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後続組の襲撃
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そよ風に揺れる草木の音と、穏やかに浜へ寄せる波の音。静かに時が流れるリゾート地のような孤島で語らうのは、そんな光景とは無縁の暗殺計画。デイヴィスの計らいで、キングを快く思わない者達を嗾けレース内で襲わせる手筈となっているところまでは、この島で遭遇した謎の男デイヴィスの口からは語られた。
「それで・・・?どうやってキングを暗殺するんだ?」
「話を聞いてくれるって事で良いんだな?」
二人は一度視線を交わすと、男の問いに無言で頷いた。依然、拘束スキルで両腕を封じるシンと、銃口を構えたままのミア。まだ信用を得られないかと溜め息をつくデイヴィスが、何を思ってか突然ゆっくりと立ち上がる。
「おい!まだ動いて良いなんて言った覚えはないぞ」
銃口を男の頭部へ押し当て、良からぬことを出来ないよう警告する。ミアの意図を読んだデイヴィスはピタリと動きを止め、ミアが速まって引き金を引かぬよう従う。そして彼女を説得するように、動き出したことに対する弁明を図る。
「おいおい、まだ信用してねぇのか?俺はただ移動しようとしただけだぜぇ・・・」
「話はここで聞く。移動する必要など無い」
何故デイヴィスが場所を移そうとしたのか、シンとミアには分からなかった。だが下手に移動させ、潜んでいる仲間の元へと向かうやもしれない。デイヴィスに何かしらの考えがあろうと、二人にとっては何のメリットも無い。
解決出来るのであれば、この場でデイヴィスの話を聞き、手を貸すか貸さないかの判断をしたい。そしてデイヴィスのキング暗殺計画の重要なポイントである、船への潜入を手助けするなら、その手筈もここですましておきたいのがシンとミアの考えであった。
そこへデイヴィスが再び口を開く。このレースの何たるかを知らない素人の彼らに、この場にいることに対しての危険性について話してくれた。
「・・・なぁ、どうせアンタらはこう思ってるんだろ?俺が変な真似をするんじゃねぇかって。信用出来ねぇのはしょうがない事かもしれねぇが、ここに長居するのは良くねぇんだって。なるべく早くこの島を出ねぇとッ・・・」
デイヴィスが事の真意を伝えようとしたところで、彼らへ向けられる殺気に気付いたデイヴィスとミアの使役する精霊ウンディーネが危険を知らせる。
「ミアッ!伏せてッ!」
「クソッ!丁度良いところにッ・・・!」
ウンディーネは反応の遅れたミアの足元を水で滑らせ転ばせると、水のクッションを作り地面スレスレで受け止める。そしてデイヴィスは、何故かシンの拘束を抜け出し彼に飛びかかると、地面に倒し伏せさせた。
地面に伏せた三人の頭上を鋭い何かが通過し、近くにあった木へと突き刺さった。木材を打ち鳴らす乾いた音が数回、周囲へ響き渡る。顔を上げて音のした方を見てみると、そこには何かの液体のようなものを垂らして、木に深々と突き刺さる矢があった。
何者かによる襲撃。そしてそれはシン達と話をしていたデイヴィスへも放たれていた。つまりシン達とデイヴィスの他に、第三の勢力がこの島にやって来たのか、既に潜んでいたことになる。
「何だ!?一体誰がッ・・・」
「だから言ったんだ!早くしねぇと後続組が来ちまうってッ・・・言おうとしたんだ。ったく、一々予定を狂わされるッ・・・!」
誰よりも先に起き上がり、木に突き刺さった矢の方向を確かめると、攻撃を仕掛けて来たであろう方へ向かって身をかがめたまま、素早い動きで駆け抜けていく。その途中、何本もの矢が飛んで来るがまるで蛇のように蛇行しながら、勢いを落とすことなく射手の位置を見定めると、シンに負けずとも劣らない速さで左右から投擲する。
木の上から弓矢を射っていた射手は、それを左右に避けるが視線をデイヴィスから逸らしたことで見失ってしまう。その隙に木を登り射手の元へやって来ると、そのまま縛り上げて飛び降りると同時に射手の男を枝に吊るした。
「ぐっぁぁぁ!」
「出てこいよ!さも無いと、お仲間が傷付くことになるぜ?」
吊るされた男にナイフの先を突き立てるデイヴィス。しかし相手は彼の要求に乗らず、人質のことなど気にする様子もなくデイヴィスへ向けて、引き続き矢を放った。彼は背後に目でもあるのか、四方八方から飛んで来た矢を見事に躱して見せる。
「なんて奴らだよ・・・。どうやらお前さん、仲間に見捨てられたようだな」
「捕まった俺が悪いッ・・・。俺だって同じことをするさ・・・!」
「そうかい・・・。そりぁ大したご覚悟で・・・」
するとデイヴィスは、要求を飲まず攻撃を仕掛けて来た射手の男の仲間の行いに対して、報いを受けさせる。死なぬ程度に吊るされた男をナイフで切りつけ、苦痛と悲鳴を上げさせる。
同時に草むらから一発の銃声がなると、木々の後ろの方で血飛沫を上げて倒れる人影があった。更に数人の者達が中へと舞い上がり、デイヴィスの元へと投げ飛ばされて来る。何事かと周囲を見渡すと、草むらから身体を起こし立ち上がるライフルを持ったミアと、影のスキルで襲撃者を一網打尽にし集めたシンが、その姿を現した。
ミアが撃ち抜いたのは、如何やらこの者達の頭だったようで、ボスを失った彼らは抵抗することなくデイヴィスの指示通り、残りの面々も武器を捨てあちらこちらから姿を現す。
「それで・・・?どうやってキングを暗殺するんだ?」
「話を聞いてくれるって事で良いんだな?」
二人は一度視線を交わすと、男の問いに無言で頷いた。依然、拘束スキルで両腕を封じるシンと、銃口を構えたままのミア。まだ信用を得られないかと溜め息をつくデイヴィスが、何を思ってか突然ゆっくりと立ち上がる。
「おい!まだ動いて良いなんて言った覚えはないぞ」
銃口を男の頭部へ押し当て、良からぬことを出来ないよう警告する。ミアの意図を読んだデイヴィスはピタリと動きを止め、ミアが速まって引き金を引かぬよう従う。そして彼女を説得するように、動き出したことに対する弁明を図る。
「おいおい、まだ信用してねぇのか?俺はただ移動しようとしただけだぜぇ・・・」
「話はここで聞く。移動する必要など無い」
何故デイヴィスが場所を移そうとしたのか、シンとミアには分からなかった。だが下手に移動させ、潜んでいる仲間の元へと向かうやもしれない。デイヴィスに何かしらの考えがあろうと、二人にとっては何のメリットも無い。
解決出来るのであれば、この場でデイヴィスの話を聞き、手を貸すか貸さないかの判断をしたい。そしてデイヴィスのキング暗殺計画の重要なポイントである、船への潜入を手助けするなら、その手筈もここですましておきたいのがシンとミアの考えであった。
そこへデイヴィスが再び口を開く。このレースの何たるかを知らない素人の彼らに、この場にいることに対しての危険性について話してくれた。
「・・・なぁ、どうせアンタらはこう思ってるんだろ?俺が変な真似をするんじゃねぇかって。信用出来ねぇのはしょうがない事かもしれねぇが、ここに長居するのは良くねぇんだって。なるべく早くこの島を出ねぇとッ・・・」
デイヴィスが事の真意を伝えようとしたところで、彼らへ向けられる殺気に気付いたデイヴィスとミアの使役する精霊ウンディーネが危険を知らせる。
「ミアッ!伏せてッ!」
「クソッ!丁度良いところにッ・・・!」
ウンディーネは反応の遅れたミアの足元を水で滑らせ転ばせると、水のクッションを作り地面スレスレで受け止める。そしてデイヴィスは、何故かシンの拘束を抜け出し彼に飛びかかると、地面に倒し伏せさせた。
地面に伏せた三人の頭上を鋭い何かが通過し、近くにあった木へと突き刺さった。木材を打ち鳴らす乾いた音が数回、周囲へ響き渡る。顔を上げて音のした方を見てみると、そこには何かの液体のようなものを垂らして、木に深々と突き刺さる矢があった。
何者かによる襲撃。そしてそれはシン達と話をしていたデイヴィスへも放たれていた。つまりシン達とデイヴィスの他に、第三の勢力がこの島にやって来たのか、既に潜んでいたことになる。
「何だ!?一体誰がッ・・・」
「だから言ったんだ!早くしねぇと後続組が来ちまうってッ・・・言おうとしたんだ。ったく、一々予定を狂わされるッ・・・!」
誰よりも先に起き上がり、木に突き刺さった矢の方向を確かめると、攻撃を仕掛けて来たであろう方へ向かって身をかがめたまま、素早い動きで駆け抜けていく。その途中、何本もの矢が飛んで来るがまるで蛇のように蛇行しながら、勢いを落とすことなく射手の位置を見定めると、シンに負けずとも劣らない速さで左右から投擲する。
木の上から弓矢を射っていた射手は、それを左右に避けるが視線をデイヴィスから逸らしたことで見失ってしまう。その隙に木を登り射手の元へやって来ると、そのまま縛り上げて飛び降りると同時に射手の男を枝に吊るした。
「ぐっぁぁぁ!」
「出てこいよ!さも無いと、お仲間が傷付くことになるぜ?」
吊るされた男にナイフの先を突き立てるデイヴィス。しかし相手は彼の要求に乗らず、人質のことなど気にする様子もなくデイヴィスへ向けて、引き続き矢を放った。彼は背後に目でもあるのか、四方八方から飛んで来た矢を見事に躱して見せる。
「なんて奴らだよ・・・。どうやらお前さん、仲間に見捨てられたようだな」
「捕まった俺が悪いッ・・・。俺だって同じことをするさ・・・!」
「そうかい・・・。そりぁ大したご覚悟で・・・」
するとデイヴィスは、要求を飲まず攻撃を仕掛けて来た射手の男の仲間の行いに対して、報いを受けさせる。死なぬ程度に吊るされた男をナイフで切りつけ、苦痛と悲鳴を上げさせる。
同時に草むらから一発の銃声がなると、木々の後ろの方で血飛沫を上げて倒れる人影があった。更に数人の者達が中へと舞い上がり、デイヴィスの元へと投げ飛ばされて来る。何事かと周囲を見渡すと、草むらから身体を起こし立ち上がるライフルを持ったミアと、影のスキルで襲撃者を一網打尽にし集めたシンが、その姿を現した。
ミアが撃ち抜いたのは、如何やらこの者達の頭だったようで、ボスを失った彼らは抵抗することなくデイヴィスの指示通り、残りの面々も武器を捨てあちらこちらから姿を現す。
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