95 / 239
第一章 高校一年生(二学期)
ちょうしょく(美久里)
しおりを挟む
「なにこれ……すごい……」
美奈が作ってくれたらしい朝食を見て、その一言しか言えなかった。
目の前に並べられてる皿の数は多くない。
しかしそのどれもが、今まで見た何よりも美味しそうで美久里の食欲を唆る。
料理スキルのない美久里には到底到達しきれないほどのレベルだ。
「こ、こここここれ! これ全部! 美奈が作ったの!? 本当に!?」
「うん、そうだけど?」
「うそ……でしょ!?」
確かに、今までも美奈に毎日料理を振舞ってもらっているが、ここまでのものを見たことがなかった。
すごく驚いた内心をグッと押し込んでいると、美奈が少し困ったような表情をしているのに気が付いた。
少し不安そうな様子で、こちらを見ている。
「ちょっと、変だったかな……?」
こてん、とあざとい仕草で首を傾げて問いかけてくる美奈に、美久里の答えはもちろん決まっていた。
「そんなことないよ! すごく嬉しい! ありがとうございます!!」
「最後なんで敬語……?」
美久里は即答する。ちょっと食い気味の即答を。
自分でも引くくらいの食い付きに、美奈はあまり気にしていなさそうだった。
敬語の方は気にしていたが。
「でも、良かった……おねえに喜んでほしくて作ったから……安心したよ」
心の底から安心したような様子の美奈。
その様子に美久里もほっとしつつ、美味しそうな料理が並べられてるテーブルに座る。
それを見て、美奈も同じように座った。
「どうぞ、召し上がれ」
「――いただきます!」
美奈が作ってくれた温かいご飯に、美久里は少し目頭が熱くなった気がした。
ここまでしてもらっているのに、何もお返しが出来ない自分に腹が立ってくる。
せめてお菓子でも作れるようになりたいが……
「おねえ、私ね……おねえのことが好きだから色々するんだよ? だからお返しとかいらないからね」
「美奈……」
嬉しいことを言ってくれる美奈を、美久里は優しく抱きしめた。
美奈が作ってくれたらしい朝食を見て、その一言しか言えなかった。
目の前に並べられてる皿の数は多くない。
しかしそのどれもが、今まで見た何よりも美味しそうで美久里の食欲を唆る。
料理スキルのない美久里には到底到達しきれないほどのレベルだ。
「こ、こここここれ! これ全部! 美奈が作ったの!? 本当に!?」
「うん、そうだけど?」
「うそ……でしょ!?」
確かに、今までも美奈に毎日料理を振舞ってもらっているが、ここまでのものを見たことがなかった。
すごく驚いた内心をグッと押し込んでいると、美奈が少し困ったような表情をしているのに気が付いた。
少し不安そうな様子で、こちらを見ている。
「ちょっと、変だったかな……?」
こてん、とあざとい仕草で首を傾げて問いかけてくる美奈に、美久里の答えはもちろん決まっていた。
「そんなことないよ! すごく嬉しい! ありがとうございます!!」
「最後なんで敬語……?」
美久里は即答する。ちょっと食い気味の即答を。
自分でも引くくらいの食い付きに、美奈はあまり気にしていなさそうだった。
敬語の方は気にしていたが。
「でも、良かった……おねえに喜んでほしくて作ったから……安心したよ」
心の底から安心したような様子の美奈。
その様子に美久里もほっとしつつ、美味しそうな料理が並べられてるテーブルに座る。
それを見て、美奈も同じように座った。
「どうぞ、召し上がれ」
「――いただきます!」
美奈が作ってくれた温かいご飯に、美久里は少し目頭が熱くなった気がした。
ここまでしてもらっているのに、何もお返しが出来ない自分に腹が立ってくる。
せめてお菓子でも作れるようになりたいが……
「おねえ、私ね……おねえのことが好きだから色々するんだよ? だからお返しとかいらないからね」
「美奈……」
嬉しいことを言ってくれる美奈を、美久里は優しく抱きしめた。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
三姉妹の姉達は、弟の俺に甘すぎる!
佐々木雄太
青春
四月——
新たに高校生になった有村敦也。
二つ隣町の高校に通う事になったのだが、
そこでは、予想外の出来事が起こった。
本来、いるはずのない同じ歳の三人の姉が、同じ教室にいた。
長女・唯【ゆい】
次女・里菜【りな】
三女・咲弥【さや】
この三人の姉に甘やかされる敦也にとって、
高校デビューするはずだった、初日。
敦也の高校三年間は、地獄の運命へと導かれるのであった。
カクヨム・小説家になろうでも好評連載中!
天ヶ崎高校二年男子バレーボール部員本田稔、幼馴染に告白する。
山法師
青春
四月も半ばの日の放課後のこと。
高校二年になったばかりの本田稔(ほんだみのる)は、幼馴染である中野晶(なかのあきら)を、空き教室に呼び出した。
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
ばじゅてんっ!〜馬術部の天使と不思議な聖女〜【完結済み】
M・A・J・O
キャラ文芸
馬が好きな女子高生、高宮沙織(たかみやさおり)は伝統のある星花女子学園に通っている。
そこは特段、馬術で有名な学校……とかではないのだが、馬術部の先生が優しくて気に入っている。
どこかの誰かとは大違いなほどに――
馬術の才能がある沙織は一年生にもかかわらず、少人数の馬術部員の中で成績がずば抜けていた。
そんな中、沙織はある人が気になっていた。
その人は沙織の一つ先輩である、渡島嫩(おしまふたば)。
彼女は心優しく、誰にでも尽くしてしまうちょっと変わった先輩だ。
「なんであんなに優しいのに、それが怖いんだろう……」
沙織はのちに、彼女が誰にでも優しい理由を知っていくこととなる……
・表紙絵はくめゆる様(@kumeyuru)より。
プレッシャァー 〜農高校球児の成り上がり〜
三日月コウヤ
青春
父親の異常な教育によって一人野球同然でマウンドに登り続けた主人公赤坂輝明(あかさかてるあき)。
父の他界後母親と暮らすようになり一年。母親の母校である農業高校で個性の強いチームメイトと生活を共にしながらありきたりでありながらかけがえのないモノを取り戻しながら一緒に苦難を乗り越えて甲子園目指す。そんなお話です
*進行速度遅めですがご了承ください
*この作品はカクヨムでも投稿しております
どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について
塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。
好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。
それはもうモテなかった。
何をどうやってもモテなかった。
呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。
そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて――
モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!?
最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。
これはラブコメじゃない!――と
<追記>
本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。
田中天狼のシリアスな日常
朽縄咲良
青春
とある県の平凡な県立高校「東総倉高等学校」に通う、名前以外は平凡な少年が、個性的な人間たちに翻弄され、振り回され続ける学園コメディ!
彼は、ごくごく平凡な男子高校生である。…名前を除けば。
田中天狼と書いてタナカシリウス、それが彼の名前。
この奇妙な名前のせいで、今までの人生に余計な気苦労が耐えなかった彼は、せめて、高校生になったら、平凡で平和な日常を送りたいとするのだが、高校入学後の初動に失敗。
ぼっちとなってしまった彼に話しかけてきたのは、春夏秋冬水と名乗る、一人の少女だった。
そして彼らは、二年生の矢的杏途龍、そして撫子という変人……もとい、独特な先輩達に、珍しい名を持つ者たちが集まる「奇名部」という部活への起ち上げを誘われるのだった……。
・表紙画像は、紅蓮のたまり醤油様から頂きました!
・小説家になろうにて投稿したものと同じです。
夏休み、隣の席の可愛いオバケと恋をしました。
みっちゃん
青春
『俺の隣の席はいつも空いている。』
俺、九重大地の左隣の席は本格的に夏休みが始まる今日この日まで埋まることは無かった。
しかしある日、授業中に居眠りして目を覚ますと隣の席に女の子が座っていた。
「私、、オバケだもん!」
出会って直ぐにそんなことを言っている彼女の勢いに乗せられて友達となってしまった俺の夏休みは色濃いものとなっていく。
信じること、友達の大切さ、昔の事で出来なかったことが彼女の影響で出来るようになるのか。
ちょっぴり早い夏の思い出を一緒に作っていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる