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第二章 高校二年生(二学期)

しゅうがくりょこう3(萌花)

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 胸が高鳴る。待ち焦がれる。
 萌花は割り当てられた部屋でウロウロしていた。
 柚はそれを見て「落ち着きがないな~」とこぼしていたが、その表情は萌花と同じだった。
 つまりは、みんなの到着を心待ちにしているということだ。

「お待たせ~!」
「おお! 広いっすねぇ!」
「あたしらの部屋とたいして変わらねーだろ」

 ドアがガチャっと開き、外からぞろぞろと待ちに待った友だちが次々やってくる。
 萌花はもういてもたってもいられなくて、ドアが開いた瞬間にみんなに駆け寄っていた。

「もー、遅いですよぉ!」
「すまんすまん、葉奈がこのホテルの自販機めぐりしようとかわけのわかららないこと言い始めてさ……」
「ちょっと! それじゃあ、うちが悪いみたいじゃないっすかぁ!」
「お前しか悪くねぇよ!?」

 自販機めぐり……少し興味がわいてきた。
 買う買わないは置いておいて、場所を覚えておくのはいいかもしれない。
 多分、一番近くにあるものを利用するだけだと思うが。

「自販機めぐりか~。楽しそうだね」

 萌花と同じく、葉奈を支持する声があった。
 柚は葉奈と気が合うというか、ノリが合うようだから全力で葉奈について行きそうだ。

 まあ、自販機めぐりは気になるけど、遅くなったのはいただけない。
 どれだけ待ったか……
 いや、実際の時間はそれほどでもないけども。体感の話だ。

「え、柚もそっち側なのかよ……」
「いや~、柚はうちのことなんでも認めてくれて嬉しいっすよ~。ほんとウマが合うっす!」
「あー、そういやそうだった。ったく、あたしに味方はいないのか?」
「え、あの、私も反対したよ……?」
「そういうことじゃなく……あー、もう、あたしの言い方が悪かったよ」

 いつもの賑やかさ。いつものワイワイした雰囲気。
 修学旅行は特別な行事だが、この独特の空気は変わらない。
 萌花はそれに安心感を覚えるも、せっかくの行事なのだからもっと特別なことがしたいと思っていた。

「でも……元々仲がいいなら特別なことなんてなくてもいいですよね……」

 萌花は笑顔でつぶやいた。
 これでいい。これがいい。萌花たちはこうでなくては。
 そんな思いをかかえて、思う存分自由時間を楽しんだ。
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