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エネルギーチャージ
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空中に取り残されたエイヴリー海賊団は、目の前に構える巨大蟒蛇と目が合う。すると、その大きな口をゆっくり開け、再び飲み込もうとしているかのような動きを見せる。
だが、蟒蛇は口をゆっくり開くだけでそれ以上のことはして来ない。それがまた不気味さを倍増とさせる。下の海面では依然、蟒蛇の動きにより起こされる激しい海流に動きを制限され、手を拱いている状況だった。
そんな中、一体何のために蟒蛇は口を開き、空中を緩やかに落下するエイヴリー海賊団を睨んでいるのか。彼らはそれを直ぐに理解することになる。
蟒蛇の大きく開いた口の中で、何やら光が輝いて見える。その光は次第に大きくなっていき、その輝きを増幅させたのだ。船員達の間に戦慄が走る。蟒蛇が口の中で蓄えていたのは、高密度の魔力だったのだ。
誰が見ても分かるほど、蟒蛇はこれまで以上に強力な攻撃を放とうとしている。それも真面に食らえば、被害は尋常ではない程に高密度のエネルギーが溜め込まれていっていた。
「旦那ぁッ!ここは俺がッ・・・!」
「マクシムッ!無茶はするなよ?」
とても彼一人でどうにか出来るようには思えない。だが、エイヴリーは彼の意思を尊重し、野暮な真似はせずマクシムのやりたいようにさせた。それは付き合いの長い二人だからこそ、共に胸中にある思いを察することが出来るのだ。
マクシムはロイクの竜騎士隊からドラゴンを一匹借り受けると、一人蟒蛇の大口の方へと向かって行った。彼を慕う数人の船員達が静止しようとするが、その手を振り解き、船長のエイヴリーに従うよう促す。
如何に強いマクシムであっても、これでは余りにも愚行。別の手段を講じてもらおうと、エイヴリーの元を訪れる船員達に、彼は冷たい言葉で返した。心苦しいのエイヴリーも一緒だ。
蟒蛇の迎撃はマクシムに任せ、エイヴリーはエイヴリーで自身のやるべきことをする。クラフト能力で各船に風を集める装置を組み込んでいくエイヴリー。風というよりも、空気の方が正確だろうか。
エイヴリーの作ったそれは、周囲にある空気を吸い込むと、内蔵された貯蓄スペースへと溜め込む。上空に浮遊しているということは、海上よりも風の影響を受け易い。パラシュートのように広がるマストで、緩やかに降下する彼らを移動させるには、十分な風量だ。
本当の意で動きを制限させられてしまったのは、キング達なのだ。そう思われたが、海上で海流に流されていたキング達には、エイヴリー達とは違った脅威が迫っていたようだった。
空気を取り込む装置が、一定量の空気を取り込み終えると、エイヴリーは数個の装置を使い、徐々に蟒蛇の攻撃範囲から逃れようとする。口が開き切った蟒蛇はその骨格上、彼らの姿を視認することが出来ない。
だがそれでも、その移動速度では範囲から外れられるかはかなり際どいところだろう。しかし装置に取り込める空気の量には限りがあり、何処まで行けば安全圏か分からない以上、節約していかなければならない。
ここぞという時に加速し、一気に抜けようと思っていたが、ここに来て彼らを驚愕させる新たな事実が判明した。何と蟒蛇は、視認出来ないはずのエイヴリー海賊団の船を何らかの形で感知し、狙いを定めていたのだ。
彼らの動きに合わせて、蟒蛇の首が僅かに動いていたのだ。流石のエイヴリーの表情にも焦りの反応が窺える。空気を取り込む装置のタイミングを逃せば跡形もなく、消し飛ばされそうな程にエネルギーが集中している。
エイヴリー達が移動を開始し始めた頃、海上では荒々しく波立つ海流の中、キングの船団を外へ外へと導く奇妙な流れが出来上がっていた。彼らはその流れに乗り、蟒蛇の脅威から安全圏へ向けて距離を取っていたのだ。
しかし、彼らを海流から逃すまいと、蟒蛇は再び尻尾を使い彼らの進行を邪魔する。海中を鞭のようにしならせた尻尾が進み、海面に近づいて来るだけで噴火寸前のように海水が盛り上がる。
そして、二つの勢力による船団を打ち上げた時程ではないが、直撃すれば船体を粉々にするなど、容易に想像出来る勢いで連続した攻撃が繰り出される。大きく上空へ向けて聳え立った蟒蛇の尻尾は、そのまま今度は斧を振り下ろすように海面へと向かう。
「甘い甘い。そんなんじゃ俺を海に落とすなんて、出来ないっつ~の!」
振り下ろされる尻尾に向かい、再びキングは奇妙な能力を使う。すると蟒蛇の尻尾は速度を落とし始めた。だが、どうやらそれはキングの思っていた結果とは異なっていたようで、余裕に満ち溢れていた飄々とした態度を改めるキング。
「ぁっ・・・あらぁ~?さっきよりも随分と力強くなったじゃな~い・・・!」
蟒蛇の尻尾は、上空でエイヴリー海賊団を狙う、高密度のエネルギー収集に伴い、その体表の周りを淡い青白い光で覆い始めていたのだった。蟒蛇の集めていたエネルギーは、攻撃の為の予備動作だけでなく、全身を強化する効果も持っていたのだ。
ふと、キングの視界に入った蟒蛇の眼前で標的となっているエイヴリー海賊団。そこでは大口を開けた蟒蛇が、何やら不穏な光を集めていた。
「成る程・・・あれが原因ねぇ~・・・」
キング達の位置からでは、もはやどうにも出来な距離。エネルギーを収集しているということは、何処かで放出もあるということ。キングは、彼らがあの蟒蛇の攻撃を何とかするか、或いは放出の的になってくれることを望んでいた。
だが、蟒蛇は口をゆっくり開くだけでそれ以上のことはして来ない。それがまた不気味さを倍増とさせる。下の海面では依然、蟒蛇の動きにより起こされる激しい海流に動きを制限され、手を拱いている状況だった。
そんな中、一体何のために蟒蛇は口を開き、空中を緩やかに落下するエイヴリー海賊団を睨んでいるのか。彼らはそれを直ぐに理解することになる。
蟒蛇の大きく開いた口の中で、何やら光が輝いて見える。その光は次第に大きくなっていき、その輝きを増幅させたのだ。船員達の間に戦慄が走る。蟒蛇が口の中で蓄えていたのは、高密度の魔力だったのだ。
誰が見ても分かるほど、蟒蛇はこれまで以上に強力な攻撃を放とうとしている。それも真面に食らえば、被害は尋常ではない程に高密度のエネルギーが溜め込まれていっていた。
「旦那ぁッ!ここは俺がッ・・・!」
「マクシムッ!無茶はするなよ?」
とても彼一人でどうにか出来るようには思えない。だが、エイヴリーは彼の意思を尊重し、野暮な真似はせずマクシムのやりたいようにさせた。それは付き合いの長い二人だからこそ、共に胸中にある思いを察することが出来るのだ。
マクシムはロイクの竜騎士隊からドラゴンを一匹借り受けると、一人蟒蛇の大口の方へと向かって行った。彼を慕う数人の船員達が静止しようとするが、その手を振り解き、船長のエイヴリーに従うよう促す。
如何に強いマクシムであっても、これでは余りにも愚行。別の手段を講じてもらおうと、エイヴリーの元を訪れる船員達に、彼は冷たい言葉で返した。心苦しいのエイヴリーも一緒だ。
蟒蛇の迎撃はマクシムに任せ、エイヴリーはエイヴリーで自身のやるべきことをする。クラフト能力で各船に風を集める装置を組み込んでいくエイヴリー。風というよりも、空気の方が正確だろうか。
エイヴリーの作ったそれは、周囲にある空気を吸い込むと、内蔵された貯蓄スペースへと溜め込む。上空に浮遊しているということは、海上よりも風の影響を受け易い。パラシュートのように広がるマストで、緩やかに降下する彼らを移動させるには、十分な風量だ。
本当の意で動きを制限させられてしまったのは、キング達なのだ。そう思われたが、海上で海流に流されていたキング達には、エイヴリー達とは違った脅威が迫っていたようだった。
空気を取り込む装置が、一定量の空気を取り込み終えると、エイヴリーは数個の装置を使い、徐々に蟒蛇の攻撃範囲から逃れようとする。口が開き切った蟒蛇はその骨格上、彼らの姿を視認することが出来ない。
だがそれでも、その移動速度では範囲から外れられるかはかなり際どいところだろう。しかし装置に取り込める空気の量には限りがあり、何処まで行けば安全圏か分からない以上、節約していかなければならない。
ここぞという時に加速し、一気に抜けようと思っていたが、ここに来て彼らを驚愕させる新たな事実が判明した。何と蟒蛇は、視認出来ないはずのエイヴリー海賊団の船を何らかの形で感知し、狙いを定めていたのだ。
彼らの動きに合わせて、蟒蛇の首が僅かに動いていたのだ。流石のエイヴリーの表情にも焦りの反応が窺える。空気を取り込む装置のタイミングを逃せば跡形もなく、消し飛ばされそうな程にエネルギーが集中している。
エイヴリー達が移動を開始し始めた頃、海上では荒々しく波立つ海流の中、キングの船団を外へ外へと導く奇妙な流れが出来上がっていた。彼らはその流れに乗り、蟒蛇の脅威から安全圏へ向けて距離を取っていたのだ。
しかし、彼らを海流から逃すまいと、蟒蛇は再び尻尾を使い彼らの進行を邪魔する。海中を鞭のようにしならせた尻尾が進み、海面に近づいて来るだけで噴火寸前のように海水が盛り上がる。
そして、二つの勢力による船団を打ち上げた時程ではないが、直撃すれば船体を粉々にするなど、容易に想像出来る勢いで連続した攻撃が繰り出される。大きく上空へ向けて聳え立った蟒蛇の尻尾は、そのまま今度は斧を振り下ろすように海面へと向かう。
「甘い甘い。そんなんじゃ俺を海に落とすなんて、出来ないっつ~の!」
振り下ろされる尻尾に向かい、再びキングは奇妙な能力を使う。すると蟒蛇の尻尾は速度を落とし始めた。だが、どうやらそれはキングの思っていた結果とは異なっていたようで、余裕に満ち溢れていた飄々とした態度を改めるキング。
「ぁっ・・・あらぁ~?さっきよりも随分と力強くなったじゃな~い・・・!」
蟒蛇の尻尾は、上空でエイヴリー海賊団を狙う、高密度のエネルギー収集に伴い、その体表の周りを淡い青白い光で覆い始めていたのだった。蟒蛇の集めていたエネルギーは、攻撃の為の予備動作だけでなく、全身を強化する効果も持っていたのだ。
ふと、キングの視界に入った蟒蛇の眼前で標的となっているエイヴリー海賊団。そこでは大口を開けた蟒蛇が、何やら不穏な光を集めていた。
「成る程・・・あれが原因ねぇ~・・・」
キング達の位置からでは、もはやどうにも出来な距離。エネルギーを収集しているということは、何処かで放出もあるということ。キングは、彼らがあの蟒蛇の攻撃を何とかするか、或いは放出の的になってくれることを望んでいた。
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