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悲壮の聖都
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モンスターとの戦いや、聖騎士との争いにより傷ついた聖都ユスティーチ。
シンとミアは、そんな崩壊した街並みを見て回りながら、聖都内で救援活動、及び復興作業の指揮を取っているというイデアールの元を目指す。
当然だが、まだ整備のされていない街頭には、モンスターが暴れまわった際に破壊したであろう建物の崩壊した後や、高いところや上空からでないと中々見る機会すら無い屋根が地に落ち、普段ではあり得ない光景が、聖都に起きた動乱の痛ましさを演出している。
今まで歩いてきた街並みが嘘のように変わり果て、そこには他国からの人々や商人などの賑わいや活気はなく、あるのは瓦礫の撤去作業にあたる騎士達の声だけだった。
だがそれでも、唯一の救いとでも言っていいのか、街並みには恐怖や絶望、不安や悲しみといった印象を与える赤い装飾はほとんどされていない。
それだけ聖騎士や騎士隊、ルーフェン・ヴォルフの人々のモンスターへの対応が早かったのであろうことが伺える。
しかしそれとは真逆に、ルーフェン・ヴォルフのアジトがある聖都の地下は、目も当てられないほど悲惨な状態となっていた。
一般の者の出入りは騎士達によって封鎖されているが、中で作業にあたっていたであろう厳重に顔を覆い尽くすマスクをした救助隊員が、別の隊員に運び出されていたり、中には精神をやられてしまい錯乱する者や、廃人のようになってしまう者がいたという。
シュトラールは正義の為の犠牲だと言ったが、その様子を見ているとこれが正義の為なのかと疑うほどの、不快感であったり憎しみを覚えさせられ、到底彼の行いが正しいものとは思えなくなる。
それこそが彼の言う、悪の連鎖なのだろうが、感情を持った生き物である以上、親しい者の死に、それらの感情や関心を持たずにいられる人間もそうはいないだろう。
街頭に散らばる瓦礫や、激しい戦闘の後であろう地面の崩壊や陥没を避け、市街地を抜けていくと、聖都への大きな階段へと辿り着くシンとミア。
シンにとっては些か慊焉したいであろう、敗戦の地となった階段には、中腹辺りからかまだその石中に染み込まれた彼の血痕が、痛々しく残っており、それを見る度に彼の古傷が疼くようでもあった。
階段を登りきると、そこにはシンとイデアールが戦闘を繰り広げた戦場の跡が、色濃く残っていた。
中央の救助隊が使う通路は、瓦礫が取り払われ、綺麗とはいえないが歩くのには十分な整備がされている。
そして聖都への入り口となる大きな門は、ミアやツクヨにとって心残りであった彼らとの別れの地であり、あの時とは逆にその戸を大きく開いていて、遠くに聖都の様子も伺える。
彼らを置いてきてしまった罪悪感、彼らのおかげで先に進めた感謝、全員で脱出する方法があったかもしれないという後悔など、様々な思いが蘇り、思わず足を止めてしまうミアを傍で気遣うシン。
もう大丈夫だとミアは首をゆっくり縦に振り、一歩を踏み出し前へと進んでいく。
門を抜けた広場には、人のものではないベッタリと密度の濃い血が飛散しており、聖騎士達のスキルによって浄化しながらの除去作業が、今も尚行われている。
そこには、置いてきてしまった彼らの姿は既になく、その身体は運び出された後だろうが、その周辺には見覚えのある衣類や武器の破片などが残っており、彼らがそんな状態になっても戦い続けていたことが、容易に想像できる。
それを思うと、国や守りたいもののために尽くしてきた彼らの献身的な姿に、胸を打たれるものがある。
その後の聖都内も、ミアにとって心苦しい光景が多く待っている地でしかなく、建物を大きく損壊させ、瓦礫に刻まれた爪のような痕は、ナーゲルが怒りに我を忘れ、組織の仲間達を死に至らしめた憎っくき怨敵、リーベとの戦いの跡だ。
リーベの攻撃を躱すために掴んだり突き刺した彼の爪痕は、至る建物に残っており、再び崩壊の恐れがある建物付近への立ち入りは封鎖され、騎士達によって撤去作業が行われている。
そんな様子からシンが感じたのは、現実世界での災害後に見られる瓦礫の撤去作業とは違い、この世界ではスキルや魔法によって作業が素早く行われているということだった。 この様子なら、そう遠くない日に聖都は復興していくだろう。
街並みを進むにつれ、爪痕は別のものへと変わっていき、それは彼女と戦った者でなければ勘違いしてしまうであろう砲撃の痕や、銃弾と見紛うほどの無数の痕が辺りに広がり始めた。
それは先のシンと同じく、彼女にやられたダメージを思い出すかのように、ミアの脳内にフラッシュバックする。
立ち止まることはなかったが、彼女との決着がついた路地が目に入り、ミアはその奥の方へと視線を送るが、当然そこには彼女の姿はなく、彼女もまた運び出された後なのだろう。
しかし彼女に至っては、他の者と違い生存を確認していたので、その後どうなっているのか、彼女が気を失う間際に見せた表情を思い出すと、気にせずにはいられないミアだった。
彼らとの戦いはシンやミア達に外的な損傷を与えただけでなく、心にもダメージだけではない様々な傷跡を残していった。 それはモンスターを相手にしたのではなく、同じ感情を持つ人間が相手であったのが大きな差だろう。
様々な思いを馳せながら、シンにとっては初めて訪れる、ミアにとってはツクヨやシャルロットと共に通い、動乱ではシャルロット救出の目的地ともなった、聖騎士の城へと辿り着いた。
城門から見える中の光景は、それまで通ってきた何処よりも被害が少ない。
それもその筈、ここは聖騎士の拠点である為、モンスターの出現をいの一番に探知し直ぐに対応することが出来たからだ。
城に向かうまでの道程では、聖騎士や騎士達、城内に設けられたギルドの者達が、慌ただしく駆け巡り救助や復興に尽力している。
すれ違う彼らの会話の中には、同盟関係にある他国への救援要請を行っていることや、動乱による貿易の緊急対応、他国への武力支援の休止など、様々な手続きなど事態は重く、国の内政だけに留まる事ではない様子が伺える。
そんな彼らの会話の中で、シンとミアは俄かに信じ難い、ある噂話を耳にする。
それは・・・・・。
アーテムの、内乱罪及び国家転覆罪による、国際指名手配の噂だった。
シンとミアは、そんな崩壊した街並みを見て回りながら、聖都内で救援活動、及び復興作業の指揮を取っているというイデアールの元を目指す。
当然だが、まだ整備のされていない街頭には、モンスターが暴れまわった際に破壊したであろう建物の崩壊した後や、高いところや上空からでないと中々見る機会すら無い屋根が地に落ち、普段ではあり得ない光景が、聖都に起きた動乱の痛ましさを演出している。
今まで歩いてきた街並みが嘘のように変わり果て、そこには他国からの人々や商人などの賑わいや活気はなく、あるのは瓦礫の撤去作業にあたる騎士達の声だけだった。
だがそれでも、唯一の救いとでも言っていいのか、街並みには恐怖や絶望、不安や悲しみといった印象を与える赤い装飾はほとんどされていない。
それだけ聖騎士や騎士隊、ルーフェン・ヴォルフの人々のモンスターへの対応が早かったのであろうことが伺える。
しかしそれとは真逆に、ルーフェン・ヴォルフのアジトがある聖都の地下は、目も当てられないほど悲惨な状態となっていた。
一般の者の出入りは騎士達によって封鎖されているが、中で作業にあたっていたであろう厳重に顔を覆い尽くすマスクをした救助隊員が、別の隊員に運び出されていたり、中には精神をやられてしまい錯乱する者や、廃人のようになってしまう者がいたという。
シュトラールは正義の為の犠牲だと言ったが、その様子を見ているとこれが正義の為なのかと疑うほどの、不快感であったり憎しみを覚えさせられ、到底彼の行いが正しいものとは思えなくなる。
それこそが彼の言う、悪の連鎖なのだろうが、感情を持った生き物である以上、親しい者の死に、それらの感情や関心を持たずにいられる人間もそうはいないだろう。
街頭に散らばる瓦礫や、激しい戦闘の後であろう地面の崩壊や陥没を避け、市街地を抜けていくと、聖都への大きな階段へと辿り着くシンとミア。
シンにとっては些か慊焉したいであろう、敗戦の地となった階段には、中腹辺りからかまだその石中に染み込まれた彼の血痕が、痛々しく残っており、それを見る度に彼の古傷が疼くようでもあった。
階段を登りきると、そこにはシンとイデアールが戦闘を繰り広げた戦場の跡が、色濃く残っていた。
中央の救助隊が使う通路は、瓦礫が取り払われ、綺麗とはいえないが歩くのには十分な整備がされている。
そして聖都への入り口となる大きな門は、ミアやツクヨにとって心残りであった彼らとの別れの地であり、あの時とは逆にその戸を大きく開いていて、遠くに聖都の様子も伺える。
彼らを置いてきてしまった罪悪感、彼らのおかげで先に進めた感謝、全員で脱出する方法があったかもしれないという後悔など、様々な思いが蘇り、思わず足を止めてしまうミアを傍で気遣うシン。
もう大丈夫だとミアは首をゆっくり縦に振り、一歩を踏み出し前へと進んでいく。
門を抜けた広場には、人のものではないベッタリと密度の濃い血が飛散しており、聖騎士達のスキルによって浄化しながらの除去作業が、今も尚行われている。
そこには、置いてきてしまった彼らの姿は既になく、その身体は運び出された後だろうが、その周辺には見覚えのある衣類や武器の破片などが残っており、彼らがそんな状態になっても戦い続けていたことが、容易に想像できる。
それを思うと、国や守りたいもののために尽くしてきた彼らの献身的な姿に、胸を打たれるものがある。
その後の聖都内も、ミアにとって心苦しい光景が多く待っている地でしかなく、建物を大きく損壊させ、瓦礫に刻まれた爪のような痕は、ナーゲルが怒りに我を忘れ、組織の仲間達を死に至らしめた憎っくき怨敵、リーベとの戦いの跡だ。
リーベの攻撃を躱すために掴んだり突き刺した彼の爪痕は、至る建物に残っており、再び崩壊の恐れがある建物付近への立ち入りは封鎖され、騎士達によって撤去作業が行われている。
そんな様子からシンが感じたのは、現実世界での災害後に見られる瓦礫の撤去作業とは違い、この世界ではスキルや魔法によって作業が素早く行われているということだった。 この様子なら、そう遠くない日に聖都は復興していくだろう。
街並みを進むにつれ、爪痕は別のものへと変わっていき、それは彼女と戦った者でなければ勘違いしてしまうであろう砲撃の痕や、銃弾と見紛うほどの無数の痕が辺りに広がり始めた。
それは先のシンと同じく、彼女にやられたダメージを思い出すかのように、ミアの脳内にフラッシュバックする。
立ち止まることはなかったが、彼女との決着がついた路地が目に入り、ミアはその奥の方へと視線を送るが、当然そこには彼女の姿はなく、彼女もまた運び出された後なのだろう。
しかし彼女に至っては、他の者と違い生存を確認していたので、その後どうなっているのか、彼女が気を失う間際に見せた表情を思い出すと、気にせずにはいられないミアだった。
彼らとの戦いはシンやミア達に外的な損傷を与えただけでなく、心にもダメージだけではない様々な傷跡を残していった。 それはモンスターを相手にしたのではなく、同じ感情を持つ人間が相手であったのが大きな差だろう。
様々な思いを馳せながら、シンにとっては初めて訪れる、ミアにとってはツクヨやシャルロットと共に通い、動乱ではシャルロット救出の目的地ともなった、聖騎士の城へと辿り着いた。
城門から見える中の光景は、それまで通ってきた何処よりも被害が少ない。
それもその筈、ここは聖騎士の拠点である為、モンスターの出現をいの一番に探知し直ぐに対応することが出来たからだ。
城に向かうまでの道程では、聖騎士や騎士達、城内に設けられたギルドの者達が、慌ただしく駆け巡り救助や復興に尽力している。
すれ違う彼らの会話の中には、同盟関係にある他国への救援要請を行っていることや、動乱による貿易の緊急対応、他国への武力支援の休止など、様々な手続きなど事態は重く、国の内政だけに留まる事ではない様子が伺える。
そんな彼らの会話の中で、シンとミアは俄かに信じ難い、ある噂話を耳にする。
それは・・・・・。
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