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第一章 変態とイケ女
イケ女は萌花と行きたいところがあるそうです
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「萌花、ちょっといいか?」
放課後。教科書をカバンに詰めていると、朔良さんが話しかけてきた。
あまりの展開に、私は教科書を持つ手が震える。
「朔良さん!? ついに私のことを!?」
「え? 何の話だ?」
「デスヨネー」
いや、うん……わかっていた。わかっていたさ。
でも、少しくらい期待してもいいじゃないか!
そんな思いでいっぱいになる。
「お前……なんかあったのか?」
「へっ? ななな何もないですよー?」
動揺しすぎて変な声が出てしまった。
これでは何かありましたと言っているようなものではないか。
しかし、朔良さんはそれ以上追及することなく、「そうか」と言って会話を終えた。
「…………」
私の中で、モヤモヤとした感情が生まれる。
朔良さんにとって、私はその程度の存在だったのだろうか。
「いや、実は話したいことがあるんだ」
「……話したい、こと?」
朔良さんの口から放たれた言葉を聞いて、一瞬思考停止する。
そしてすぐに理解する。
ああ、そういうことか。
「はい、わかりました!」
私は満面の笑みを浮かべて答える。
ふふーん、私は朔良さんのことをわかっている。
朔良さんは改まって私に向き直った。
つまり、これは……告白されるのだということに他ならない!
きっとそうだ。
だって、こんなにも真剣な表情をしているのだもの!
「あのな、萌花……」
「はい!」
私は目をキラキラさせながら返事をする。
心臓が激しく鼓動している。緊張で吐き気がした。
朔良さんは深呼吸をして息を整えると、意を決したように口を開いた。
「今日の帰り、というか今だな……今から寄り道しないか?」
「……へ? あっ、あー、全然大丈夫ですよ」
告白ではないとわかった瞬間、急激にテンションが下がった。
まあ、よく考えたらわかることだったのだが……
告白ならもっとロマンチックな雰囲気にするだろうし。
というか、それだと私が困ってしまう。
だって、ムードもへったくれもないじゃないか。
「どこ行きますか?」
私は気を取り直して尋ねる。
すると、朔良さんはキョトンとして首を傾げた。
「あれ、言ってなかったっけ?」
「えっと……何をですか?」
なんのことかさっぱりわからない。
今日どこかに行くなんて聞いていないぞ。
朔良さんは頭をポリポリ掻くと、「あー」とか「うー」とか言っている。
それからやっと決心がついたようで、再び私を見据えた。
「……クレープ屋」
「へ?」
思わず間抜けな声を出してしまう。
予想外すぎる答えに、頭が追いつかなかった。
朔良さんは顔を真っ赤にして俯いている。
その姿はとても可愛らしいが、今はそんなこと考えている場合じゃない。
なんでクレープ屋?
なぜそんなところに行きたがるのだろうか。
朔良さんのイメージとかけ離れすぎていて、頭の中は疑問符でいっぱいになる。
「そ、それだけです……か?」
恐る恐る聞くと、こくりと小さく首を縦に振った。
……なんだこの可愛い生き物は!
普段とのギャップがありすぎて、もう胸キュンどころの騒ぎじゃなくなる。
萌え死ぬとはこういうことを言うのだろうか。
いや、絶対に違うと思うけど。
しかし、一体どうしたというのだろうか。
朔良さんって甘いもの好きだったかなと思い返すが、記憶の中にそれらしき情報はない。
それに、今まで食べたとしてもコンビニスイーツくらいなものだし。
ますます謎が深まるばかりである。
でも、そんなことは些細な問題にすぎない。
朔良さんと一緒にいるだけで幸せだからね!
結局、私たちは二駅先にある駅前のお店に向かうことになった。
電車に乗って数分後、目的地に着いた。
駅から出ると、そこは人で溢れかえっていた。
休日ほどではないが、人通りは多い方だと思う。
「わぁ、人がたくさんいますねぇ」
「そうだなー」
「……」
「……」
会話終了。
沈黙が続く。
いつもなら平然と喋れるはずなのに、なぜか言葉が出て来ない。
さっきまではあんなにも会話が続いていたというのに。
やはり、二人きりという状況を意識しているからだろうか。
朔良さんも同じことを思ってくれていたらいなーなんて淡い期待を抱く。
「……」
「……」
私たちの間に流れる無言の時間。
それはとても長く感じられた。
だけど、不思議と嫌な気分ではない。
むしろ心地いいと思ってしまう自分がいることに驚いた。
そして、ふとあることに気づく。
――手、繋ぎたいかも。
そう思った時には既に手が動いていて、気づいた頃には朔良さんの手を掴んでいた。
「!?」
突然の行動に驚いているのか、朔良さんは目を大きく見開いてこちらを見る。
私は「やってしまった」と思って咄嵯に手を引っ込めようとした。
だが、それよりも早く腕を引かれて引き戻される。
そして、そのまま朔良さんの手に包まれた。
ああ、温かい……安心する。
心の底からホッとしたような感覚に陥る。
朔良さんの顔を見ると、耳まで真っ赤になっていた。
きっと私の顔も同じように赤く染まっていることだろう。
「……行くか」
「……はい」
お互いにぎこちない動きで歩き出す。
このまま時が止まればいいのにと、本気で思った。
放課後。教科書をカバンに詰めていると、朔良さんが話しかけてきた。
あまりの展開に、私は教科書を持つ手が震える。
「朔良さん!? ついに私のことを!?」
「え? 何の話だ?」
「デスヨネー」
いや、うん……わかっていた。わかっていたさ。
でも、少しくらい期待してもいいじゃないか!
そんな思いでいっぱいになる。
「お前……なんかあったのか?」
「へっ? ななな何もないですよー?」
動揺しすぎて変な声が出てしまった。
これでは何かありましたと言っているようなものではないか。
しかし、朔良さんはそれ以上追及することなく、「そうか」と言って会話を終えた。
「…………」
私の中で、モヤモヤとした感情が生まれる。
朔良さんにとって、私はその程度の存在だったのだろうか。
「いや、実は話したいことがあるんだ」
「……話したい、こと?」
朔良さんの口から放たれた言葉を聞いて、一瞬思考停止する。
そしてすぐに理解する。
ああ、そういうことか。
「はい、わかりました!」
私は満面の笑みを浮かべて答える。
ふふーん、私は朔良さんのことをわかっている。
朔良さんは改まって私に向き直った。
つまり、これは……告白されるのだということに他ならない!
きっとそうだ。
だって、こんなにも真剣な表情をしているのだもの!
「あのな、萌花……」
「はい!」
私は目をキラキラさせながら返事をする。
心臓が激しく鼓動している。緊張で吐き気がした。
朔良さんは深呼吸をして息を整えると、意を決したように口を開いた。
「今日の帰り、というか今だな……今から寄り道しないか?」
「……へ? あっ、あー、全然大丈夫ですよ」
告白ではないとわかった瞬間、急激にテンションが下がった。
まあ、よく考えたらわかることだったのだが……
告白ならもっとロマンチックな雰囲気にするだろうし。
というか、それだと私が困ってしまう。
だって、ムードもへったくれもないじゃないか。
「どこ行きますか?」
私は気を取り直して尋ねる。
すると、朔良さんはキョトンとして首を傾げた。
「あれ、言ってなかったっけ?」
「えっと……何をですか?」
なんのことかさっぱりわからない。
今日どこかに行くなんて聞いていないぞ。
朔良さんは頭をポリポリ掻くと、「あー」とか「うー」とか言っている。
それからやっと決心がついたようで、再び私を見据えた。
「……クレープ屋」
「へ?」
思わず間抜けな声を出してしまう。
予想外すぎる答えに、頭が追いつかなかった。
朔良さんは顔を真っ赤にして俯いている。
その姿はとても可愛らしいが、今はそんなこと考えている場合じゃない。
なんでクレープ屋?
なぜそんなところに行きたがるのだろうか。
朔良さんのイメージとかけ離れすぎていて、頭の中は疑問符でいっぱいになる。
「そ、それだけです……か?」
恐る恐る聞くと、こくりと小さく首を縦に振った。
……なんだこの可愛い生き物は!
普段とのギャップがありすぎて、もう胸キュンどころの騒ぎじゃなくなる。
萌え死ぬとはこういうことを言うのだろうか。
いや、絶対に違うと思うけど。
しかし、一体どうしたというのだろうか。
朔良さんって甘いもの好きだったかなと思い返すが、記憶の中にそれらしき情報はない。
それに、今まで食べたとしてもコンビニスイーツくらいなものだし。
ますます謎が深まるばかりである。
でも、そんなことは些細な問題にすぎない。
朔良さんと一緒にいるだけで幸せだからね!
結局、私たちは二駅先にある駅前のお店に向かうことになった。
電車に乗って数分後、目的地に着いた。
駅から出ると、そこは人で溢れかえっていた。
休日ほどではないが、人通りは多い方だと思う。
「わぁ、人がたくさんいますねぇ」
「そうだなー」
「……」
「……」
会話終了。
沈黙が続く。
いつもなら平然と喋れるはずなのに、なぜか言葉が出て来ない。
さっきまではあんなにも会話が続いていたというのに。
やはり、二人きりという状況を意識しているからだろうか。
朔良さんも同じことを思ってくれていたらいなーなんて淡い期待を抱く。
「……」
「……」
私たちの間に流れる無言の時間。
それはとても長く感じられた。
だけど、不思議と嫌な気分ではない。
むしろ心地いいと思ってしまう自分がいることに驚いた。
そして、ふとあることに気づく。
――手、繋ぎたいかも。
そう思った時には既に手が動いていて、気づいた頃には朔良さんの手を掴んでいた。
「!?」
突然の行動に驚いているのか、朔良さんは目を大きく見開いてこちらを見る。
私は「やってしまった」と思って咄嵯に手を引っ込めようとした。
だが、それよりも早く腕を引かれて引き戻される。
そして、そのまま朔良さんの手に包まれた。
ああ、温かい……安心する。
心の底からホッとしたような感覚に陥る。
朔良さんの顔を見ると、耳まで真っ赤になっていた。
きっと私の顔も同じように赤く染まっていることだろう。
「……行くか」
「……はい」
お互いにぎこちない動きで歩き出す。
このまま時が止まればいいのにと、本気で思った。
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