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迎撃と第二波
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各々が蟒蛇の攻撃に対し、迎撃の準備を整える。そしてその時は来た。蟒蛇は顎を引くように頭部を後ろに少し後退させると、首をしならせるように咆哮をあげる。
鼓膜が直に震わされるような蟒蛇の方向は、それを耳にした者達の視界を歪める程人体に影響を及ぼし、荒れていた波は足並みを揃え、大きな波紋となって振動を伝える。
同時に、蟒蛇の周囲で浮遊していた氷塊は、一斉に海賊達へ向けて放たれる。大砲の弾のように空を切る氷塊は、その圧倒的な大きさと速度で海面へ降り注ぐ。それは宛ら流星群のようだった。
しかし、これまでの予備動作からある程度攻撃の目星はついており、その為の準備を彼らはして来たのだ。無抵抗のまま終わるわけがない。
まず最初に迎撃の様子を見せたのは、蟒蛇と一番距離の近かったキングの船だった。氷塊を迎え撃つのは、当然彼らの船長であるキング。彼が向かって来る氷塊の群れに手をかざすと、まるで海に引っ張られるように、氷塊が海へと急降下し、キングのいる船に届くことはなかった。
着水の衝撃で大きく海面を騒がせたが、その程度で沈没するようでは海賊などやっていられない。波の大きさは、それまで荒れていた海面の波より少し大きいくらいで、次々にやって来る波を何も問題なく乗り越えていく。
キングの元を離れていたジャウカーンは、爆風に身を任せあっという間に自分の持ち場である部隊へ近づくと、背後に迫る氷塊を止める為、海面に指を垂らす。すると、彼が触れた海面は真っ赤に光り、キャンパスに筆を走らせるように海に滑らかな線を引いていく。
そのまま自分の部隊へと到着したジャウカーンは海面から指を離し、船に急ブレーキをかけ反転し氷塊の群れをその視界に捉える。そして目を閉じ、口角を上げて余裕を見せえる彼が、一度だけ指をパチンと鳴らす。
ジャウカーンの合図に、海面に引かれた赤いラインは火山のマグマのように、高熱の液体を上空へ吹き上げた。ジャウカーンの作り上げた炎のカーテンを通過する氷塊は一瞬にして沸騰し、水蒸気を撒き散らして小さくなっていく。
そして、拳サイズほどの小さな氷の塊へと成り果てた氷塊を、ジャウカーンは自らの杖を取り出し、それをバットのように使い、氷塊を前方へと打ち返した。甲高い音を響かせ、彼の打った氷塊は遠く離れた海面へ落ちて消えた。
「ん~ッ!最ッ高ぅぅぅ!」
飛んで来る氷塊は、彼の炎のカーテンを通過し、次々に打ち出されるバッティングセンターのように、程良い氷塊を見つけてはその手に持った杖で打ち返し続けた。
「隊長、戻って来たと思ったら早速遊んじゃってるじゃんよ!」
「しゃぁねぇよ、あぁいう人なんだから。俺達も楽しもうぜ」
彼の部隊の船員達も、その手に丁度良い木材や剣の鞘を持つと、ジャウカーンと同じように飛んで来る氷塊を打ち返す。船に損傷を与えかねない大きめの塊は、炎の魔法で直接蒸発させていく。
未だその戦力を披露していないキングの船団でも、各々氷塊に対する迎撃が行われていた。海水が吹き上がり、氷塊の軌道を変え大きく上空へと持ち上げたり、船に近づいた氷塊が一瞬にして細切れになり、まるで雪がその一帯にだけ降り注いでいるかのような現象を引き起こしていた。
中には、氷塊の形状自体を変形させその勢いを殺すと、逆に彼らの船の周りで氷塊が浮遊し始め、新たに向かって来る氷塊へぶつけるなど、一見どんなクラスでどんなスキルや能力を駆使しているのか分からない奇怪な手段で、防衛を果たしていた。
一方のエイヴリー海賊団は、船長であるエイヴリーのクラフト能力で、集まり陣形を組んでいた何十隻もの大船団が一斉にその形を変え、氷塊をものともしない鋼鉄の戦艦のように変化し、供えられた無数の大砲で氷塊を打ち砕く。
船事態の性能が大きく変わり、砕かれた氷塊が海に落ちたことで起こる波程度では、船は揺れることもない。
上空にいたリーズは無数の眷族を呼び出し、クラス“インキュベータ“のスキルで更にその数を増殖させると、まるで蠢く虫の群れのように彼女の周囲を覆い尽くす。間あるで黒い霧がかかったかのようになる上空では、飛んで来る氷塊がその霧の中に入り込むと、中の様子も見えないまま物音もなく、何事もなく氷塊をただただ飲み込んでいた。
同じく上空に滞在するロイクの竜騎士隊は、彼女ほど上空ではなくエイヴリー達の船に近い上空で飛び回り、飛び交う氷塊と大砲を避けながら、ドラゴンのブレスで氷を溶かし、その勢いを殺す。
海賊達が氷塊を迎撃していく中、蟒蛇は次弾装填とばかりに、更に氷像をその身体で砕き新たな氷塊を作り出すと、再び魔力を込めて浮遊させる。
だが、氷塊による攻撃の第一波とは少し違い、青白い光に包まれる氷塊に紛れ、蟒蛇の魔力で作り出したであろう光弾が紛れ込んでいた。遠目で見る分には全くと言っていいほど区別がつかない。
蟒蛇は通常の氷塊と光弾を混ぜた、第二波を海賊達に向けて撃ち放つ。最初にその餌食となったのは、第一波と同じく蟒蛇との距離が近かったキングだった。
鼓膜が直に震わされるような蟒蛇の方向は、それを耳にした者達の視界を歪める程人体に影響を及ぼし、荒れていた波は足並みを揃え、大きな波紋となって振動を伝える。
同時に、蟒蛇の周囲で浮遊していた氷塊は、一斉に海賊達へ向けて放たれる。大砲の弾のように空を切る氷塊は、その圧倒的な大きさと速度で海面へ降り注ぐ。それは宛ら流星群のようだった。
しかし、これまでの予備動作からある程度攻撃の目星はついており、その為の準備を彼らはして来たのだ。無抵抗のまま終わるわけがない。
まず最初に迎撃の様子を見せたのは、蟒蛇と一番距離の近かったキングの船だった。氷塊を迎え撃つのは、当然彼らの船長であるキング。彼が向かって来る氷塊の群れに手をかざすと、まるで海に引っ張られるように、氷塊が海へと急降下し、キングのいる船に届くことはなかった。
着水の衝撃で大きく海面を騒がせたが、その程度で沈没するようでは海賊などやっていられない。波の大きさは、それまで荒れていた海面の波より少し大きいくらいで、次々にやって来る波を何も問題なく乗り越えていく。
キングの元を離れていたジャウカーンは、爆風に身を任せあっという間に自分の持ち場である部隊へ近づくと、背後に迫る氷塊を止める為、海面に指を垂らす。すると、彼が触れた海面は真っ赤に光り、キャンパスに筆を走らせるように海に滑らかな線を引いていく。
そのまま自分の部隊へと到着したジャウカーンは海面から指を離し、船に急ブレーキをかけ反転し氷塊の群れをその視界に捉える。そして目を閉じ、口角を上げて余裕を見せえる彼が、一度だけ指をパチンと鳴らす。
ジャウカーンの合図に、海面に引かれた赤いラインは火山のマグマのように、高熱の液体を上空へ吹き上げた。ジャウカーンの作り上げた炎のカーテンを通過する氷塊は一瞬にして沸騰し、水蒸気を撒き散らして小さくなっていく。
そして、拳サイズほどの小さな氷の塊へと成り果てた氷塊を、ジャウカーンは自らの杖を取り出し、それをバットのように使い、氷塊を前方へと打ち返した。甲高い音を響かせ、彼の打った氷塊は遠く離れた海面へ落ちて消えた。
「ん~ッ!最ッ高ぅぅぅ!」
飛んで来る氷塊は、彼の炎のカーテンを通過し、次々に打ち出されるバッティングセンターのように、程良い氷塊を見つけてはその手に持った杖で打ち返し続けた。
「隊長、戻って来たと思ったら早速遊んじゃってるじゃんよ!」
「しゃぁねぇよ、あぁいう人なんだから。俺達も楽しもうぜ」
彼の部隊の船員達も、その手に丁度良い木材や剣の鞘を持つと、ジャウカーンと同じように飛んで来る氷塊を打ち返す。船に損傷を与えかねない大きめの塊は、炎の魔法で直接蒸発させていく。
未だその戦力を披露していないキングの船団でも、各々氷塊に対する迎撃が行われていた。海水が吹き上がり、氷塊の軌道を変え大きく上空へと持ち上げたり、船に近づいた氷塊が一瞬にして細切れになり、まるで雪がその一帯にだけ降り注いでいるかのような現象を引き起こしていた。
中には、氷塊の形状自体を変形させその勢いを殺すと、逆に彼らの船の周りで氷塊が浮遊し始め、新たに向かって来る氷塊へぶつけるなど、一見どんなクラスでどんなスキルや能力を駆使しているのか分からない奇怪な手段で、防衛を果たしていた。
一方のエイヴリー海賊団は、船長であるエイヴリーのクラフト能力で、集まり陣形を組んでいた何十隻もの大船団が一斉にその形を変え、氷塊をものともしない鋼鉄の戦艦のように変化し、供えられた無数の大砲で氷塊を打ち砕く。
船事態の性能が大きく変わり、砕かれた氷塊が海に落ちたことで起こる波程度では、船は揺れることもない。
上空にいたリーズは無数の眷族を呼び出し、クラス“インキュベータ“のスキルで更にその数を増殖させると、まるで蠢く虫の群れのように彼女の周囲を覆い尽くす。間あるで黒い霧がかかったかのようになる上空では、飛んで来る氷塊がその霧の中に入り込むと、中の様子も見えないまま物音もなく、何事もなく氷塊をただただ飲み込んでいた。
同じく上空に滞在するロイクの竜騎士隊は、彼女ほど上空ではなくエイヴリー達の船に近い上空で飛び回り、飛び交う氷塊と大砲を避けながら、ドラゴンのブレスで氷を溶かし、その勢いを殺す。
海賊達が氷塊を迎撃していく中、蟒蛇は次弾装填とばかりに、更に氷像をその身体で砕き新たな氷塊を作り出すと、再び魔力を込めて浮遊させる。
だが、氷塊による攻撃の第一波とは少し違い、青白い光に包まれる氷塊に紛れ、蟒蛇の魔力で作り出したであろう光弾が紛れ込んでいた。遠目で見る分には全くと言っていいほど区別がつかない。
蟒蛇は通常の氷塊と光弾を混ぜた、第二波を海賊達に向けて撃ち放つ。最初にその餌食となったのは、第一波と同じく蟒蛇との距離が近かったキングだった。
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