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死海文書
しおりを挟む どうして彼がエイヴリー海賊団と共にいるのか、シンとミアには分からなかった。だが、ツクヨは町での一件があったのでもしかしたらという予感はしていた様で、あの時マクシムを追って行ったのは、そういうことだったのかと悟る。
ヘラルトの様子を見て、何かを思い出したツバキが、シン達に昨日の出来事について教えてくれた。それは、別れ際に彼がツクヨに言っていたことであった。
「あっ・・・アイツだったのか?エイヴリーんとこに新しく入った新人ってのは・・・」
「え・・・?どういうこと?」
「アイツ・・・ヘラルトの奴が昨日、荷物を取りに来たんだ。アンタらが出掛けちまって居なかった間だよ。挨拶出来なかったことを謝っておいて欲しいって
頼まれたんだった・・・」
一行がツバキの船に乗ってくれる人と、レースについての情報収集をしている間の出来事だった様だ。丁度間が悪かったようで別れの挨拶が出来なかったことに、少し悔いが残る。だが、彼には彼の事情があったのは分かっていたことだ。
しかし、どうやらツバキは彼にその後のことを聞いてくれていたのだという。その話の中には、ツクヨとの会話にあったとある書物の名前が出てきたのだった。
「そんでこれからどうすんのかって聞いたら俺達と別れた後にアイツ、どうやらエイヴリーんとこのマクシムに会えたみたいでな。これから船長に交渉しに行くっつって嬉しそうにしてたんだ。その後暫くしてじじぃんところマクシムが来てよ、若い新人が入ったって話してたのを聞いたんだ」
ツバキの話を聞いて、ふと思ったことがあった。エイヴリー海賊団とは誰でも簡単に入れるものなのだろうか、という疑問だった。確かにヘラルトには変わった能力がある。しかしそれだけで年端も行かない者を入団させるとは思えない。
「エイヴリー海賊団って誰でも入れるものなのか?」
素朴な疑問をシンはツバキに投げかけた。子供の戯言を相手にするほど、エイヴリーという人物は寛容なのだろうか。そんな人物が洗礼を行なっているのも、そもそも海賊というものをしていること自体、不思議に思えた。
「そんな訳ねぇだろうよ。仮にも海賊だぜ?確かに人望のある人物だと聞いたことあるけどよ、海賊ってのがそんなあまっちょろい筈がねぇさ。ヘラルトの言ってた“交渉”ってのが入団の理由なんじゃねぇか?」
シンとミアが直接会ったことのあるキングとも並び立つと言われているエイヴリー。そんな彼を納得させられるだけの交渉手段を、ヘラルトは持っていたことになる。
「ヘラルトにそんな交渉出来るほどのカードがあったとは思えんが・・・?」
ミアの言う通り、作家というクラスで自作のキャラクターを創り出して戦闘を行えるという珍しさはあるが、それ自体でいえば召喚士のクラスと何ら変わらない。それほど目を引く魅力的な能力でもないだろう。シン達のようにこの世界に起きている異変を調べている訳でもなければ。
そこでツクヨが、ヘラルトとの二人での会話をした時のことを思い出した。そこで彼は気になる発言をしていたことを思い出す。金銀財宝を狙う海賊なら、もしや食いつくのではないかという、彼の持つとある書物。それこそ交渉に持ち出せるかもしれない物だとツクヨは考えた。
「死海文書・・・」
「・・・何だって?」
「君達と別れた後、ヘラルトとの会話の中で彼がそう言ったんだ。死海文書・・・、彼がこれまでの旅で手に入れてきた書物らしい。書かれている内容は様々で、財宝を記した宝の地図だったり、何かの儀式が書かれたものだったりと色々種類があるみたいでね。中には何のことを書いているのか理解出来ない日記のようなものもあって、彼は複数所持していると言っていた・・・」
シンとミアが今まで知り得なかった、ヘラルトの所持する死海文書。白獅達のデータベースに無い能力を持つヘラルトが集めているというだけで、何か異変に関係する代物では無いのかと思えてきてしまう一行。
分からないものは先ず、白獅にデータを調べてもらうのが得策であると踏んだシンは直ぐに彼に宛ててメッセージを作成すると、死海文書というものの存在が、WoFや現実世界に関係しているのかどうかを確認してもらうことにした。しかし、驚いたことに返事は直ぐにやって来た。
《死海文書ならこちらの・・・現実世界でも実在するものだぞ。それにWoFや現実世界に限ったことではない。我々アサシンギルドの面々の、それぞれの世界にも存在しているもののようだ》
「・・・・・え?」
呆気にとられているのか、驚きの余り言葉を失っているのか、恐らくその両方だろうと思われるシンの反応に気がついたミアが声をかける。だがそれが引き金となり、彼の驚きによる放心状態は誘爆することになる。
「どうした・・・?」
「ツクヨの言っている死海文書・・・、WoFの世界にも現実世界にも実在するみたいだ・・・。それだけじゃない、現実世界に転移して来たアサシンギルドの人達、彼らそれぞれの世界にも存在するんだ・・ ・」
ヘラルトの様子を見て、何かを思い出したツバキが、シン達に昨日の出来事について教えてくれた。それは、別れ際に彼がツクヨに言っていたことであった。
「あっ・・・アイツだったのか?エイヴリーんとこに新しく入った新人ってのは・・・」
「え・・・?どういうこと?」
「アイツ・・・ヘラルトの奴が昨日、荷物を取りに来たんだ。アンタらが出掛けちまって居なかった間だよ。挨拶出来なかったことを謝っておいて欲しいって
頼まれたんだった・・・」
一行がツバキの船に乗ってくれる人と、レースについての情報収集をしている間の出来事だった様だ。丁度間が悪かったようで別れの挨拶が出来なかったことに、少し悔いが残る。だが、彼には彼の事情があったのは分かっていたことだ。
しかし、どうやらツバキは彼にその後のことを聞いてくれていたのだという。その話の中には、ツクヨとの会話にあったとある書物の名前が出てきたのだった。
「そんでこれからどうすんのかって聞いたら俺達と別れた後にアイツ、どうやらエイヴリーんとこのマクシムに会えたみたいでな。これから船長に交渉しに行くっつって嬉しそうにしてたんだ。その後暫くしてじじぃんところマクシムが来てよ、若い新人が入ったって話してたのを聞いたんだ」
ツバキの話を聞いて、ふと思ったことがあった。エイヴリー海賊団とは誰でも簡単に入れるものなのだろうか、という疑問だった。確かにヘラルトには変わった能力がある。しかしそれだけで年端も行かない者を入団させるとは思えない。
「エイヴリー海賊団って誰でも入れるものなのか?」
素朴な疑問をシンはツバキに投げかけた。子供の戯言を相手にするほど、エイヴリーという人物は寛容なのだろうか。そんな人物が洗礼を行なっているのも、そもそも海賊というものをしていること自体、不思議に思えた。
「そんな訳ねぇだろうよ。仮にも海賊だぜ?確かに人望のある人物だと聞いたことあるけどよ、海賊ってのがそんなあまっちょろい筈がねぇさ。ヘラルトの言ってた“交渉”ってのが入団の理由なんじゃねぇか?」
シンとミアが直接会ったことのあるキングとも並び立つと言われているエイヴリー。そんな彼を納得させられるだけの交渉手段を、ヘラルトは持っていたことになる。
「ヘラルトにそんな交渉出来るほどのカードがあったとは思えんが・・・?」
ミアの言う通り、作家というクラスで自作のキャラクターを創り出して戦闘を行えるという珍しさはあるが、それ自体でいえば召喚士のクラスと何ら変わらない。それほど目を引く魅力的な能力でもないだろう。シン達のようにこの世界に起きている異変を調べている訳でもなければ。
そこでツクヨが、ヘラルトとの二人での会話をした時のことを思い出した。そこで彼は気になる発言をしていたことを思い出す。金銀財宝を狙う海賊なら、もしや食いつくのではないかという、彼の持つとある書物。それこそ交渉に持ち出せるかもしれない物だとツクヨは考えた。
「死海文書・・・」
「・・・何だって?」
「君達と別れた後、ヘラルトとの会話の中で彼がそう言ったんだ。死海文書・・・、彼がこれまでの旅で手に入れてきた書物らしい。書かれている内容は様々で、財宝を記した宝の地図だったり、何かの儀式が書かれたものだったりと色々種類があるみたいでね。中には何のことを書いているのか理解出来ない日記のようなものもあって、彼は複数所持していると言っていた・・・」
シンとミアが今まで知り得なかった、ヘラルトの所持する死海文書。白獅達のデータベースに無い能力を持つヘラルトが集めているというだけで、何か異変に関係する代物では無いのかと思えてきてしまう一行。
分からないものは先ず、白獅にデータを調べてもらうのが得策であると踏んだシンは直ぐに彼に宛ててメッセージを作成すると、死海文書というものの存在が、WoFや現実世界に関係しているのかどうかを確認してもらうことにした。しかし、驚いたことに返事は直ぐにやって来た。
《死海文書ならこちらの・・・現実世界でも実在するものだぞ。それにWoFや現実世界に限ったことではない。我々アサシンギルドの面々の、それぞれの世界にも存在しているもののようだ》
「・・・・・え?」
呆気にとられているのか、驚きの余り言葉を失っているのか、恐らくその両方だろうと思われるシンの反応に気がついたミアが声をかける。だがそれが引き金となり、彼の驚きによる放心状態は誘爆することになる。
「どうした・・・?」
「ツクヨの言っている死海文書・・・、WoFの世界にも現実世界にも実在するみたいだ・・・。それだけじゃない、現実世界に転移して来たアサシンギルドの人達、彼らそれぞれの世界にも存在するんだ・・ ・」
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