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その者達は自ら政府に媚び、彼等に取り入ろうとする。無論、そんな怪しい者達の話を鵜呑みにする程、政府も馬鹿では無かったが狡賢い者達は、着実に戦果をあげ信用を獲得していく中で、捉えた罪人や賊から金目の物を自らの懐に収めていた。
ジョン・エヴァンズという男は、政府に飼われる海賊となるその裏では、気付かれぬところで悪事を働く者達と結託し、残虐な行いやその懐を肥していた。
そんな折に、キング暗殺計画の話が政府の元に入ってくると、異例の報酬を餌に海賊達をフォリーキャナル・レースへと送り込んだ。
政府は彼等のような海賊達だけではなく、海賊界隈で名を上げ始めていたルーキや、他の海賊とは連まない孤高の者達へ話を持ちかけ交渉する。レースで手に入れた物や賞金はそのままに、プラスで政府から多額の賞金と今後の彼等の行動の一部を不問のものとする契約を結ぶ。
様々な恩赦を受けられるようになれば、無謀な襲撃や無駄な殺生をせずとも食うものには困らず、勝手気ままに海を旅しながら安寧を得ることが出来る。
“ビリー・ワン・ハンド“という異名で名を馳せていた海賊、“クリストファー・コンデントもまた、そんな政府の提示する条件に飛びついた海賊の内の一人だった。
通常の物とは異なる、特注のカットラスとピストルの名手で、船による海上戦のみならず、どんな戦場であろうと安定した戦果を誇る、中距離近距離の戦闘を得意とする海賊。
故に彼の海賊船は、一気に距離を詰める為の装置が取り付けられており、目を付けられた者達はあっという間に制圧されてしまうのだという。
政府から出された条件は、デイヴィスとその同胞達によるキング暗殺計画に乗じ、シー・ギャングの戦力を削ること。あわよく幹部クラスやキングそのものの首を持って来ることで、各々報酬が異なる。
例え結果を残せずともお咎めはなしという何とも美味い話だが、逆に返り討ちにあったり捕らえられたりでもしようものなら、政府は簡単に彼等を切り捨てるつもりでいた。
彼等から、何処の国の政府がキングの組織を攻撃しているという情報が漏れれば、キングの組織から目を付けられ、何らかの報復を迫られかねないからだ。
元より、海賊達には必要以上の情報は渡していない。あくまで依頼のような形で協力関係を築いている。互いに、自分達にとってプラスとなれば協力し、マイナス或いは何の得にもならないと分かれば、直ぐに手放すような実に淡白な関係。
そんな彼等がキングのいるレイドの戦地へ赴く。しかし何処を見渡せど、情報にあったデイヴィスは見当たらず、その身近な同胞であるシンプソンやアシュトン、アンスティス等の船すらも見当たらないのだ。
戦場に到着しているのは、主犯の親友でもロバーツの海賊船に、元デイヴィス海賊団から脱退し、最も戦力を集めたフィリップス海賊団の船団だけ。それでも十分過ぎるほどの船が海上を闊歩していたが、相手は一大組織のシー・ギャング。
その傍らには、部隊長を任せられている幹部の者達もおり、例え数で優っていようと決して油断出来ない戦力が集まっている。何より、キング含め幹部達の攻撃は広範囲に渡る派手な攻撃が多く、船を集めて戦ってしまえばそれこそ一掃されかねない。
仕掛けるのであれば、デイヴィスが計画していた通り、暗殺による襲撃や個々の能力に長けた者達による、直接対決だろう。近距離中距離までに持ち込めれば、彼等も範囲攻撃を放つことが出来なくなり、自ずと対人戦を強いられることになる。
ロバーツ等、異色の能力を持つ者達と政府に遣わされた海賊の船長クラスが協力して、一人の幹部を攻めれば落とせない城ではないのだ。最も気をつけなければならないのは、攻撃のタイミングだろう。
キングが誰にも抑えられていないフリーの状態で攻めて仕舞えば、計画が露呈し彼の能力でまとめて始末されかねない。ここは予定通りデイヴィスの襲撃を待ち、混乱に乗じて幹部を取り囲み各個撃破。
戦闘終了後、キングの元へ集結し多人数で彼を叩くのが理想と言える。だが、そんな予定を台無しにし兼ねない要因がこの戦場にはある。それが海面から聳え立つように姿を現している巨大蟒蛇だ。
当初想定されていた以上の大物が海域を荒らし回り、その魔物と戦う海賊達の余波だけでも並大抵の船であれば海の藻屑にされかねないという状況だ。そしてその冴えたるものが今、蟒蛇の後方で強烈な光を放ち、力を蓄積させていた。
ジョン・エヴァンズという男は、政府に飼われる海賊となるその裏では、気付かれぬところで悪事を働く者達と結託し、残虐な行いやその懐を肥していた。
そんな折に、キング暗殺計画の話が政府の元に入ってくると、異例の報酬を餌に海賊達をフォリーキャナル・レースへと送り込んだ。
政府は彼等のような海賊達だけではなく、海賊界隈で名を上げ始めていたルーキや、他の海賊とは連まない孤高の者達へ話を持ちかけ交渉する。レースで手に入れた物や賞金はそのままに、プラスで政府から多額の賞金と今後の彼等の行動の一部を不問のものとする契約を結ぶ。
様々な恩赦を受けられるようになれば、無謀な襲撃や無駄な殺生をせずとも食うものには困らず、勝手気ままに海を旅しながら安寧を得ることが出来る。
“ビリー・ワン・ハンド“という異名で名を馳せていた海賊、“クリストファー・コンデントもまた、そんな政府の提示する条件に飛びついた海賊の内の一人だった。
通常の物とは異なる、特注のカットラスとピストルの名手で、船による海上戦のみならず、どんな戦場であろうと安定した戦果を誇る、中距離近距離の戦闘を得意とする海賊。
故に彼の海賊船は、一気に距離を詰める為の装置が取り付けられており、目を付けられた者達はあっという間に制圧されてしまうのだという。
政府から出された条件は、デイヴィスとその同胞達によるキング暗殺計画に乗じ、シー・ギャングの戦力を削ること。あわよく幹部クラスやキングそのものの首を持って来ることで、各々報酬が異なる。
例え結果を残せずともお咎めはなしという何とも美味い話だが、逆に返り討ちにあったり捕らえられたりでもしようものなら、政府は簡単に彼等を切り捨てるつもりでいた。
彼等から、何処の国の政府がキングの組織を攻撃しているという情報が漏れれば、キングの組織から目を付けられ、何らかの報復を迫られかねないからだ。
元より、海賊達には必要以上の情報は渡していない。あくまで依頼のような形で協力関係を築いている。互いに、自分達にとってプラスとなれば協力し、マイナス或いは何の得にもならないと分かれば、直ぐに手放すような実に淡白な関係。
そんな彼等がキングのいるレイドの戦地へ赴く。しかし何処を見渡せど、情報にあったデイヴィスは見当たらず、その身近な同胞であるシンプソンやアシュトン、アンスティス等の船すらも見当たらないのだ。
戦場に到着しているのは、主犯の親友でもロバーツの海賊船に、元デイヴィス海賊団から脱退し、最も戦力を集めたフィリップス海賊団の船団だけ。それでも十分過ぎるほどの船が海上を闊歩していたが、相手は一大組織のシー・ギャング。
その傍らには、部隊長を任せられている幹部の者達もおり、例え数で優っていようと決して油断出来ない戦力が集まっている。何より、キング含め幹部達の攻撃は広範囲に渡る派手な攻撃が多く、船を集めて戦ってしまえばそれこそ一掃されかねない。
仕掛けるのであれば、デイヴィスが計画していた通り、暗殺による襲撃や個々の能力に長けた者達による、直接対決だろう。近距離中距離までに持ち込めれば、彼等も範囲攻撃を放つことが出来なくなり、自ずと対人戦を強いられることになる。
ロバーツ等、異色の能力を持つ者達と政府に遣わされた海賊の船長クラスが協力して、一人の幹部を攻めれば落とせない城ではないのだ。最も気をつけなければならないのは、攻撃のタイミングだろう。
キングが誰にも抑えられていないフリーの状態で攻めて仕舞えば、計画が露呈し彼の能力でまとめて始末されかねない。ここは予定通りデイヴィスの襲撃を待ち、混乱に乗じて幹部を取り囲み各個撃破。
戦闘終了後、キングの元へ集結し多人数で彼を叩くのが理想と言える。だが、そんな予定を台無しにし兼ねない要因がこの戦場にはある。それが海面から聳え立つように姿を現している巨大蟒蛇だ。
当初想定されていた以上の大物が海域を荒らし回り、その魔物と戦う海賊達の余波だけでも並大抵の船であれば海の藻屑にされかねないという状況だ。そしてその冴えたるものが今、蟒蛇の後方で強烈な光を放ち、力を蓄積させていた。
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