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氷の女王と巨大蟒蛇
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ヴェインが次に召喚したのは、巨大な鳥の姿をした怪鳥だった。足に掴まり辛うじて落下を免れた彼は、そのままシャーロットの作り出した彫刻を避けるように滑空し、荒れる海面へと降りて行く。
「さ、他の奴らが来る前に稼げるだけ稼いでおこうかしらね」
次に蟒蛇の前に立ちはだかったのは、大きさがまるで違う生身の人間であるシャーロットだった。その体格差に全く臆することなく立ち向かう彼女は、蟒蛇が身体をうねらせ激しく海面を荒らす中を、足元を凍らせながら滑るように移動して行く。
彼女の足元は氷点をとうに越えており、白い蒸気のようなものを吹き上げている。シャーロットは自身の能力でスケート靴のように、ブレードの付いた物に変化させた履き物で海面を滑る度、その道を作り出すように海面が氷漬けになって行く。
これは過冷却と呼ばれる現象に酷似しており、海面の水は既に氷点を越えていても、そのまま液体の状態を保っており、何らかの刺激を加えることによって急速に結晶化しているのだ。
彼女の起こす過冷却は、彼女による刺激でのみ発動し結晶へと姿を変える仕組みになっている。徐々に近づいてくる彼女を追い払うように、蟒蛇はその巨大な尻尾を引き寄せ、シャーロットへ向けて海中から振り上げる。
ミシミシと軋み出す凍った海面は、徐々に上へと盛り上がっていき、蟒蛇の尻尾によって打ち砕かれる。上空へと打ち上げられたシャーロットと無数の氷塊。派手に攻撃を喰らったように見えるが、彼女自身にダメージはなく、ただ空へと飛ばされただけだった。
それでも、この高さから落ちればひとたまりもない。彼女は空中で身体を捻り、回し蹴りのような動きを見せる。何を蹴ると言うわけでもないが、彼女の蹴りが空を切ると、その僅かな風圧に反応し、周囲の氷塊が液体へと変わる。
手で水に触れ、蟒蛇の方へと優しく水を導く。そしてシャーロットの周囲から再び白い湯気のようなものが立ち込めると、彼女の周りの大気中の水分が凍りつき始め、結晶が宙に浮き始める。
彼女がパチンと指を鳴らす。空気を伝わる音の振動が、溶かした氷塊の水を再び凍らせる。するとそこには、まるで大森林の中で木々に絡まる蔦のような氷の道を作り上げたのだ。
シャーロットはその氷の蔦を足場に、蟒蛇へ向けて滑り降りて行く。向かってくる彼女を迎撃しようと、蟒蛇はその大口を広げ、光弾のような単発式のブレスを何度も吐き出した。
撃ち放たれたブレスは、シャーロットの作り出した氷の蔦を破壊しながら向かってくる。その中を彼女は、無数に広がる氷の蔦を飛び移り、時には折れた氷の蔦を掴み取り、それを蔦に引っ掛けながら滑走し、その見た目からは想像も出来ないような軽快な動きでブレスを躱して行く。
シャーロットが滑走する先には、絶えず氷の蔦が道を作って行き、蟒蛇の首の周りを巻きつくように道が連なる。彼女と蟒蛇の距離的に最後のブレスを躱すと、蟒蛇のその巨大な首を通り過ぎると同時に、足の裏に付いているブレードを伸ばし、華麗な足技で切りつける。
だが、その分厚い鱗や皮膚には傷一つ付かず、滑るように弾かれてしまう。しかし彼女のブレードは、ただ切り刻むだけに終わらず、蟒蛇の身体の表面を僅かに氷漬けにして見せたのだ。
「やはり傷は付かぬか・・・。だがこれで十分、狙いはそれだけではないからな・・・」
口角を上げ、不気味な笑みを見せるシャーロット。蟒蛇とすれ違った彼女は、身体を反転させ再び指を氷漬けになった蟒蛇の首へと向ける。そして彼女が指を鳴らすと、氷漬けになっていた蟒蛇の体表に付いた氷が砕け散り、ドロッとした血液を吹き出しながら氷塊ごと蟒蛇の鱗と体表を破壊した。
初めてダメージらしいダメージが蟒蛇に通った。その身体に流れていたのは、人間のものにも似た赤黒い血液だった。蟒蛇は悲鳴のような叫び声を上げながら、大きく天を仰ぎ首を後方へと倒す。
海面に倒れる前に持ち直した蟒蛇は、首を起こし逃げ込むようにして海中へと潜って行った。蟒蛇が勢いよく潜ったことで、再び海域に大きな波が立ち、再び周囲にいた海賊船を遠ざけるように押し除ける。
「おいおいおいッ!こんなんじゃ移動することすらままならねぇじゃねぇか!」
海域のあちらこちらに見えていた蟒蛇の身体は、みるみる内にその速度を上げ荒波を作りながら、尻尾で海面を打ち鳴らして行く。船体を激しく揺さぶられ、移動を封じられた後続の海賊船の下に、巨大な黒い影が海中から浮上してくる。
そして次の瞬間、物凄い音と共に海面が打ち上がり、大口を開けた蟒蛇が幾つもの海賊船を飲み込もうと、宙に舞う海賊船へ向けて飛びかかる。まるでブラックホールにでも吸い込まれるかのように、蟒蛇の口の中へと落下して行く海賊船の数々。
その時だった。
遥か後方からレーザービームのように鋭い光の衝撃波が、閃光のように海面を駆け抜け、蟒蛇の頬を跳ね飛ばした。大きく横へと飛ばされる蟒蛇の頭。上空に打ち上げられた海賊船達は、間一髪のところで飲み込まれずに済んだ。
しかし、その勢いのまま落下していき、対応出来なかった海賊船は海面に打ち付けられ粉々に砕かれていく。放り出された仲間を回収する為、周りにいた海賊船がやって来ては騒がしく声を上げていた。
「ボス・・・あれは・・・?」
その凄まじい攻撃を目の当たりにしていたキングとその幹部達。レイド戦の戦地からではないその攻撃は、後続の海賊達の他に新たにやって来た何者かの仕業であると踏んだ。
双眼鏡で衝撃波が飛んで来た方角を覗き込むと、そこには物凄い速さで海面を駆け抜けるジェットボードのような物と一人の人物の姿が映り込んだ。
「さ、他の奴らが来る前に稼げるだけ稼いでおこうかしらね」
次に蟒蛇の前に立ちはだかったのは、大きさがまるで違う生身の人間であるシャーロットだった。その体格差に全く臆することなく立ち向かう彼女は、蟒蛇が身体をうねらせ激しく海面を荒らす中を、足元を凍らせながら滑るように移動して行く。
彼女の足元は氷点をとうに越えており、白い蒸気のようなものを吹き上げている。シャーロットは自身の能力でスケート靴のように、ブレードの付いた物に変化させた履き物で海面を滑る度、その道を作り出すように海面が氷漬けになって行く。
これは過冷却と呼ばれる現象に酷似しており、海面の水は既に氷点を越えていても、そのまま液体の状態を保っており、何らかの刺激を加えることによって急速に結晶化しているのだ。
彼女の起こす過冷却は、彼女による刺激でのみ発動し結晶へと姿を変える仕組みになっている。徐々に近づいてくる彼女を追い払うように、蟒蛇はその巨大な尻尾を引き寄せ、シャーロットへ向けて海中から振り上げる。
ミシミシと軋み出す凍った海面は、徐々に上へと盛り上がっていき、蟒蛇の尻尾によって打ち砕かれる。上空へと打ち上げられたシャーロットと無数の氷塊。派手に攻撃を喰らったように見えるが、彼女自身にダメージはなく、ただ空へと飛ばされただけだった。
それでも、この高さから落ちればひとたまりもない。彼女は空中で身体を捻り、回し蹴りのような動きを見せる。何を蹴ると言うわけでもないが、彼女の蹴りが空を切ると、その僅かな風圧に反応し、周囲の氷塊が液体へと変わる。
手で水に触れ、蟒蛇の方へと優しく水を導く。そしてシャーロットの周囲から再び白い湯気のようなものが立ち込めると、彼女の周りの大気中の水分が凍りつき始め、結晶が宙に浮き始める。
彼女がパチンと指を鳴らす。空気を伝わる音の振動が、溶かした氷塊の水を再び凍らせる。するとそこには、まるで大森林の中で木々に絡まる蔦のような氷の道を作り上げたのだ。
シャーロットはその氷の蔦を足場に、蟒蛇へ向けて滑り降りて行く。向かってくる彼女を迎撃しようと、蟒蛇はその大口を広げ、光弾のような単発式のブレスを何度も吐き出した。
撃ち放たれたブレスは、シャーロットの作り出した氷の蔦を破壊しながら向かってくる。その中を彼女は、無数に広がる氷の蔦を飛び移り、時には折れた氷の蔦を掴み取り、それを蔦に引っ掛けながら滑走し、その見た目からは想像も出来ないような軽快な動きでブレスを躱して行く。
シャーロットが滑走する先には、絶えず氷の蔦が道を作って行き、蟒蛇の首の周りを巻きつくように道が連なる。彼女と蟒蛇の距離的に最後のブレスを躱すと、蟒蛇のその巨大な首を通り過ぎると同時に、足の裏に付いているブレードを伸ばし、華麗な足技で切りつける。
だが、その分厚い鱗や皮膚には傷一つ付かず、滑るように弾かれてしまう。しかし彼女のブレードは、ただ切り刻むだけに終わらず、蟒蛇の身体の表面を僅かに氷漬けにして見せたのだ。
「やはり傷は付かぬか・・・。だがこれで十分、狙いはそれだけではないからな・・・」
口角を上げ、不気味な笑みを見せるシャーロット。蟒蛇とすれ違った彼女は、身体を反転させ再び指を氷漬けになった蟒蛇の首へと向ける。そして彼女が指を鳴らすと、氷漬けになっていた蟒蛇の体表に付いた氷が砕け散り、ドロッとした血液を吹き出しながら氷塊ごと蟒蛇の鱗と体表を破壊した。
初めてダメージらしいダメージが蟒蛇に通った。その身体に流れていたのは、人間のものにも似た赤黒い血液だった。蟒蛇は悲鳴のような叫び声を上げながら、大きく天を仰ぎ首を後方へと倒す。
海面に倒れる前に持ち直した蟒蛇は、首を起こし逃げ込むようにして海中へと潜って行った。蟒蛇が勢いよく潜ったことで、再び海域に大きな波が立ち、再び周囲にいた海賊船を遠ざけるように押し除ける。
「おいおいおいッ!こんなんじゃ移動することすらままならねぇじゃねぇか!」
海域のあちらこちらに見えていた蟒蛇の身体は、みるみる内にその速度を上げ荒波を作りながら、尻尾で海面を打ち鳴らして行く。船体を激しく揺さぶられ、移動を封じられた後続の海賊船の下に、巨大な黒い影が海中から浮上してくる。
そして次の瞬間、物凄い音と共に海面が打ち上がり、大口を開けた蟒蛇が幾つもの海賊船を飲み込もうと、宙に舞う海賊船へ向けて飛びかかる。まるでブラックホールにでも吸い込まれるかのように、蟒蛇の口の中へと落下して行く海賊船の数々。
その時だった。
遥か後方からレーザービームのように鋭い光の衝撃波が、閃光のように海面を駆け抜け、蟒蛇の頬を跳ね飛ばした。大きく横へと飛ばされる蟒蛇の頭。上空に打ち上げられた海賊船達は、間一髪のところで飲み込まれずに済んだ。
しかし、その勢いのまま落下していき、対応出来なかった海賊船は海面に打ち付けられ粉々に砕かれていく。放り出された仲間を回収する為、周りにいた海賊船がやって来ては騒がしく声を上げていた。
「ボス・・・あれは・・・?」
その凄まじい攻撃を目の当たりにしていたキングとその幹部達。レイド戦の戦地からではないその攻撃は、後続の海賊達の他に新たにやって来た何者かの仕業であると踏んだ。
双眼鏡で衝撃波が飛んで来た方角を覗き込むと、そこには物凄い速さで海面を駆け抜けるジェットボードのような物と一人の人物の姿が映り込んだ。
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