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第一章 吸血少女は傷つけたい
記憶がない
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「あれ、なにしてたっけ……」
翌朝。自分のベッドの上で目が覚めると、まず最初に昨日起きた出来事について振り返る。
たしか、昨日は夏樹ちゃんのご両親のお店でお肉を食べたあと、帰ってきたらなぜかいつもは家にいないはずのお母さんがいて……
「そこからの記憶がない……!?」
まさか記憶がなくなるほど緊張していたとか?
いや、自分の親相手にさすがにそれはないか。
いやでも、もしかしたらそういうことがあるのかもしれない。
あまり会わないから、もはや他人と過ごしているような感覚になっていたということもありえる。
まあ、血は繋がってないから他人と言えば他人なんだけど。
そんなような思考を巡らせていると、なにやらベッドの左側からもぞもぞとなにかが動いた気配がした。
真っ赤なチェックの掛け布団が奇妙な動きを見せている。
その正体はすぐにわかった。
「うーん……?」
「お母さん……なにしてるの……」
布団の中から顔を出したのはあたしの母親だった。
寝起きなのかまだ意識がはっきりしていないのか、目を細めてこちらを見つめてくる。
「えへへぇ~、花恋ちゃんいい匂いだねぇ」
「……あー、そういえばそうだったっけ」
あまり家に帰ってこないから忘れていたけど、あたしのお母さんはこういう人だった。
ぷにぷにとお腹や頬を摘まれながら思い出す。
小さい頃はよくこうして遊ばれていた気がする。
今思えば、あの頃からスキンシップが多かったような……
お母さん曰く、「可愛い娘との触れ合い」らしい。
そういうこと……みたいなんだけど。
「うふふ、食べてしまいたいくらい可愛いわ」
そう舌なめずりする母親の様子を見ていると、あたしが異常性癖になったのもこの人が原因なんじゃないかと思えてくる。
小さい頃から恍惚な表情や卑猥な手つきを散々見てきた。
今更どうにでもなるものじゃないからどうでもいいけど。
「はいはい、ありがとね~」
「あら、つれない子ねぇ」
そんなことを言いながらも、楽しそうな表情を浮かべて撫で回してくる。
もう慣れたものなので、されるがままにしておくことにした。
「花恋ちゃんってほんとにおっぱい大きいわよね。背は低いのに……はっ、もしかして栄養がすべておっぱいに――!? なんてけしから」
「そういうのいいから。テストいつも平均点以上はあるから。頭にも栄養行ってるから」
「あら? もしかして怒ってる?」
「別にぃ~」
この人のことだからまたセクハラ発言をされるんだろうと思って先手を打っておいた。
案の定というかなんと言うか、あたしの母親はちょっと残念そうに肩を落としている。
あたしの二つの山を変わらない手つきで揉みしだきながら。
「花恋ちゃんのいけずぅ……」
「はいはい」
「それにしてもこんなに立派になっちゃって……お母さんよりあるんじゃない?」
感慨深げに胸元を見下ろしている母親だが、あたしとしては早く解放してほしいところである。
あんまり触られるとくすぐったいし、渚以外にはあたしの身体を触ってほしくないからだ。
「お母さんが育てたようなものなのにねぇ」
「育て方が悪かったんだよ」
「じゃあ今度はお父さんに任せようかしら!」
「……それは犯罪になるからやめた方がいいと思う」
というか、お母さんが言いたいのは「お母さんが花恋ちゃんのおっぱいを揉んで大きくした」ということだろう。
自分よりあたしの方が大きいのが納得いかないような言い方をしていたはずなのに、まだだれかに揉ませようとするのは矛盾している。
しかも、揉んだら大きくなるとは限らないし。
そもそもあたしだって好きで大きくなったわけじゃないし。
「花恋ちゃんはもっとお母さんに感謝すべきよ! こんなに大きくしてやったんだからぁ!」
「あー、うん。感謝してますよー」
「なにその投げやりな返事!」
あたしたちは普段顔を合わせることがないという事実を感じさせないくらい、ひたすらにじゃれ合ったのだった。
翌朝。自分のベッドの上で目が覚めると、まず最初に昨日起きた出来事について振り返る。
たしか、昨日は夏樹ちゃんのご両親のお店でお肉を食べたあと、帰ってきたらなぜかいつもは家にいないはずのお母さんがいて……
「そこからの記憶がない……!?」
まさか記憶がなくなるほど緊張していたとか?
いや、自分の親相手にさすがにそれはないか。
いやでも、もしかしたらそういうことがあるのかもしれない。
あまり会わないから、もはや他人と過ごしているような感覚になっていたということもありえる。
まあ、血は繋がってないから他人と言えば他人なんだけど。
そんなような思考を巡らせていると、なにやらベッドの左側からもぞもぞとなにかが動いた気配がした。
真っ赤なチェックの掛け布団が奇妙な動きを見せている。
その正体はすぐにわかった。
「うーん……?」
「お母さん……なにしてるの……」
布団の中から顔を出したのはあたしの母親だった。
寝起きなのかまだ意識がはっきりしていないのか、目を細めてこちらを見つめてくる。
「えへへぇ~、花恋ちゃんいい匂いだねぇ」
「……あー、そういえばそうだったっけ」
あまり家に帰ってこないから忘れていたけど、あたしのお母さんはこういう人だった。
ぷにぷにとお腹や頬を摘まれながら思い出す。
小さい頃はよくこうして遊ばれていた気がする。
今思えば、あの頃からスキンシップが多かったような……
お母さん曰く、「可愛い娘との触れ合い」らしい。
そういうこと……みたいなんだけど。
「うふふ、食べてしまいたいくらい可愛いわ」
そう舌なめずりする母親の様子を見ていると、あたしが異常性癖になったのもこの人が原因なんじゃないかと思えてくる。
小さい頃から恍惚な表情や卑猥な手つきを散々見てきた。
今更どうにでもなるものじゃないからどうでもいいけど。
「はいはい、ありがとね~」
「あら、つれない子ねぇ」
そんなことを言いながらも、楽しそうな表情を浮かべて撫で回してくる。
もう慣れたものなので、されるがままにしておくことにした。
「花恋ちゃんってほんとにおっぱい大きいわよね。背は低いのに……はっ、もしかして栄養がすべておっぱいに――!? なんてけしから」
「そういうのいいから。テストいつも平均点以上はあるから。頭にも栄養行ってるから」
「あら? もしかして怒ってる?」
「別にぃ~」
この人のことだからまたセクハラ発言をされるんだろうと思って先手を打っておいた。
案の定というかなんと言うか、あたしの母親はちょっと残念そうに肩を落としている。
あたしの二つの山を変わらない手つきで揉みしだきながら。
「花恋ちゃんのいけずぅ……」
「はいはい」
「それにしてもこんなに立派になっちゃって……お母さんよりあるんじゃない?」
感慨深げに胸元を見下ろしている母親だが、あたしとしては早く解放してほしいところである。
あんまり触られるとくすぐったいし、渚以外にはあたしの身体を触ってほしくないからだ。
「お母さんが育てたようなものなのにねぇ」
「育て方が悪かったんだよ」
「じゃあ今度はお父さんに任せようかしら!」
「……それは犯罪になるからやめた方がいいと思う」
というか、お母さんが言いたいのは「お母さんが花恋ちゃんのおっぱいを揉んで大きくした」ということだろう。
自分よりあたしの方が大きいのが納得いかないような言い方をしていたはずなのに、まだだれかに揉ませようとするのは矛盾している。
しかも、揉んだら大きくなるとは限らないし。
そもそもあたしだって好きで大きくなったわけじゃないし。
「花恋ちゃんはもっとお母さんに感謝すべきよ! こんなに大きくしてやったんだからぁ!」
「あー、うん。感謝してますよー」
「なにその投げやりな返事!」
あたしたちは普段顔を合わせることがないという事実を感じさせないくらい、ひたすらにじゃれ合ったのだった。
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