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第二章 吸血少女は愛されたい
あれをしたい!?
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あたしたちは遊園地デートをするために出かけている。
……のだが、現地についてから中々渚に離してもらえなかった。
「……あの、渚……そろそろ……」
「えー? 花恋ちゃんは私から離れたいの?」
「いや、別に……そういうわけでは……」
渚が拗ねたように唇を尖らせて、上からあたしを見つめてくる。
なんだかその顔が可愛いくて、思わずドキッとしてしまった。
しかし渚がなにを考えているのかよくわからない。
彼女はあたしの身体をぎゅっと抱きしめて放そうとしないのだ。
「……花恋ちゃん」
「ん?」
「ごめん、遊園地楽しもっか」
「え、うん」
ようやく放してくれたと思ったら、今度は手を繋がれてしまった。
恋人繋ぎで握られて、あたしは戸惑いながら彼女の顔をちらりと見上げる。
するとそこには嬉しそうな笑顔を浮かべる渚がいた。
なんか……今日の渚はいつもより積極的だ。
それが嬉しいような、ちょっと不気味なような……
ま、嬉しいからいっか。
「ねぇ、渚! あっちのお店行こ! 可愛いの売ってるよ!」
「うん、いいよ。じゃあ行こっか」
渚と一緒にお店をまわり始めると、彼女がニコニコしながら話しかけてきた。
「このカチューシャどう? 可愛くない?」
「おー、可愛い! ねぇねぇ、お揃いで買お!」
そう言って二人で園のマスコットキャラのカチューシャを購入した。
そしてそれをつけて鏡の前で見てみると、二人とも思った以上に似合っている。
特に渚なんてめちゃくちゃ美少女なので、余計に目立っていた。
「へぇ~! やっぱりカップルさんですかぁ!? お熱いですね!」
そんな声が聞こえてきて振り返ると、そこには店員さんらしき人がこちらを見てニヤニヤしていた。
あたしたちはお互いの顔を見合わせると、なんとなく気恥ずかしくなり視線を外す。
「ふふっ、照れなくて良いんですよぉ? はい、これサービスです!」
そう言うと店員さんはあたしたちにチュロスを手渡してきた。
受け取るかどうか迷ったけど、毒ではないだろうしもらうことにした。
それを受け取ってお礼を言うと、再び渚と園内を歩き出す。
「花恋ちゃん、チュロス美味しいね」
「うん、甘くてサクサクしてて美味しい」
甘いお菓子を食べながら歩いていると、さっきのことが頭から離れなくなった。
カップルに見えるんだ……
あたしは嬉しくてチラッと隣にいる渚を見る。
彼女もあたしと同じように感じてくれていたらいいなと思いつつ、その横顔に見惚れた。
「ねぇ、花恋ちゃん」
「えっ、な、なに!?」
一瞬見惚れていたことに気づかれたのかと思って、身体が飛び上がる。
しかし渚は特に気にした様子もなく口を開いた。
「この近くにホテルあるらしいんだけどさ、そこに泊まらない?」
「え……えっ!?」
まさかの発言にあたしは動揺する。
今から……その……あれをするということだろうか……
急展開すぎてついていけない。
というかまだ昼間だし、そんなことしたらせっかくのデートが台無しになってしまう。
でも……もし……もしもそういうことになったら……あたしはどうすれば……
「あ、あれ、どうしたの……? もしかして嫌だった?」
「えっ!? いや、そういうことじゃないけど……その、心の準備が……」
「心の準備? なんのこと?」
きょとんとした表情で首を傾げる渚に、あたしはハッとする。
……しまった! 勝手に勘違いしてしまった!
渚のことだから、きっとそのまま泊まろうという意味で言ったのだろう。
あたしは顔を真っ赤にして俯いた。
「……ごめん、なんでもない」
……のだが、現地についてから中々渚に離してもらえなかった。
「……あの、渚……そろそろ……」
「えー? 花恋ちゃんは私から離れたいの?」
「いや、別に……そういうわけでは……」
渚が拗ねたように唇を尖らせて、上からあたしを見つめてくる。
なんだかその顔が可愛いくて、思わずドキッとしてしまった。
しかし渚がなにを考えているのかよくわからない。
彼女はあたしの身体をぎゅっと抱きしめて放そうとしないのだ。
「……花恋ちゃん」
「ん?」
「ごめん、遊園地楽しもっか」
「え、うん」
ようやく放してくれたと思ったら、今度は手を繋がれてしまった。
恋人繋ぎで握られて、あたしは戸惑いながら彼女の顔をちらりと見上げる。
するとそこには嬉しそうな笑顔を浮かべる渚がいた。
なんか……今日の渚はいつもより積極的だ。
それが嬉しいような、ちょっと不気味なような……
ま、嬉しいからいっか。
「ねぇ、渚! あっちのお店行こ! 可愛いの売ってるよ!」
「うん、いいよ。じゃあ行こっか」
渚と一緒にお店をまわり始めると、彼女がニコニコしながら話しかけてきた。
「このカチューシャどう? 可愛くない?」
「おー、可愛い! ねぇねぇ、お揃いで買お!」
そう言って二人で園のマスコットキャラのカチューシャを購入した。
そしてそれをつけて鏡の前で見てみると、二人とも思った以上に似合っている。
特に渚なんてめちゃくちゃ美少女なので、余計に目立っていた。
「へぇ~! やっぱりカップルさんですかぁ!? お熱いですね!」
そんな声が聞こえてきて振り返ると、そこには店員さんらしき人がこちらを見てニヤニヤしていた。
あたしたちはお互いの顔を見合わせると、なんとなく気恥ずかしくなり視線を外す。
「ふふっ、照れなくて良いんですよぉ? はい、これサービスです!」
そう言うと店員さんはあたしたちにチュロスを手渡してきた。
受け取るかどうか迷ったけど、毒ではないだろうしもらうことにした。
それを受け取ってお礼を言うと、再び渚と園内を歩き出す。
「花恋ちゃん、チュロス美味しいね」
「うん、甘くてサクサクしてて美味しい」
甘いお菓子を食べながら歩いていると、さっきのことが頭から離れなくなった。
カップルに見えるんだ……
あたしは嬉しくてチラッと隣にいる渚を見る。
彼女もあたしと同じように感じてくれていたらいいなと思いつつ、その横顔に見惚れた。
「ねぇ、花恋ちゃん」
「えっ、な、なに!?」
一瞬見惚れていたことに気づかれたのかと思って、身体が飛び上がる。
しかし渚は特に気にした様子もなく口を開いた。
「この近くにホテルあるらしいんだけどさ、そこに泊まらない?」
「え……えっ!?」
まさかの発言にあたしは動揺する。
今から……その……あれをするということだろうか……
急展開すぎてついていけない。
というかまだ昼間だし、そんなことしたらせっかくのデートが台無しになってしまう。
でも……もし……もしもそういうことになったら……あたしはどうすれば……
「あ、あれ、どうしたの……? もしかして嫌だった?」
「えっ!? いや、そういうことじゃないけど……その、心の準備が……」
「心の準備? なんのこと?」
きょとんとした表情で首を傾げる渚に、あたしはハッとする。
……しまった! 勝手に勘違いしてしまった!
渚のことだから、きっとそのまま泊まろうという意味で言ったのだろう。
あたしは顔を真っ赤にして俯いた。
「……ごめん、なんでもない」
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