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19.04.07
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復帰施設でカウンセラーと面談を行った。ここで書いているような鬱に至る経緯や、受けるストレスに対してどう反応をし、再発しないためにはどうすれば良いか、と言った話をした。ここまでやって来たことは作業手順ばかりで人との関わりが全く無い。そのことに不満を伝えた。作業がどれだけ多く複雑なものであろうと、助けを求めることが出来る環境がありさえすれば、私にとっては問題ないと思っている。そして、それはどれだけ復帰施設で人と話しても仕方がないのではないか、と思い始めている。どれだけ施設でグループワークを重ねても、それは意味がない。彼や彼女とは、この施設を出たら、関係が無くなるのだから。私はただ私と話し続けなければならない。
昨日からの続き。後輩の女子社員と食事をすることとなった。
仕事終わりの彼女と駅で待ち合わせをした。彼女が選定した店は、確かに会社から遠く離れており、よほど運が悪くない限り、誰とも会うことは無い場所だった。
仕事終わりの彼女を、私服で待った。私服を見せるのは、この時が初めてだった。元々、服のバリエーションが著しく少ない私は、特に気合を入れるでもなく、いつも通りのチノパン、シャツ、ジャケットだった。私はセンスが悪い。このことも私の異性関係にかなりの影響があるだろう。そして、異性関係は、私の人格に大きな影響を与えているが、それはもう少し話が進んだら、自然と書く必要が出てくると思うので、このまま話を続ける。
予定通りの時間に彼女は現れた。同じ会社にいたのだから、ある程度姿は見かけていたが、面と向かって話すとなると年度が変わって以来、およそ半年ぶりで、なんとなく緊張した。二言三言交わし、意外と元気そうで良かった、と立場が逆転したみたいに心配されてしまう。
彼女が予約した店は、チーズ料理が有名な店だった。言われた言葉をそのまま信じるのであれば、予約を取るだけで大変らしく、丁度予約が取れたので、誘ってくれたということだ。確かに、食事はどれも美味しく、ワインもぴったりと合った。酒と料理が合う、と言う感覚が未だにはっきりとしないのだが、そこでは美味しいと思えた。
彼女の最近の頑張りや不満について聞いて、適度に相槌を打つ。女性は解決ではなく共感、とネットの偏見を念頭に置いて、特に大きなことは言わず、ひたすら褒めた。実際、私よりも頑張っていた。このままいけば、彼女は数年後、私と同じような先輩社員の立場になるだろうな、と思った。嘗て先輩社員として輝いていた私はもう死んだ。元々輝いていたかも不明だが、偉そうに教えていたことを思えば、ある程度の輝きはあったのではないか。今思えば、恥ずかしい。とても恥ずかしい。
やんわりと、部署の人間を嫌っていたこと等は伏せて、私は休職までの経緯を話した。激務と話題の部署ではあったから、彼女も同情をしてくれた。
「またご飯とか、今度、お休みに出掛けましょうよ」
そんな風に言ってくれて、信じてはいなかったが、本当に嬉しかった。そんな形で、終始ワイワイと、私としては本当に楽しい会だった。帰り道、どういう話の流れか、彼女がこんなことを言ったことを覚えている。
「私なんて、こんな、修道女みたいな、生活ですよ!」
つまり、枯れている性の話。酒の勢いを借りた言葉だったのだろう。彼女も酔っていた。だが、それを私の前で言ったことを、自惚れて考えた。路線が違うので、駅で別れようとしたところ、社内メールだと連絡がし辛いと言われ、個人的な連絡先を交換した。これも自惚れを強めさせた。
改札で別れると、先程交換した連絡先に直ぐにメッセージが届く。
「今日は楽しかったです!また行きましょうね!」
同意して、私もまた食事に行きたい、と書く。そのお互いの言葉の通り、私たちはこれから度々食事に行くことになる。
細かい話は明日以降に続ける。
昨日からの続き。後輩の女子社員と食事をすることとなった。
仕事終わりの彼女と駅で待ち合わせをした。彼女が選定した店は、確かに会社から遠く離れており、よほど運が悪くない限り、誰とも会うことは無い場所だった。
仕事終わりの彼女を、私服で待った。私服を見せるのは、この時が初めてだった。元々、服のバリエーションが著しく少ない私は、特に気合を入れるでもなく、いつも通りのチノパン、シャツ、ジャケットだった。私はセンスが悪い。このことも私の異性関係にかなりの影響があるだろう。そして、異性関係は、私の人格に大きな影響を与えているが、それはもう少し話が進んだら、自然と書く必要が出てくると思うので、このまま話を続ける。
予定通りの時間に彼女は現れた。同じ会社にいたのだから、ある程度姿は見かけていたが、面と向かって話すとなると年度が変わって以来、およそ半年ぶりで、なんとなく緊張した。二言三言交わし、意外と元気そうで良かった、と立場が逆転したみたいに心配されてしまう。
彼女が予約した店は、チーズ料理が有名な店だった。言われた言葉をそのまま信じるのであれば、予約を取るだけで大変らしく、丁度予約が取れたので、誘ってくれたということだ。確かに、食事はどれも美味しく、ワインもぴったりと合った。酒と料理が合う、と言う感覚が未だにはっきりとしないのだが、そこでは美味しいと思えた。
彼女の最近の頑張りや不満について聞いて、適度に相槌を打つ。女性は解決ではなく共感、とネットの偏見を念頭に置いて、特に大きなことは言わず、ひたすら褒めた。実際、私よりも頑張っていた。このままいけば、彼女は数年後、私と同じような先輩社員の立場になるだろうな、と思った。嘗て先輩社員として輝いていた私はもう死んだ。元々輝いていたかも不明だが、偉そうに教えていたことを思えば、ある程度の輝きはあったのではないか。今思えば、恥ずかしい。とても恥ずかしい。
やんわりと、部署の人間を嫌っていたこと等は伏せて、私は休職までの経緯を話した。激務と話題の部署ではあったから、彼女も同情をしてくれた。
「またご飯とか、今度、お休みに出掛けましょうよ」
そんな風に言ってくれて、信じてはいなかったが、本当に嬉しかった。そんな形で、終始ワイワイと、私としては本当に楽しい会だった。帰り道、どういう話の流れか、彼女がこんなことを言ったことを覚えている。
「私なんて、こんな、修道女みたいな、生活ですよ!」
つまり、枯れている性の話。酒の勢いを借りた言葉だったのだろう。彼女も酔っていた。だが、それを私の前で言ったことを、自惚れて考えた。路線が違うので、駅で別れようとしたところ、社内メールだと連絡がし辛いと言われ、個人的な連絡先を交換した。これも自惚れを強めさせた。
改札で別れると、先程交換した連絡先に直ぐにメッセージが届く。
「今日は楽しかったです!また行きましょうね!」
同意して、私もまた食事に行きたい、と書く。そのお互いの言葉の通り、私たちはこれから度々食事に行くことになる。
細かい話は明日以降に続ける。
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