228 / 239
最終章 みんなのキズナ
萌花の過去
しおりを挟む
萌花には仲のいい友人が二人いた。
いつも三人で過ごしていることが多く、萌花にとって楽しい時間が続いていた。
……あの時までは。
「もう、あたしはこれがいいの! なんでわかってくれないの!?」
「あんただってわたしの意見聞いてくれないじゃない!」
急に、その二人が喧嘩し始めてしまったのだ。
なにが原因なのか、萌花にはわからない。
だけど、今止めなければやばいことになるということは察することができた。
「あ、あの……なにで揉めてるんですか……?」
おずおずと割って入って、話を聞く。
するとどうやら、二人が入っている部活のことで言い争っているらしい。
方向性の違いとか、そういう類のものだろう。
萌花は二人とは同じ部活に入っていないから、なんともいえなかった。
「萌花、どう思う? こいつとはほんとやってられないよ」
「それはこっちのセリフだし! 萌花、ぶっちゃけどっちがいいと思う!?」
「え、私ですか!?」
話を聞いていただけの萌花にとばっちりが。
中立的な立場にいる以上、どちらの味方もできない。
というか、どちらかを選ぶなんてしたくない。
だけど、今まさに断崖絶壁の上にいるような感覚だった。
二人は萌花の方を見て、じっとその口が開くのを待っている。
はやく、答えを出さなくてはいけない。
「……どちらの意見も取り入れる、というのはどうでしょう?」
それがいけなかったのかもしれない。
どっちつかずの萌花の言葉は、二人には届かなかったようで。
それから三人は、バラバラになってしまった。
「はぁ……またこんなことが起きたら嫌だな……」
萌花は泣きたくなるほどつらかったが、泣くことはなかった。
そういうものだと、理解していたから。
「高校では、仲のいい友だちは作らないようにしよう」
そう決めた萌花に友人がたくさんできるのは、もはや言うまでもない。
いつも三人で過ごしていることが多く、萌花にとって楽しい時間が続いていた。
……あの時までは。
「もう、あたしはこれがいいの! なんでわかってくれないの!?」
「あんただってわたしの意見聞いてくれないじゃない!」
急に、その二人が喧嘩し始めてしまったのだ。
なにが原因なのか、萌花にはわからない。
だけど、今止めなければやばいことになるということは察することができた。
「あ、あの……なにで揉めてるんですか……?」
おずおずと割って入って、話を聞く。
するとどうやら、二人が入っている部活のことで言い争っているらしい。
方向性の違いとか、そういう類のものだろう。
萌花は二人とは同じ部活に入っていないから、なんともいえなかった。
「萌花、どう思う? こいつとはほんとやってられないよ」
「それはこっちのセリフだし! 萌花、ぶっちゃけどっちがいいと思う!?」
「え、私ですか!?」
話を聞いていただけの萌花にとばっちりが。
中立的な立場にいる以上、どちらの味方もできない。
というか、どちらかを選ぶなんてしたくない。
だけど、今まさに断崖絶壁の上にいるような感覚だった。
二人は萌花の方を見て、じっとその口が開くのを待っている。
はやく、答えを出さなくてはいけない。
「……どちらの意見も取り入れる、というのはどうでしょう?」
それがいけなかったのかもしれない。
どっちつかずの萌花の言葉は、二人には届かなかったようで。
それから三人は、バラバラになってしまった。
「はぁ……またこんなことが起きたら嫌だな……」
萌花は泣きたくなるほどつらかったが、泣くことはなかった。
そういうものだと、理解していたから。
「高校では、仲のいい友だちは作らないようにしよう」
そう決めた萌花に友人がたくさんできるのは、もはや言うまでもない。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
おもいでにかわるまで
名波美奈
青春
失恋した時に読んで欲しい物語です。
高等専門学校が舞台の王道純愛青春ラブストーリーです。
第一章(主人公の水樹が入学するまで)と第二章(水樹が1年生から3年生まで)と第三章と第四章(4年生、5年生とその後)とで構成されています。主人公の女の子は同じですが、主に登場する男性が異なります。
主人公は水樹なのですが、それ以外の登場人物もよく登場します。
失恋して涙が止まらない時に、一緒に泣いてあげたいです。
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
内弟子物語 ー捨てきれない夢、武術の究極「活殺自在」を求める5名の青春群像ー
KASSATSU
青春
夢を捨てた人生に意味はないと考え、空手に魅力を感じた青年たちが純粋に若い時を駆け巡る青春群像。個性豊かな登場人物が織りなす毎日を綴る。試合を意識した空手ではなく、武術の究極と言われる活殺自在の境地を目指す過程をそれぞれの視点から描く。若いゆえの悩みを抱えつつも、自身が信じたことについて突き進む様子をユニークなエピソードごと紹介。
謎の過去を持つ師、藤堂真人のところに集まった高山誠、御岳信平、龍田真悟、松池進、堀田賢が武術と癒しという両極を学ぶ中で気付き、成長していく。
勘違いから始まる・関係・ゆり?・ブラコン!
シャル
青春
こちらは昔書いてたデータが消えたので更新してません。すみません。
ゆり、とかブラコンと、書いてますが、基本は女子高生の日常の話です。
主人公は、途中から登場する、巫杜(みこと)になります、
外ではクール?キャラでも家では、ブラコンキャラになります。
そこまで、恐ろしいブラコンの予定はありません。予定ですが。
思い付いた話を書くので、話数関係なく曜日が戻ったりするかもしれませんが、
気にしないでください。
例えば、夏の話から冬の話になったりです。
まだわかりませんが、多分なります。
キャラの会話は、わかりやすい?ように「」の中に書いてます。
キャラの心の声は「()」にしてます。
キャラの会話や登場キャラが多い予定なので、
誰が話てるか、わかりやすくするため
キャラ名作者
「よかったら読んでってください。
ちなみに、文才まったくないので。誤字脱字は、お許しください。」
こんな感じです・・・
また書きためれたら、まとめて公開します
1週間に1話程度は公開頑張ります。
ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ
阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。
心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。
「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。
「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる