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周到な仕掛け
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必死に何かをし出そうともがくロッシュの身体を一通り見渡してみるが、彼と戦った時に見た光のような反応が見当たらない。最初は反応が見られない事に困惑したが、どうやら単純に周りの明るさが影響しているようで、室内で見た光は周りが暗かったこともあり見つけやすかったが、日の光があるとたちまち見つけるのが困難になる。
シンは片眼をテュルプ・オーブに切り替え、ロッシュの身体の反応を伺う。すると二人が危惧していた通り、彼の身体を這うようにして移動しているミラーニューロンの反応が見つかった。
「やはり・・・ロッシュの身体に例の光と同じ反応があった」
シンの言う光が何なのか、それを確かめようとシルヴィがシンの横から顔を覗かせる。しかし彼女は眉をひそませながらロッシュの身体を隈なく見渡すが、どうやら肉眼では見つけにくいようで、何処にシンの言う光があるのか探している。
「本当かッ!?・・・・で?何処にその光ってやつがあるんだ?俺には見えねぇが・・・」
「如何やら明るいと見えにくいみたいだ。一つだけこの男の身体を動き回ってる光が見える。これが俺達の動きをおかしくさせていた原因だ。だが・・・何故一人でに動き出している・・・?こういうものなのか・・・」
ロッシュの身体を這っている光は、ウネウネと一人でに動き、如何にかこの身体を動かそうとしている。この光が意思を持っているのか、はたまた別の何者かによって動かされているのか。後者の場合、こうなる事を読んで既にロッシュの中へと仕込んでいたことになるだろう。
だが、それにはロッシュと同じパイロットのクラスに就いていなければならない事になる。それとも彼らが知らないだけで、何か別の方法があるのだろうか。
「どうする?このままにして様子を見るか、直ぐに排除するか・・・?」
シンはシルヴィに、ロッシュの身体にある光の対処を委ねる。ここはグレイス軍の者に対処を任せるのが良いだろう。援軍で訪れた身のシンが、一人で判断出来ることではない。それに本音を言えば、この責任を一人で背負い切れるほどの神経をしていないのが、シンの心境だった。
「排除出来るなら直ぐに排除してくれ。こんな得体の知れないものを少しでもこの場に置いておくことは危険だ」
意外な事に、シルヴィの返答は早かった。特にグレイスへ指示を仰ぐ事もなく、即答でその場に最適な結論を出した。彼女なりに海賊団の中で、グレイスの戦斧と言われるほど危機を乗り越えてきた戦いの中での感が、そうさせたのだろう。
確かに調べることも重要かも知れないが、グレイスがこの得体の知れない光に命を奪われかけたのも事実。以前にもこんな事があったが、分からない事に時間を費やすことほど無駄なことはない。彼女は本能的にそれがわかっていたのだろう。
「分かった。影を海へ繋げてこの光を外に追い出す」
シンはロッシュの身体の下にある影を使い、船底の海に面したところへ影を繋ぐ。そしてロッシュの身体を這っている光を影の中に追い込むと、光はそれ以降彼の身体から消えてなくなった。
「コイツの身体も、これ以上ここに置いておくのも危険かも知れんな・・・。もう調べることもない、ロッシュの身体を海へ捨てておけ!」
シンによる光の排除が終わると、シルヴィは部下の者達にロッシュの身体を海へ捨てさせる指示を出す。彼女の言う通り、まだ何か仕込んであるとも限らない。何かある前に処分してしまうのが得策だろう。
シルヴィはシンをグレイスを運んだ船の方へ連れて行こうと、親指と首でその方向を指すジェスチャーをとっている。先を急ぐ身ではあるが、別れの挨拶くらい済ませておかねば非礼と思われ兼ねない。
それ程時間がかかることでもあるまいと、シンは彼女の案内についていく事にした。
既にロッシュ海賊団の残党狩りは終わり、戦いの慌ただしさは無くなっていた。手慣れた様子で物資を自軍の船へと運ぶグレイスの船員達。ロッシュも言っていた通り、敗者は全てを奪われる。彼らはロッシュの船に積んである財宝や食料、武具などの戦利品を箱に詰め、船へ積んで行く。
「珍しいか?綺麗事を言ってはいるが、俺ら海賊ってのはこういうモンさ。だからって、何も奪わず船ごとうみの藻屑になっちまうくらいなら、生者である奴らがそれらを使う方がいいだろ?酷いように見えるかも知れねぇが、これが俺らの世界よぉッ!なるべく無駄な物はなくす。全てが勝者の糧になるんだ」
「悪い・・・そんなつもりで見ていた訳じゃないんだが・・・でも、うん・・・そういうのは大事・・・なのかも知れないな」
これは人それぞれの考え方の違いなのかも知れない。海賊をよく知らないシンにとっては横暴な強奪に見れるのかも知れないが、きっと彼らが戦利品を持って行かねば、このまま海の底へと沈んで行くだけ。誰の為にもならないゴミと化してしまうだろう。
そんな物を海に放置するくらいなら、持ち主のいなくなった物を勝者が引き継いでいく事で、海を汚すこともなく物資はまた人の間を巡り始める。謂わば循環のようなもの。奪うのではなく、引き継ぐのだ。
グレイスを乗せた船が目前に迫った頃、シンやシルヴィが今いるロッシュの船の後方で、何やら大きな爆発音がした。突然のことに、急ぎ二人は振り返る。音の元凶は、どうやら先程まで二人がいたロッシュの遺体付近のようだ。
「ッ・・・!!何事だッ!」
大きな声を張り上げ、状況を知る者の返答を待つシルヴィに、先程まで一緒にいたグレイス軍の船員が足を引き摺りながら近づき、何が起きたのかを話し始める。
「シッ・・・シルヴィさんッ!ロッシュの身体を板に括り付け、海へ運ぼうとしたら、突然遺体が大きな爆発を・・・。現在どのような状況になっているのか、分かりません・・・」
「なッ・・・爆発だとッ!?」
シルヴィが危惧していた通り、ロッシュの遺体にはまだ何かが仕組まれていた。この爆発が最後の攻撃とも限らない。シルヴィはロッシュの船で作業をしていた船員達に、直ちに撤退するよう伝える。
大きな荷物はその場に捨て置き、急ぎ自軍の船を目指して駆けていく船員達。彼らの撤退が完了するギリギリまでシルヴィはここに残るつもりだろう。シンも避難するように促されたが、最悪スキルでシルヴィごと移動できると言い、一緒に状況を見る事にした。
シンは片眼をテュルプ・オーブに切り替え、ロッシュの身体の反応を伺う。すると二人が危惧していた通り、彼の身体を這うようにして移動しているミラーニューロンの反応が見つかった。
「やはり・・・ロッシュの身体に例の光と同じ反応があった」
シンの言う光が何なのか、それを確かめようとシルヴィがシンの横から顔を覗かせる。しかし彼女は眉をひそませながらロッシュの身体を隈なく見渡すが、どうやら肉眼では見つけにくいようで、何処にシンの言う光があるのか探している。
「本当かッ!?・・・・で?何処にその光ってやつがあるんだ?俺には見えねぇが・・・」
「如何やら明るいと見えにくいみたいだ。一つだけこの男の身体を動き回ってる光が見える。これが俺達の動きをおかしくさせていた原因だ。だが・・・何故一人でに動き出している・・・?こういうものなのか・・・」
ロッシュの身体を這っている光は、ウネウネと一人でに動き、如何にかこの身体を動かそうとしている。この光が意思を持っているのか、はたまた別の何者かによって動かされているのか。後者の場合、こうなる事を読んで既にロッシュの中へと仕込んでいたことになるだろう。
だが、それにはロッシュと同じパイロットのクラスに就いていなければならない事になる。それとも彼らが知らないだけで、何か別の方法があるのだろうか。
「どうする?このままにして様子を見るか、直ぐに排除するか・・・?」
シンはシルヴィに、ロッシュの身体にある光の対処を委ねる。ここはグレイス軍の者に対処を任せるのが良いだろう。援軍で訪れた身のシンが、一人で判断出来ることではない。それに本音を言えば、この責任を一人で背負い切れるほどの神経をしていないのが、シンの心境だった。
「排除出来るなら直ぐに排除してくれ。こんな得体の知れないものを少しでもこの場に置いておくことは危険だ」
意外な事に、シルヴィの返答は早かった。特にグレイスへ指示を仰ぐ事もなく、即答でその場に最適な結論を出した。彼女なりに海賊団の中で、グレイスの戦斧と言われるほど危機を乗り越えてきた戦いの中での感が、そうさせたのだろう。
確かに調べることも重要かも知れないが、グレイスがこの得体の知れない光に命を奪われかけたのも事実。以前にもこんな事があったが、分からない事に時間を費やすことほど無駄なことはない。彼女は本能的にそれがわかっていたのだろう。
「分かった。影を海へ繋げてこの光を外に追い出す」
シンはロッシュの身体の下にある影を使い、船底の海に面したところへ影を繋ぐ。そしてロッシュの身体を這っている光を影の中に追い込むと、光はそれ以降彼の身体から消えてなくなった。
「コイツの身体も、これ以上ここに置いておくのも危険かも知れんな・・・。もう調べることもない、ロッシュの身体を海へ捨てておけ!」
シンによる光の排除が終わると、シルヴィは部下の者達にロッシュの身体を海へ捨てさせる指示を出す。彼女の言う通り、まだ何か仕込んであるとも限らない。何かある前に処分してしまうのが得策だろう。
シルヴィはシンをグレイスを運んだ船の方へ連れて行こうと、親指と首でその方向を指すジェスチャーをとっている。先を急ぐ身ではあるが、別れの挨拶くらい済ませておかねば非礼と思われ兼ねない。
それ程時間がかかることでもあるまいと、シンは彼女の案内についていく事にした。
既にロッシュ海賊団の残党狩りは終わり、戦いの慌ただしさは無くなっていた。手慣れた様子で物資を自軍の船へと運ぶグレイスの船員達。ロッシュも言っていた通り、敗者は全てを奪われる。彼らはロッシュの船に積んである財宝や食料、武具などの戦利品を箱に詰め、船へ積んで行く。
「珍しいか?綺麗事を言ってはいるが、俺ら海賊ってのはこういうモンさ。だからって、何も奪わず船ごとうみの藻屑になっちまうくらいなら、生者である奴らがそれらを使う方がいいだろ?酷いように見えるかも知れねぇが、これが俺らの世界よぉッ!なるべく無駄な物はなくす。全てが勝者の糧になるんだ」
「悪い・・・そんなつもりで見ていた訳じゃないんだが・・・でも、うん・・・そういうのは大事・・・なのかも知れないな」
これは人それぞれの考え方の違いなのかも知れない。海賊をよく知らないシンにとっては横暴な強奪に見れるのかも知れないが、きっと彼らが戦利品を持って行かねば、このまま海の底へと沈んで行くだけ。誰の為にもならないゴミと化してしまうだろう。
そんな物を海に放置するくらいなら、持ち主のいなくなった物を勝者が引き継いでいく事で、海を汚すこともなく物資はまた人の間を巡り始める。謂わば循環のようなもの。奪うのではなく、引き継ぐのだ。
グレイスを乗せた船が目前に迫った頃、シンやシルヴィが今いるロッシュの船の後方で、何やら大きな爆発音がした。突然のことに、急ぎ二人は振り返る。音の元凶は、どうやら先程まで二人がいたロッシュの遺体付近のようだ。
「ッ・・・!!何事だッ!」
大きな声を張り上げ、状況を知る者の返答を待つシルヴィに、先程まで一緒にいたグレイス軍の船員が足を引き摺りながら近づき、何が起きたのかを話し始める。
「シッ・・・シルヴィさんッ!ロッシュの身体を板に括り付け、海へ運ぼうとしたら、突然遺体が大きな爆発を・・・。現在どのような状況になっているのか、分かりません・・・」
「なッ・・・爆発だとッ!?」
シルヴィが危惧していた通り、ロッシュの遺体にはまだ何かが仕組まれていた。この爆発が最後の攻撃とも限らない。シルヴィはロッシュの船で作業をしていた船員達に、直ちに撤退するよう伝える。
大きな荷物はその場に捨て置き、急ぎ自軍の船を目指して駆けていく船員達。彼らの撤退が完了するギリギリまでシルヴィはここに残るつもりだろう。シンも避難するように促されたが、最悪スキルでシルヴィごと移動できると言い、一緒に状況を見る事にした。
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