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トドメの一撃
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シンのおかげで、無事にロロネーの意識の中へと潜り込むことが出来たチン・シー。彼女の計らいにより、煙に巻かれた中でロロネー位置を探知することが出来た。これは彼女のリンク能力を普段から使用している、チン・シー海賊団の一味であることが大きく左右している。
通常、リンクとは対象に接続し様々なものを共有する能力だが、日頃から多くの戦いの中でチン・シーとリンクして来たハオランやシュユー達は、彼女のリンク能力を感じ取ることが出来るようになったいた。
リンク無しに言葉をやり取りすることは出来ないが、彼女が何かを発していることぐらいは感じ取ることが出来る。故に、爆風と煙の中でハオランは、迫りくるロロネーの気配に気づき、反撃の動きをとることが出来ていたのだ。
「ロロネーよ、お前の悪事もここまでよ・・・」
「その声は・・・、チン・シー・・・?何故だ、何処にいる?」
まるで幻聴でも聴いているかのように、フラフラと歩き始め周囲を見渡すロロネー。ハオランの暗器による一撃は、その衰弱した身体に深く染み渡り、それまでの勢いを一気に削り取るものとなった。
「そこに居られたのですか・・・。なるほど、だからシンさんはあんなことを・・・」
シンの言っていたチン・シーの所在。彼女は無事で、まだ戦う意志がある。それはシンのスキルに乗り、ロロネーの意思の中へリンクし、男の内なる者との決着をつけるという意味だった。
ロロネーの本体をハオランが。内なるロロネーをチン・シーが。双方からこの悪逆非道の道を歩む者を打ち払わんとしていた。憔悴したロロネーにそれを理解することは出来なかった。
チン・シーは未だ見つからず、船上の何処かに潜んでいるのではないか。そんな幻覚を探し、哀れにも声を上げ続けている。決して見つかることのない、彼女の実像を探して。
「出てこいッ!コソコソと汚ねぇ真似をしやがって・・・。お前の仕業だろ?俺の身体が思い通りに動かなかったのは・・・」
「最早これまで・・・。主人よ、この者に引導をくれてやりましょう!」
これ以上の反撃はない。ハオランは残る全ての力をその拳に乗せ、得意の武術による攻撃の体勢に入る。彼の周りに再び風が巻き起こり、力を貯める拳に光が宿る。それだけ大きな反応を起こしていれば、当然ロロネーも彼の予備動作に気づく。
だが、ロロネーにこれを避けるだけの余力は残っていない。男は自身に向けられる殺気の中心へ向けて、歩き始める。船上の様子を見に、下の階層からシンが現れ、変わり果てたロロネーの様子を見て勝敗の行方を悟る。
最早手を貸すまでもないだろう。未だ布都御魂剣の能力を発動し続けているツクヨに、これ以上ロロネーと戦うことは無いと合図を送る。気を張っていたツクヨから肩の力がぬけ、床に深く腰を下ろす。
「終わった・・・のか?まだロロネーは生きているようだけど・・・」
「終わらせるのはこれから。次の一撃で最期になるだろう・・・」
最期になるとは、どちら側のことなのか。それもシンの落ち着いた様子を見れば、自ずと答えは見えて来るだろう。
それよりもシンが気になったのは、ロロネーの身体に幾つも打ち込まれた手裏剣と、僅かに光りを反射させ漸く視認出来るほどの、細く糸のように伸ばされた鉄線だった。
見るからに暗殺や不意打ちをするのに適した道具。正しくシンのクラスであるアサシンが使うような暗器そのものだった。何故彼がこんなものを持っているのか。そして何処でその扱い方を覚えたのか。
もしかしたらハオラン自身、或いはその知り合いにアサシンギルドとの関係があるのではないだろうか。これまで街や村でアサシンギルドを探していたシンだったが、何故か何処にもその所在を知る者はおらず、同じアサシンの者達とも出会わない。
そもそも、アサシンギルドというものが公に晒されているものでもない、少し特殊なギルドであることも一つの要因となっている。
ハオランがロロネーを倒した暁には、何かヒントとなるものが得られるかもしれない。シンの中にはそんな期待も生まれ始めていた。
ロロネーがハオランの間合いに近づく。アサシンのスキルは敵の急所を捉える、謂わばクリティカルを狙った攻撃がメインとなる。ハオランの攻撃にその技術が応用されているのならば、彼の風を纏った武器の効果もあり、想像以上のダメージが入っていることだろう。
「・・・そんな見え見えの攻撃が、俺に・・・当たるかよッ・・・」
無言でその時を待つハオラン。そしてロロネーが彼の間合いに、一歩足を踏み入れた瞬間、天をも穿つ程の拳と衝撃波が男の身体を貫いた。
通常、リンクとは対象に接続し様々なものを共有する能力だが、日頃から多くの戦いの中でチン・シーとリンクして来たハオランやシュユー達は、彼女のリンク能力を感じ取ることが出来るようになったいた。
リンク無しに言葉をやり取りすることは出来ないが、彼女が何かを発していることぐらいは感じ取ることが出来る。故に、爆風と煙の中でハオランは、迫りくるロロネーの気配に気づき、反撃の動きをとることが出来ていたのだ。
「ロロネーよ、お前の悪事もここまでよ・・・」
「その声は・・・、チン・シー・・・?何故だ、何処にいる?」
まるで幻聴でも聴いているかのように、フラフラと歩き始め周囲を見渡すロロネー。ハオランの暗器による一撃は、その衰弱した身体に深く染み渡り、それまでの勢いを一気に削り取るものとなった。
「そこに居られたのですか・・・。なるほど、だからシンさんはあんなことを・・・」
シンの言っていたチン・シーの所在。彼女は無事で、まだ戦う意志がある。それはシンのスキルに乗り、ロロネーの意思の中へリンクし、男の内なる者との決着をつけるという意味だった。
ロロネーの本体をハオランが。内なるロロネーをチン・シーが。双方からこの悪逆非道の道を歩む者を打ち払わんとしていた。憔悴したロロネーにそれを理解することは出来なかった。
チン・シーは未だ見つからず、船上の何処かに潜んでいるのではないか。そんな幻覚を探し、哀れにも声を上げ続けている。決して見つかることのない、彼女の実像を探して。
「出てこいッ!コソコソと汚ねぇ真似をしやがって・・・。お前の仕業だろ?俺の身体が思い通りに動かなかったのは・・・」
「最早これまで・・・。主人よ、この者に引導をくれてやりましょう!」
これ以上の反撃はない。ハオランは残る全ての力をその拳に乗せ、得意の武術による攻撃の体勢に入る。彼の周りに再び風が巻き起こり、力を貯める拳に光が宿る。それだけ大きな反応を起こしていれば、当然ロロネーも彼の予備動作に気づく。
だが、ロロネーにこれを避けるだけの余力は残っていない。男は自身に向けられる殺気の中心へ向けて、歩き始める。船上の様子を見に、下の階層からシンが現れ、変わり果てたロロネーの様子を見て勝敗の行方を悟る。
最早手を貸すまでもないだろう。未だ布都御魂剣の能力を発動し続けているツクヨに、これ以上ロロネーと戦うことは無いと合図を送る。気を張っていたツクヨから肩の力がぬけ、床に深く腰を下ろす。
「終わった・・・のか?まだロロネーは生きているようだけど・・・」
「終わらせるのはこれから。次の一撃で最期になるだろう・・・」
最期になるとは、どちら側のことなのか。それもシンの落ち着いた様子を見れば、自ずと答えは見えて来るだろう。
それよりもシンが気になったのは、ロロネーの身体に幾つも打ち込まれた手裏剣と、僅かに光りを反射させ漸く視認出来るほどの、細く糸のように伸ばされた鉄線だった。
見るからに暗殺や不意打ちをするのに適した道具。正しくシンのクラスであるアサシンが使うような暗器そのものだった。何故彼がこんなものを持っているのか。そして何処でその扱い方を覚えたのか。
もしかしたらハオラン自身、或いはその知り合いにアサシンギルドとの関係があるのではないだろうか。これまで街や村でアサシンギルドを探していたシンだったが、何故か何処にもその所在を知る者はおらず、同じアサシンの者達とも出会わない。
そもそも、アサシンギルドというものが公に晒されているものでもない、少し特殊なギルドであることも一つの要因となっている。
ハオランがロロネーを倒した暁には、何かヒントとなるものが得られるかもしれない。シンの中にはそんな期待も生まれ始めていた。
ロロネーがハオランの間合いに近づく。アサシンのスキルは敵の急所を捉える、謂わばクリティカルを狙った攻撃がメインとなる。ハオランの攻撃にその技術が応用されているのならば、彼の風を纏った武器の効果もあり、想像以上のダメージが入っていることだろう。
「・・・そんな見え見えの攻撃が、俺に・・・当たるかよッ・・・」
無言でその時を待つハオラン。そしてロロネーが彼の間合いに、一歩足を踏み入れた瞬間、天をも穿つ程の拳と衝撃波が男の身体を貫いた。
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