ?キング・・・」
「・・・ふぅ~ん・・・。アンタ、誰に刃を向けてんのか分かってんの?」
想像していた以上に冷静なキングの反応に、デイヴィスは少し面食らってしまったが、そのまま彼は長年追い求めていた真実を、キングから聞き出そうとする。
「こっちのモンスターを排除してくれ!運搬の邪魔だ!」
船内と違い、声が鮮明に聞こえてくる。その慌ただしい様子から、侵入者に意識を割くほどの余裕がないことが伺える。これではデイヴィスの潜伏スキルがなくても、気付かれないのではと思ってしまうほどだ。
「さぁて、奴らが忙しくしてる間に、キングの位置を特定するか・・・」
周囲の気配を察知するスキルを使い、デイヴィスが乗り込んだ船の周辺にいる者達の気配を読み取る。すると、彼のスキルによる包囲網の中に、幾つか強い気配を放つ反応があった。
一つは、キングの防衛にあたるダラーヒムの気配。キングの船を囲うように陣形を展開し、小型モンスターの討伐を主に担っているようだ。だが、群がる虫のようなモンスターの多さに、全てを倒しきることが出来ず、討ち漏らしが発生しているという状況らしい。
そしてもう一つが、少し離れた位置でダラーヒムの船団と同じく、キングやその防衛にあたる者達を守るために結界を張る、トゥーマーンの気配。ダラーヒムの軍と同じようにキングの船団を囲うように船を配置し、自軍の船と連携した大きなドーム状の結界が張られている。
蜃気楼のように景色が歪んでおり、肉眼でも確認できる程の結界は、それ相応に強力な効果をもたらしているはず。しかし、小型のモンスターはそれを全く気にすることなく突っ込んで行く。
圧倒的な数で押し切り、前をいくモンスターの後ろについて突進していくと、結界の穴を潜り込めてしまうようだ。そしてリヴァイアサンの攻撃は、トゥーマーンの結界を通過することで、威力を弱体化させてくれていた。
だが、それでも甚大な被害になる事には変わりない。それを防ぐように前線で戦っているのが、残りのジャウカーンとスユーフ達になる。スユーフの軍は、キングの指示に従いハオランのバックアップを行いつつ共闘することで、チン・シーへの義理立てを企てているようだ。
しかし、その二人に関してはデイヴィスのスキル範囲外であり、彼が察知することはなかった。つまり現状、キングを守る大きな壁になり得るのは、ダラーヒムの軍とトゥーマーンの軍という事になる。
それでは、最も重要なキングは一体何処にいるのか。それは、彼らの防衛陣形の中にいるリヴァイアサンの身体の一部の最前線で飛び回っていた。あろう事か、総大将であるキング自身が最もリヴァイアサンへのダメージを稼ぐ形になっていたのだ。
その圧倒的な能力を遺憾無く発揮し、リヴァイアサンの身体をあちこちに引き摺り回しては、到底人の拳の威力とは思えない一撃を、次から次へとお見舞いしていた。
「おいおい・・・。なんつぅ戦い方してやがんだ。あんな戦い方じゃ、命がいくつあっても足らないだろうに・・・。それを諸共しないのが、キングの力って訳か」
巨大なモンスターの身体を、まるで山を動かすかの如く動かし、その拳の痕でダムが作れてしまいそうな程、強烈な打撃を叩き込んでいる。これが自身に向けられるかと思うと、まるで大型の巨人を生身で相手にしなければならないような、無謀さを感じてしまう。
だが、キングの強さはデイヴィスも勿論知っていた。それがどのような原理で、どんな弱点があるかは分からないが、彼にはそんな相手でもどうにかできる奥の手があった。
幾つかの船を飛び回り、定期的にデイヴィスが潜伏しているキングの本船へと戻ってくるような動きをしている。流石の彼でも、空を飛び回り続ける力は無いらしい。
戻ってくる度に僅かな休憩を取りながら、船員達へ指示を出している。若い船員達は彼の指示を忠実にこなそうと、必死で走り回り剣を振るう。まるで、そうしなければ殺されてしまうのではないかと脅されているかのようだった。
そんな、まだ幼い者達が必死に働かされているところを見て、デイヴィスはその度に妹の事を思い出してしまう。妹もこうして、こき使われているのだろうか。酷い扱いを受けているのではないだろうか。食事は出来ているだろうか。そもそも、生きているのだろうか。
デイヴィス海賊団の時代から、ずっと愛用してきた短剣を引き抜く。そしてそんな思いが現れているかのように、グリップを握る手に力が入る。
「漸くここまで来た。もうすぐだ・・・。もうすぐで真実を確かめる事が出来る・・・。絶対にしくじらねぇ・・・」
息を澄まし、姿を潜めてその時を待つ。そしていよいよ、キングがひと段落をつけ自身の船へと戻って来る。勢いよく戻って来たわりには、船はあまり揺れなかった。キングなりに、船に残っている者達のことを配慮して、力をコントロールしたのだろう。
「FOOO・・・。みんな、上手いことやってる~?少し休んだら俺ちゃん、もっかい行ってくっからねぇ~。・・・それに、もうそろそろだろうからねぇ・・・」
最後に口にした言葉だけ、誰にも聞こえないような声で意味深に言い残すキング。それが何を意味してのことなのかは、彼にしか分からない。一息つくように、豪勢に作られた椅子にどかっと腰掛けるキング。
それを見計らっていたデイヴィスが物陰から飛び出し、キングの背後から刃を喉に突き立てる。
「よぉ・・・。会いたかったぜ?キング・・・」
「・・・ふぅ~ん・・・。アンタ、誰に刃を向けてんのか分かってんの?」
想像していた以上に冷静なキングの反応に、デイヴィスは少し面食らってしまったが、そのまま彼は長年追い求めていた真実を、キングから聞き出そうとする。
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