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飛び交う炎の先に
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ミアの助力の甲斐もあり、亡霊による脅威を跳ね除けることに成功したチン・シー海賊団。しかし、対抗手段は見つけたものの、未だ濃霧の奥より海賊の亡霊は海を越え、彼らの船へとやって来る。
銃をライフルに持ち替え、霧の向こうから飛来する亡霊を凍結弾で撃ち落としていくミア。撃ち漏らしや、船にまで到着されてしまったものは、船員達に任せながら濃霧の中の増援に警戒する。
「増援の進行が遅い・・・。何者かが進軍を抑えているのか?」
霧の向こうでは、依然ハオランが敵の襲撃と船の撃沈、そしてロロネーの捜索を行なっている。ミアの覗くスコープに、薄らと光を放ちながら海の底へと沈んでいく海賊船が見える。
ミアは試しに、船に乗っているロロネー海賊団の船員を狙撃してみた。亡霊と見た目の違う者には実弾が命中したが、その代わりに彼女が外した実弾がその船に当たると、弾は命中したことを知らせる着弾音や銃痕を残すことなく、海賊船をすり抜けていったのだ。
「何だあれは・・・。亡霊と同じ性質を持っているのか?なら、あの乗組員はどうなっている・・・。奴らは落ちる事はないのか?」
ロロネー海賊団の起こす不可解な現象に困惑するミアだったが、今は先ず敵の進軍の手を緩めるために尽力する。亡霊の数が減り、反撃の機会を得たチン・シー軍は、再びシュユーの力を共有し、エンチャントした火矢を増援に向かって撃ち放つ。
亡霊と違い、海賊船の方には火属性が有効だった。命中した箇所から炎が燃え広がり、船諸共全てを飲み込み掃討することが可能だからだ。それに加え、シュユー自身が火属性に長けた魔法を得意としているため、他の属性が扱えないというのも重なってのことだ。
「さて・・・そろそろ頃合いかぁ?これからが本当の地獄だぜぇ」
今まで一切動く気配のなかった男が、チン・シー軍の消耗と疲弊を観て遂に重い腰を上げる。それまでも十分異色な戦闘となっていたが、彼の参戦で戦況は再び大きく傾くことになる。
初めに戦況が動き出したのは、チン・シー海賊団の主船とその周辺だった。濃霧より飛来する亡霊と進軍するロロネーの増援部隊へ、火矢を放ち対抗していたが、異変は突然訪れた。
火矢を放っていた船員達の足元に、矢のような物が刺さる音が聞こえてきた。射撃の手を止め、ふとその音のした方へ顔を向けると、そこには小さく燻る炎と、一本の矢が刺さっていたのだ。
「・・・・・?」
船員の一人がそれに気付くも、誰かが落としてしまったのか、射撃に失敗したのかくらいにしか思わなかった。彼は今手にしている矢を敵軍へ放つと、足元に落ちている矢を拾い上げ、リンクしたシュユーの力を使って矢先に火を灯し、再び敵軍へと撃ち放つ。
飛んで行く矢を見送る船員。だが、自身が敵軍へ向けて放った筈の方向から、ぼんやりと橙色の明かりがこちらへ向かって来るのが見えた。それまで彼らの船に飛んで来るものと言えば、海賊の亡霊くらいのものだった為、何が近づいて来るのかと、目を凝らして凝視する船員。
徐々に正体を現したその光は何と、先程自分がはなった物と同じ、矢先に炎を纏った矢だったのだ。
「なッ・・・!火矢だと!?奴らも遠距離の攻撃を仕掛けてきたぞッ!」
飛んでくる火矢を剣で弾き落とし、周囲の者達へと知らせる。そしてその戦況の動きは、直ぐに彼らの総大将であるチン・シーの元へも伝わっていった。
「ロロネーの増援より、反撃を受けています!我々と同じ火を用いた矢を放って来ました!」
「同じ火矢だと・・・?奴め、挑発のつもりか?海上戦において、我らの炎を越えられるとでも思おておるのか・・・。臆する事はないッ!火の扱いで我らの右に出る者などおらぬ!悪戯に火を扱えば火傷することを、奴らに教えてやれ!」
彼女らは敵軍の反撃を迎え撃つ構えのようだ。双方へ飛び交う矢の数はほぼ同じ。互いに怯むことなく火矢を放っては、飛んで来る物を弾き落としていく。
そして濃霧を突き進み、漸く姿を現した海賊船は、何とチン・シー海賊団の船だったのだ。
銃をライフルに持ち替え、霧の向こうから飛来する亡霊を凍結弾で撃ち落としていくミア。撃ち漏らしや、船にまで到着されてしまったものは、船員達に任せながら濃霧の中の増援に警戒する。
「増援の進行が遅い・・・。何者かが進軍を抑えているのか?」
霧の向こうでは、依然ハオランが敵の襲撃と船の撃沈、そしてロロネーの捜索を行なっている。ミアの覗くスコープに、薄らと光を放ちながら海の底へと沈んでいく海賊船が見える。
ミアは試しに、船に乗っているロロネー海賊団の船員を狙撃してみた。亡霊と見た目の違う者には実弾が命中したが、その代わりに彼女が外した実弾がその船に当たると、弾は命中したことを知らせる着弾音や銃痕を残すことなく、海賊船をすり抜けていったのだ。
「何だあれは・・・。亡霊と同じ性質を持っているのか?なら、あの乗組員はどうなっている・・・。奴らは落ちる事はないのか?」
ロロネー海賊団の起こす不可解な現象に困惑するミアだったが、今は先ず敵の進軍の手を緩めるために尽力する。亡霊の数が減り、反撃の機会を得たチン・シー軍は、再びシュユーの力を共有し、エンチャントした火矢を増援に向かって撃ち放つ。
亡霊と違い、海賊船の方には火属性が有効だった。命中した箇所から炎が燃え広がり、船諸共全てを飲み込み掃討することが可能だからだ。それに加え、シュユー自身が火属性に長けた魔法を得意としているため、他の属性が扱えないというのも重なってのことだ。
「さて・・・そろそろ頃合いかぁ?これからが本当の地獄だぜぇ」
今まで一切動く気配のなかった男が、チン・シー軍の消耗と疲弊を観て遂に重い腰を上げる。それまでも十分異色な戦闘となっていたが、彼の参戦で戦況は再び大きく傾くことになる。
初めに戦況が動き出したのは、チン・シー海賊団の主船とその周辺だった。濃霧より飛来する亡霊と進軍するロロネーの増援部隊へ、火矢を放ち対抗していたが、異変は突然訪れた。
火矢を放っていた船員達の足元に、矢のような物が刺さる音が聞こえてきた。射撃の手を止め、ふとその音のした方へ顔を向けると、そこには小さく燻る炎と、一本の矢が刺さっていたのだ。
「・・・・・?」
船員の一人がそれに気付くも、誰かが落としてしまったのか、射撃に失敗したのかくらいにしか思わなかった。彼は今手にしている矢を敵軍へ放つと、足元に落ちている矢を拾い上げ、リンクしたシュユーの力を使って矢先に火を灯し、再び敵軍へと撃ち放つ。
飛んで行く矢を見送る船員。だが、自身が敵軍へ向けて放った筈の方向から、ぼんやりと橙色の明かりがこちらへ向かって来るのが見えた。それまで彼らの船に飛んで来るものと言えば、海賊の亡霊くらいのものだった為、何が近づいて来るのかと、目を凝らして凝視する船員。
徐々に正体を現したその光は何と、先程自分がはなった物と同じ、矢先に炎を纏った矢だったのだ。
「なッ・・・!火矢だと!?奴らも遠距離の攻撃を仕掛けてきたぞッ!」
飛んでくる火矢を剣で弾き落とし、周囲の者達へと知らせる。そしてその戦況の動きは、直ぐに彼らの総大将であるチン・シーの元へも伝わっていった。
「ロロネーの増援より、反撃を受けています!我々と同じ火を用いた矢を放って来ました!」
「同じ火矢だと・・・?奴め、挑発のつもりか?海上戦において、我らの炎を越えられるとでも思おておるのか・・・。臆する事はないッ!火の扱いで我らの右に出る者などおらぬ!悪戯に火を扱えば火傷することを、奴らに教えてやれ!」
彼女らは敵軍の反撃を迎え撃つ構えのようだ。双方へ飛び交う矢の数はほぼ同じ。互いに怯むことなく火矢を放っては、飛んで来る物を弾き落としていく。
そして濃霧を突き進み、漸く姿を現した海賊船は、何とチン・シー海賊団の船だったのだ。
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