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19.04.12
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睾丸を潰される。最近、そんな奇妙な思いが頭の片隅から離れない。これを入力している今も、気を抜くとやってくる。全く潰されたいわけではない。去勢願望も無い。ただ、誰かの親指と人差し指が私の睾丸を撫ぜ、そのまま潰しにくる場面が張り付いている。このよくわからない望んでいない空想に憑りつかれることは、度々あり、建設途中のダムを見に行った時にも、そんなことがあった。そのダムは、一緒に旅行に来ていた知人が行きたがった場所で、何処なのか私は全く分からないが、水が溜まっていないせいで、高いところから下まで見ることが一望出来て、その癖なぜか柵がその気になれば跨いで落下出来そうな程に低かった。高所恐怖症の気はないものの、私はその周囲を歩いていて、自分が柵を走って飛び越え、真っ逆さまに落下していくイメージに突然捕まった。当然、そんなことはしたくない。死にたくない。だが、脚を動かせば、走り出してしまいそうになる。走り出してしまったら、私は落ちていくしかなくなる。結局、動けなくなり、その場にうずくまり、知人に引っ張られてその場を離れた。望んでいない空想が訪れるプロセスはどうなっているのだろう。私はとても困っていて、今ここに記したのも書くことで何か吐き出せたらと、除霊のような心持ちで書いている。ここまで書いたが、まだ私の睾丸は狙われている。
昨日からの続き。なんと、私はADHDであった!
そのペーパーテストの後に、いくつか医師から質問を受ける。それは幼少期に物忘れをしたのではないか、とか、部屋が片づけられないのではないか、のように、誰だってやったことはあるだろうと思えるようなものだった。多少はあります、と曖昧に答える。
「まあ、幼い頃は自覚がないかもしれないな」
医師は私の記憶を当てにせず、もうそう決まったのだ、と言わんばかりだった。確かにペーパーテストでそのように出てしまったのであれば、医師としてはそう判断するしかないのかもしれないが、私は不満であり、動揺していた。
改めて言うまでもないが、ADHDは発達障害の1つであるので、私は唐突に障碍者であると認定されてしまったのだ。信じたくなかった。今まで大した支障なく日常生活を送ることが出来ていたのに、ちょっと鬱で休職をしたと思ったら、ADHDまで。しかも、私自身は、自分が鬱かも怪しいと思っているのに。
医師はADHDの概要を説明し、鬱病の時に言っていたのと同じように、この障碍は今診断される人が非常に増えていて、更に診断されていなくてもその特徴を見せている人は沢山いるから、気にすることはないと述べ、詳しい内容としてパンフレットをくれた。表紙を捲ると、男性が笑みを浮かべているのに、頭の中はごしゃごしゃになっている絵が記載されていて、それはとても気持ち悪い絵だった。
また、1冊ノートを貰う。それはADHD患者の習慣をチェックするノートだった。中には、朝ちゃんと起きることが出来たか、朝食はすぐに食べられたか、等項目が20くらいあり、0~3点で自己評価をするものだ。転写式になっていて、医師にも提出できるようになっている。
「次回から、これを書いてきてね」
書き方を一通り教わり、と言っても、それは教わるような難しいものではなかった。更に今までの薬に加えて、ADHD用の薬も新しく処方され、あれよあれよという間に、障碍者として治療を受ける算段が整っていく。鬱病は、障碍者でないのか、と聞かれたら、よくわからないが、何となく一線があった。
取り敢えず、処方された薬を薬局で貰った。金額が高くて驚いた。これをいつまでも飲み続けなければならないとなると、負担がでかい。この薬は鬱病の薬と同じように飲まなかった。鬱病関連の薬は院内処方だったので、貰わざるを得なかったが、ADHD用の薬は、処方箋を薬局へ提出するタイプだったので、これ以降、購入すらしていない。
貰ったパンフレットにはADHDの症例の漫画が載っていて、進研ゼミみたいな暗いところから明るいところへ向かっていくようなストーリーだったのだが、登場人物が、ゴミ屋敷レベルで片づけが出来なかったり、常に遅刻したり、常に物を失くしているような人達で、私がここまででないことを鑑みて、やはり私はADHDで無いと改めて結論付けた。
当然、会社にも黙ったままだ。
ここまで過去を振り返って書きながら、私はしばしば自分が鬱で会ったのかを再考し、その都度、鬱で無かったような気がする、と結論を出してきたが、それはここで、私がADHDであることも合わせて否定をしたいからかもしれない、と今思い当たった。薬を飲んでいないのも、薬を飲まずに回復したので、私は実際はその病気に該当していませんよ、と自身へ釈明するためだろうか。
何はともあれ、この診断のダメージは大きく、私は鬱になった当初のように、頭痛、腹痛、食欲不振などが戻ってしまう。一息にかかったストレスの量が大きかったせいだろう。そこに合わせて、後輩の女性とのやり取りに関しても、うんうんと悩むようになる。
細かい話は明日以降に続ける。
昨日からの続き。なんと、私はADHDであった!
そのペーパーテストの後に、いくつか医師から質問を受ける。それは幼少期に物忘れをしたのではないか、とか、部屋が片づけられないのではないか、のように、誰だってやったことはあるだろうと思えるようなものだった。多少はあります、と曖昧に答える。
「まあ、幼い頃は自覚がないかもしれないな」
医師は私の記憶を当てにせず、もうそう決まったのだ、と言わんばかりだった。確かにペーパーテストでそのように出てしまったのであれば、医師としてはそう判断するしかないのかもしれないが、私は不満であり、動揺していた。
改めて言うまでもないが、ADHDは発達障害の1つであるので、私は唐突に障碍者であると認定されてしまったのだ。信じたくなかった。今まで大した支障なく日常生活を送ることが出来ていたのに、ちょっと鬱で休職をしたと思ったら、ADHDまで。しかも、私自身は、自分が鬱かも怪しいと思っているのに。
医師はADHDの概要を説明し、鬱病の時に言っていたのと同じように、この障碍は今診断される人が非常に増えていて、更に診断されていなくてもその特徴を見せている人は沢山いるから、気にすることはないと述べ、詳しい内容としてパンフレットをくれた。表紙を捲ると、男性が笑みを浮かべているのに、頭の中はごしゃごしゃになっている絵が記載されていて、それはとても気持ち悪い絵だった。
また、1冊ノートを貰う。それはADHD患者の習慣をチェックするノートだった。中には、朝ちゃんと起きることが出来たか、朝食はすぐに食べられたか、等項目が20くらいあり、0~3点で自己評価をするものだ。転写式になっていて、医師にも提出できるようになっている。
「次回から、これを書いてきてね」
書き方を一通り教わり、と言っても、それは教わるような難しいものではなかった。更に今までの薬に加えて、ADHD用の薬も新しく処方され、あれよあれよという間に、障碍者として治療を受ける算段が整っていく。鬱病は、障碍者でないのか、と聞かれたら、よくわからないが、何となく一線があった。
取り敢えず、処方された薬を薬局で貰った。金額が高くて驚いた。これをいつまでも飲み続けなければならないとなると、負担がでかい。この薬は鬱病の薬と同じように飲まなかった。鬱病関連の薬は院内処方だったので、貰わざるを得なかったが、ADHD用の薬は、処方箋を薬局へ提出するタイプだったので、これ以降、購入すらしていない。
貰ったパンフレットにはADHDの症例の漫画が載っていて、進研ゼミみたいな暗いところから明るいところへ向かっていくようなストーリーだったのだが、登場人物が、ゴミ屋敷レベルで片づけが出来なかったり、常に遅刻したり、常に物を失くしているような人達で、私がここまででないことを鑑みて、やはり私はADHDで無いと改めて結論付けた。
当然、会社にも黙ったままだ。
ここまで過去を振り返って書きながら、私はしばしば自分が鬱で会ったのかを再考し、その都度、鬱で無かったような気がする、と結論を出してきたが、それはここで、私がADHDであることも合わせて否定をしたいからかもしれない、と今思い当たった。薬を飲んでいないのも、薬を飲まずに回復したので、私は実際はその病気に該当していませんよ、と自身へ釈明するためだろうか。
何はともあれ、この診断のダメージは大きく、私は鬱になった当初のように、頭痛、腹痛、食欲不振などが戻ってしまう。一息にかかったストレスの量が大きかったせいだろう。そこに合わせて、後輩の女性とのやり取りに関しても、うんうんと悩むようになる。
細かい話は明日以降に続ける。
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