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最後の合流地点
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アサシンのクラスについて興味を示す二人には真実を伏せ、上手くお茶を濁すシン。彼らにシン達の世界についてや、WoFというこの世界によく似た世界のことは悟られないように努めた。
そもそも彼らが信じるとも思えないが、この世界の住人にはなるべく伏せておいた方がいいかも知れない。彼らが異世界の存在を知れば、誰かしらは興味を持つだろう。そうなれば、今回のレースの何処かにあるとされる、黒コートのスポンサーが持ち込んだ異世界への転移ポータルを手に入れようとする者も出てくる。
ただでさえ、レースの開会式で注目を集めるような発表があったのだ。シン達にとっては、あまり多くの者に興味を持たれたくはない。彼らと話している間に、なかなか島から出てこないデイヴィス達の様子を見に、シンプソンがやって来た。
「おーいッ!アッシュトンとは合流出来たんだろう?事前に合流する奴らは次で最後だ。先を急ぐとしようぜぇ!」
彼の先を急ぐ声に救われた。これ以上デイヴィス達の質問攻めにあっていては、いつかボロが出そうだったからだ。シンプソンとアシュトンは、以前デイヴィス海賊団にいたことから、互いの顔やクラス、各々の海賊船の特徴を熟知していたからだろう。直接会わずとも、潜水艇を見ただけでアシュトンの海賊団である事をすぐに見抜いた。
「俺達よりも先の島に行ったのは“アンスティス“だ」
「アンスティスか・・・。これまた懐かしい奴の名前が飛び出したモンだな」
嘗ての仲間の名前に懐かしむデイヴィスだったが、アシュトンはあまり良い返事をしなかった。それは、デイヴィス海賊団が解散した後に、彼らの間で起きた独立や別の海賊に加入したりという人間関係の縺れがあったからだった。
「・・・だが、アンスティスはロバーツの奴と一悶着あったようだ。詳しくは聞いてねぇが、アイツんとこは色々と問題があったみてぇだぞ?・・・俺は少し不安だがな・・・」
「ロバーツと・・・?まぁ、アイツは人を動かすのが上手い奴だ。アンスティスともそれ程大きな問題にはなってねぇだろうよ。それに昔のアンスティスなら、きっとまた分かり合える筈だ」
「それは昔の話さ。人は変わるものだ・・・。アンタがいなくなってからのデイヴィス海賊団は、ゆっくりと形を保てなくなっていった。それはやはり船を支える主柱が居なくなったからだろう。互いが別々の思いを抱えながら解散する中で、アイツはロバーツの船について行った。それからどういう経緯があったのかは分からねぇが、アイツは独立して自分の海賊団を作ったそうだ」
デイヴィスが海賊団を抜けた後、それぞれの船員達が各々の思いを胸に団結し衝突し、そして独立して行った。その中でも多くの仲間達から指示を得ていたのは、“バーソロミュー・ロバーツ“という、デイヴィスの信頼する親友だった。
アンスティスはバラバラになる海賊団の中で彼について行き、ロバーツを船長とした海賊団の中で活動を続けていた。しかし、ロバーツの人当たりの良さや、一見強引に見える行動でも海賊団の利益を優先した卓越する采配に、自分のやり方とは合わないと感じ彼の海賊団を抜け、自分の海賊団を立ち上げたのだという。
それ以来、アンスティスとロバーツは疎遠になっているのだとか。それでもアンスティスがデイヴィスの救援要請に動いたのは、彼もまた嘗てのデイヴィス海賊団でまたやって行きたいと思ってのことだったのかも知れない。
「だが・・・今は人手が必要だ・・・。俺はアイツを信じるさ」
どんな言葉にも自分の思いを曲げることのないデイヴィスの表情と信念に、アシュトンは折れて彼らについて行く事を約束した。アシュトン海賊団の船は、複数の海賊達が乱戦となる戦場において、非常に器用な動きが出来る。
それは言わずもながら、潜水艇という海中を進み下から相手を攻め込むことが出来るという強みだ。各々、自分達の船に戻りながら、アシュトンは海上をついて行くのではなく、海の中から敵襲に備えると言い、船に乗り込んで行った。
島を囲っていたシンプソン海賊団は再び方向転換をし、隊列を組み直す。先頭を行くのは、デイヴィスを乗せたシン達の船。そしてその海中からアシュトンの潜水艇が、周囲に目を光らせる強力な布陣へと早変わりした。
「おい、味方はアイツらだけか?」
島から離れていたミアは、新しく加わったアシュトンの戦力が数隻程度だと思っていたようで、戦力が劇的変わったようには見えず不安になっていたのだろうか。帰って来たシンに早速島での経緯を聞いた。
「他の船は海中にいるそうだ。戦力としてはシンプソンの船団と然程変わらない数がいるみたいだ」
「海の中を行けるのは強いな。他の者達からは、存在を気取られることがない訳だ・・・。いろんな使い道がありそうだな」
ミアの言う通り、戦力的には一船団分の加勢があるものの、外見からはそれ程脅威になる数には見えていないことになる。奇襲を仕掛けるもよし、海上で派手に暴れている間に包囲するもよし。戦略の幅が大きく広がる。
どうやら残りの仲間は、次で最後らしい。デイヴィス達に“アンスティス“と呼ばれる海賊団が、この先の島で彼らの到着を待っている。最後の仲間と合流した後、シン達はいよいよ計画を実行に移す、レイド戦の場へと赴く。
そもそも彼らが信じるとも思えないが、この世界の住人にはなるべく伏せておいた方がいいかも知れない。彼らが異世界の存在を知れば、誰かしらは興味を持つだろう。そうなれば、今回のレースの何処かにあるとされる、黒コートのスポンサーが持ち込んだ異世界への転移ポータルを手に入れようとする者も出てくる。
ただでさえ、レースの開会式で注目を集めるような発表があったのだ。シン達にとっては、あまり多くの者に興味を持たれたくはない。彼らと話している間に、なかなか島から出てこないデイヴィス達の様子を見に、シンプソンがやって来た。
「おーいッ!アッシュトンとは合流出来たんだろう?事前に合流する奴らは次で最後だ。先を急ぐとしようぜぇ!」
彼の先を急ぐ声に救われた。これ以上デイヴィス達の質問攻めにあっていては、いつかボロが出そうだったからだ。シンプソンとアシュトンは、以前デイヴィス海賊団にいたことから、互いの顔やクラス、各々の海賊船の特徴を熟知していたからだろう。直接会わずとも、潜水艇を見ただけでアシュトンの海賊団である事をすぐに見抜いた。
「俺達よりも先の島に行ったのは“アンスティス“だ」
「アンスティスか・・・。これまた懐かしい奴の名前が飛び出したモンだな」
嘗ての仲間の名前に懐かしむデイヴィスだったが、アシュトンはあまり良い返事をしなかった。それは、デイヴィス海賊団が解散した後に、彼らの間で起きた独立や別の海賊に加入したりという人間関係の縺れがあったからだった。
「・・・だが、アンスティスはロバーツの奴と一悶着あったようだ。詳しくは聞いてねぇが、アイツんとこは色々と問題があったみてぇだぞ?・・・俺は少し不安だがな・・・」
「ロバーツと・・・?まぁ、アイツは人を動かすのが上手い奴だ。アンスティスともそれ程大きな問題にはなってねぇだろうよ。それに昔のアンスティスなら、きっとまた分かり合える筈だ」
「それは昔の話さ。人は変わるものだ・・・。アンタがいなくなってからのデイヴィス海賊団は、ゆっくりと形を保てなくなっていった。それはやはり船を支える主柱が居なくなったからだろう。互いが別々の思いを抱えながら解散する中で、アイツはロバーツの船について行った。それからどういう経緯があったのかは分からねぇが、アイツは独立して自分の海賊団を作ったそうだ」
デイヴィスが海賊団を抜けた後、それぞれの船員達が各々の思いを胸に団結し衝突し、そして独立して行った。その中でも多くの仲間達から指示を得ていたのは、“バーソロミュー・ロバーツ“という、デイヴィスの信頼する親友だった。
アンスティスはバラバラになる海賊団の中で彼について行き、ロバーツを船長とした海賊団の中で活動を続けていた。しかし、ロバーツの人当たりの良さや、一見強引に見える行動でも海賊団の利益を優先した卓越する采配に、自分のやり方とは合わないと感じ彼の海賊団を抜け、自分の海賊団を立ち上げたのだという。
それ以来、アンスティスとロバーツは疎遠になっているのだとか。それでもアンスティスがデイヴィスの救援要請に動いたのは、彼もまた嘗てのデイヴィス海賊団でまたやって行きたいと思ってのことだったのかも知れない。
「だが・・・今は人手が必要だ・・・。俺はアイツを信じるさ」
どんな言葉にも自分の思いを曲げることのないデイヴィスの表情と信念に、アシュトンは折れて彼らについて行く事を約束した。アシュトン海賊団の船は、複数の海賊達が乱戦となる戦場において、非常に器用な動きが出来る。
それは言わずもながら、潜水艇という海中を進み下から相手を攻め込むことが出来るという強みだ。各々、自分達の船に戻りながら、アシュトンは海上をついて行くのではなく、海の中から敵襲に備えると言い、船に乗り込んで行った。
島を囲っていたシンプソン海賊団は再び方向転換をし、隊列を組み直す。先頭を行くのは、デイヴィスを乗せたシン達の船。そしてその海中からアシュトンの潜水艇が、周囲に目を光らせる強力な布陣へと早変わりした。
「おい、味方はアイツらだけか?」
島から離れていたミアは、新しく加わったアシュトンの戦力が数隻程度だと思っていたようで、戦力が劇的変わったようには見えず不安になっていたのだろうか。帰って来たシンに早速島での経緯を聞いた。
「他の船は海中にいるそうだ。戦力としてはシンプソンの船団と然程変わらない数がいるみたいだ」
「海の中を行けるのは強いな。他の者達からは、存在を気取られることがない訳だ・・・。いろんな使い道がありそうだな」
ミアの言う通り、戦力的には一船団分の加勢があるものの、外見からはそれ程脅威になる数には見えていないことになる。奇襲を仕掛けるもよし、海上で派手に暴れている間に包囲するもよし。戦略の幅が大きく広がる。
どうやら残りの仲間は、次で最後らしい。デイヴィス達に“アンスティス“と呼ばれる海賊団が、この先の島で彼らの到着を待っている。最後の仲間と合流した後、シン達はいよいよ計画を実行に移す、レイド戦の場へと赴く。
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