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脱出の目論み
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食堂を脱し通路を駆け抜けたミアは、一先ず自身の乗って来たボードのところまで戻ることにした。彼らに迫る驚異の排除も目的の一つではあるが、優先順位が違う。ミアがここで、この濃霧の中にある驚異であろうあの少年に手を拱いていては、今も尚異変に襲われているチン・シー軍が、更なる混乱を招きかねない。
それに何よりも、この状況を一人で打開するのは非常に困難だ。友軍と協力し迎え撃つこが出来れば、今よりはマシな結果となるだろう。その為にも先ずは、この船を脱出しなければならない。
船底へと下降していくミアは、物資の大量に積まれた部屋へとやって来る。そこには武器や砲弾、日用品から財宝まで様々な物が積み込まれていた。そこで銃弾や、属性弾に必要な素材を拝借する。
「野郎・・・何で感電しなかった?それとも電圧が足りなかったということなのか・・・」
本来であれば、水属性に対し雷属性というのは相性が良いとされている。それが、あの電圧の中で少年は、何事もなかったかのように笑っていた。彼自身も、自分の属性や性質の弱点について詳しい筈。
何度も戦いを重ねる中で、相手がどんな手段に出るのか、ある程度決まって来るものだろう。ましてやあれだけ属性の分かりやすい見た目をしていれば尚更のこと。雷や冷気に対する対策や抗体を持っていたとしても、おかしくない。
脱出するにしても、彼の包囲網から見つからずに逃れるのは不可能だ。何とかして彼の隙を作る必要がある場面が、必ずやって来るだろう。
「少しで良い・・・奴の動きを止められれば・・・?電気が通らない水・・・」
何か引っかかるものがあったミアは、周りにある物資を徐に漁り、ある物を探し出す。彼女が主に漁っていたのは、武器や弾薬などではなく戦闘とは程遠い、日用品に当たる物資を中心に探していた。
その中でも、袋に詰められた物。人が乗っていて、ある程度の日にちを航海するであろう船なら必ずありそうな物を霧中になって探す。
「確かこの船には食堂のようなものがあったよな・・・。ならある筈だ・・・、作ってる暇なんてねぇ。少し・・・いや、一袋でもありゃぁ良いんだが・・・」
積まれた荷物を乱雑に床へと置いていき、物資の山を少しずつ崩していく。酒の入った箱や缶詰、様々な土地から取れたであろう色とりどりの果物。そして彼女が探している袋詰めにされた物達が姿を現す。
洗剤や重曹、小麦粉に砂糖など、ミア達の居た現実世界にもある親しみの深いものが、この世界のその時代に合わせた保存方法で袋や布などで包まれていた。そして漸くミアは、探していたお目当ての物を見つける。
「あったッ!・・・よし、これだけありゃ十分だ!後はこの船の動力室にこいつを運んで・・・」
そう言うとミアは、探していたお目当ての物を担ぎ上げ、船の底の部分に位置する動力室を目指して移動を開始した。船の底へ向かうにつれ、水の量が少しずつ増えていっている。
内部の損壊も激しく、至るところから水漏れを起こしている。この中のどれかに、少年の水が混じっているのかと思うと、自ずと避けて歩くようになる。幸運なことに、道中少年に遭遇することなく、安全に動力室にまでやって来ることが出来た彼女は、扉を開けて中へと入る。
動力室の損壊も激しく、外の海水が入り込んでいるのか、壁や床から水が溢れ出てきていた。外装が大きく壊れた機械からはバチバチと火花が上がっており、本来通っていたであろう電気が漏れ出している。
「ギリギリ・・・といったところか。チャンスは一度しかなさそうだな・・・」
担いでいた荷物を下ろし顔を上げると、そこには彼女の不意をつくようにして現れた少年の姿があった。まるでここに向かってやって来るのを知っていたかのように、余裕を見せて待っていたのだ。
「チャンスなんて希望はありませんよ。倉庫から何かを運んで来ていたようですが・・・それも無駄なこと。追いかけっこも、もう終わりです」
「なんだよ、せっかちなんだなぁ。これから招待状を送ろと思ってたのによ」
額に恐怖か緊張から来る物なのか、大粒の汗を垂らしながらも、必死にそれを表に出さないよう強がって見せるミア。それもその筈。不意をついて油断させようと準備をしようとしていた所に、主役が現れてしまったのだ。
作戦が悟られれば全てが無駄になる。それだけは何としても避けなければならない。この状況で思いつく脱出の機会など、今彼女が思いつくのはコレだけしかないのだから。
それに何よりも、この状況を一人で打開するのは非常に困難だ。友軍と協力し迎え撃つこが出来れば、今よりはマシな結果となるだろう。その為にも先ずは、この船を脱出しなければならない。
船底へと下降していくミアは、物資の大量に積まれた部屋へとやって来る。そこには武器や砲弾、日用品から財宝まで様々な物が積み込まれていた。そこで銃弾や、属性弾に必要な素材を拝借する。
「野郎・・・何で感電しなかった?それとも電圧が足りなかったということなのか・・・」
本来であれば、水属性に対し雷属性というのは相性が良いとされている。それが、あの電圧の中で少年は、何事もなかったかのように笑っていた。彼自身も、自分の属性や性質の弱点について詳しい筈。
何度も戦いを重ねる中で、相手がどんな手段に出るのか、ある程度決まって来るものだろう。ましてやあれだけ属性の分かりやすい見た目をしていれば尚更のこと。雷や冷気に対する対策や抗体を持っていたとしても、おかしくない。
脱出するにしても、彼の包囲網から見つからずに逃れるのは不可能だ。何とかして彼の隙を作る必要がある場面が、必ずやって来るだろう。
「少しで良い・・・奴の動きを止められれば・・・?電気が通らない水・・・」
何か引っかかるものがあったミアは、周りにある物資を徐に漁り、ある物を探し出す。彼女が主に漁っていたのは、武器や弾薬などではなく戦闘とは程遠い、日用品に当たる物資を中心に探していた。
その中でも、袋に詰められた物。人が乗っていて、ある程度の日にちを航海するであろう船なら必ずありそうな物を霧中になって探す。
「確かこの船には食堂のようなものがあったよな・・・。ならある筈だ・・・、作ってる暇なんてねぇ。少し・・・いや、一袋でもありゃぁ良いんだが・・・」
積まれた荷物を乱雑に床へと置いていき、物資の山を少しずつ崩していく。酒の入った箱や缶詰、様々な土地から取れたであろう色とりどりの果物。そして彼女が探している袋詰めにされた物達が姿を現す。
洗剤や重曹、小麦粉に砂糖など、ミア達の居た現実世界にもある親しみの深いものが、この世界のその時代に合わせた保存方法で袋や布などで包まれていた。そして漸くミアは、探していたお目当ての物を見つける。
「あったッ!・・・よし、これだけありゃ十分だ!後はこの船の動力室にこいつを運んで・・・」
そう言うとミアは、探していたお目当ての物を担ぎ上げ、船の底の部分に位置する動力室を目指して移動を開始した。船の底へ向かうにつれ、水の量が少しずつ増えていっている。
内部の損壊も激しく、至るところから水漏れを起こしている。この中のどれかに、少年の水が混じっているのかと思うと、自ずと避けて歩くようになる。幸運なことに、道中少年に遭遇することなく、安全に動力室にまでやって来ることが出来た彼女は、扉を開けて中へと入る。
動力室の損壊も激しく、外の海水が入り込んでいるのか、壁や床から水が溢れ出てきていた。外装が大きく壊れた機械からはバチバチと火花が上がっており、本来通っていたであろう電気が漏れ出している。
「ギリギリ・・・といったところか。チャンスは一度しかなさそうだな・・・」
担いでいた荷物を下ろし顔を上げると、そこには彼女の不意をつくようにして現れた少年の姿があった。まるでここに向かってやって来るのを知っていたかのように、余裕を見せて待っていたのだ。
「チャンスなんて希望はありませんよ。倉庫から何かを運んで来ていたようですが・・・それも無駄なこと。追いかけっこも、もう終わりです」
「なんだよ、せっかちなんだなぁ。これから招待状を送ろと思ってたのによ」
額に恐怖か緊張から来る物なのか、大粒の汗を垂らしながらも、必死にそれを表に出さないよう強がって見せるミア。それもその筈。不意をついて油断させようと準備をしようとしていた所に、主役が現れてしまったのだ。
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