92 / 239
第一章 高校一年生(二学期)
どうわ(葉奈)
しおりを挟む
むかしむかし、あるところに一匹のりゅうがいました。
そのりゅうはこどくで、いつもひとりぼっちでした。
だけど、りゅうは友だちをつくりたいと思っていました。
ある日、りゅうは人間のまちに行くことを決め、つばさを広げました。
そして、人間のまちに来たりゅうは、さっそく人間たちに声をかけようとしました。
しかし、怖がられてばかりで、りゅうは友だちができませんでした。
りゅうはかなしくて、ずっと泣きつづけました。
それからりゅうは、ひっこしをくりかえしました。
何度も何度も……
友だちができる日を、夢みて……
☆ ☆ ☆
「そういえば、まほなれに出てくる『りゅうのかなしみ』が本当に絵本になってるんだよね」
「そうなんだよね~! 僕も初めて知った時は驚いたなぁ~」
放課後。
美久里と紫乃は学校近くの本屋に寄っていた。
二人は童心に返ろうとしていたようで、絵本や童話を漁っているときに思い出したらしい。
「うちもオファーが来た時はまじかって思ったっすよ」
葉奈は二人の会話に入り、お気に入りの童話を棚から持ち出す。
そして、二人にその童話を見せる。
二人は訝しげな表情でその童話を見ていたが、中身を見てハッと目を見開く。
「こ、これ……」
「うん……『りゅうのかなしみ』に似てるような……」
その童話のタイトルは、『ドラゴンさんは愛されたい』である。
表紙には、哀愁漂う小さなドラゴンが載っている。
物語を要約すると、「孤独に悩むドラゴンが愛を求めて旅立つ話」だ。
確かに『りゅうのかなしみ』と似ている。
「この本、大好きなんすよね。この本からインスピレーションを受けて『りゅうのかなしみ』が生まれたんすよ……懐かしいなぁ」
どこか嬉しそうに、『ドラゴンさんは愛されたい』を眺めている。
それほどまでに大好きなのだろう。
素晴らしい作家が、次の未来ある作家を育てたのだ。
その事実に、美久里と紫乃は顔を見合わせて微笑んだ。
そのりゅうはこどくで、いつもひとりぼっちでした。
だけど、りゅうは友だちをつくりたいと思っていました。
ある日、りゅうは人間のまちに行くことを決め、つばさを広げました。
そして、人間のまちに来たりゅうは、さっそく人間たちに声をかけようとしました。
しかし、怖がられてばかりで、りゅうは友だちができませんでした。
りゅうはかなしくて、ずっと泣きつづけました。
それからりゅうは、ひっこしをくりかえしました。
何度も何度も……
友だちができる日を、夢みて……
☆ ☆ ☆
「そういえば、まほなれに出てくる『りゅうのかなしみ』が本当に絵本になってるんだよね」
「そうなんだよね~! 僕も初めて知った時は驚いたなぁ~」
放課後。
美久里と紫乃は学校近くの本屋に寄っていた。
二人は童心に返ろうとしていたようで、絵本や童話を漁っているときに思い出したらしい。
「うちもオファーが来た時はまじかって思ったっすよ」
葉奈は二人の会話に入り、お気に入りの童話を棚から持ち出す。
そして、二人にその童話を見せる。
二人は訝しげな表情でその童話を見ていたが、中身を見てハッと目を見開く。
「こ、これ……」
「うん……『りゅうのかなしみ』に似てるような……」
その童話のタイトルは、『ドラゴンさんは愛されたい』である。
表紙には、哀愁漂う小さなドラゴンが載っている。
物語を要約すると、「孤独に悩むドラゴンが愛を求めて旅立つ話」だ。
確かに『りゅうのかなしみ』と似ている。
「この本、大好きなんすよね。この本からインスピレーションを受けて『りゅうのかなしみ』が生まれたんすよ……懐かしいなぁ」
どこか嬉しそうに、『ドラゴンさんは愛されたい』を眺めている。
それほどまでに大好きなのだろう。
素晴らしい作家が、次の未来ある作家を育てたのだ。
その事実に、美久里と紫乃は顔を見合わせて微笑んだ。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
キミとふたり、ときはの恋。【 君と歩く、翡翠の道】
冴月希衣@商業BL販売中
青春
「君は、俺の女でしょ? 俺だけ見てて」
【独占欲強め眼鏡男子と純真天然女子の初恋物語】
女子校から共学の名門私立・祥徳学園に編入した白藤涼香は、お互いにひとめ惚れした土岐奏人とカレカノになる。
付き合って一年。高等科に進学した二人に、新たな出会いと試練が……。恋の甘さ、もどかしさ、嫉妬、葛藤、切なさ。さまざまなスパイスを添えた初恋ストーリーをお届けできたら、と思っています。
風が、髪をさらっていく。柔らかなそれは、甘い花の薫りを含んで。
風が、頬を撫でていく。涼やかなそれは、目に鮮やかな青葉が奏でる音色とともに。
風が、私たちを包み込んで、ふたりの距離をゼロにする。
待ちかねた季節を風が運んできた。
目に映る全ての光が、翡翠色に輝く季節。
それは、ふたりの新しい道の始まり。
☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*☆.。.*・☆.。.*・☆.。.*☆
『花霞にたゆたう君に』の続編です。
◆本文、画像の無断転載禁止◆
No reproduction or republication without written permission.
表紙:香咲まりさん作画
カワイイ子猫のつくり方
龍野ゆうき
青春
子猫を助けようとして樹から落下。それだけでも災難なのに、あれ?気が付いたら私…猫になってる!?そんな自分(猫)に手を差し伸べてくれたのは天敵のアイツだった。
無愛想毒舌眼鏡男と獣化主人公の間に生まれる恋?ちょっぴりファンタジーなラブコメ。
内弟子物語 ー捨てきれない夢、武術の究極「活殺自在」を求める5名の青春群像ー
KASSATSU
青春
夢を捨てた人生に意味はないと考え、空手に魅力を感じた青年たちが純粋に若い時を駆け巡る青春群像。個性豊かな登場人物が織りなす毎日を綴る。試合を意識した空手ではなく、武術の究極と言われる活殺自在の境地を目指す過程をそれぞれの視点から描く。若いゆえの悩みを抱えつつも、自身が信じたことについて突き進む様子をユニークなエピソードごと紹介。
謎の過去を持つ師、藤堂真人のところに集まった高山誠、御岳信平、龍田真悟、松池進、堀田賢が武術と癒しという両極を学ぶ中で気付き、成長していく。
勘違いから始まる・関係・ゆり?・ブラコン!
シャル
青春
こちらは昔書いてたデータが消えたので更新してません。すみません。
ゆり、とかブラコンと、書いてますが、基本は女子高生の日常の話です。
主人公は、途中から登場する、巫杜(みこと)になります、
外ではクール?キャラでも家では、ブラコンキャラになります。
そこまで、恐ろしいブラコンの予定はありません。予定ですが。
思い付いた話を書くので、話数関係なく曜日が戻ったりするかもしれませんが、
気にしないでください。
例えば、夏の話から冬の話になったりです。
まだわかりませんが、多分なります。
キャラの会話は、わかりやすい?ように「」の中に書いてます。
キャラの心の声は「()」にしてます。
キャラの会話や登場キャラが多い予定なので、
誰が話てるか、わかりやすくするため
キャラ名作者
「よかったら読んでってください。
ちなみに、文才まったくないので。誤字脱字は、お許しください。」
こんな感じです・・・
また書きためれたら、まとめて公開します
1週間に1話程度は公開頑張ります。
少女が過去を取り戻すまで
tiroro
青春
小学生になり、何気ない日常を過ごしていた少女。
玲美はある日、運命に導かれるように、神社で一人佇む寂しげな少女・恵利佳と偶然出会った。
初めて会ったはずの恵利佳に、玲美は強く惹かれる不思議な感覚に襲われる。
恵利佳を取り巻くいじめ、孤独、悲惨な過去、そして未来に迫る悲劇を打ち破るため、玲美は何度も挫折しかけながら仲間達と共に立ち向かう。
『生まれ変わったら、また君と友達になりたい』
玲美が知らずに追い求めていた前世の想いは、やがて、二人の運命を大きく変えていく────
※この小説は、なろうで完結済みの小説のリメイクです
※リメイクに伴って追加した話がいくつかあります
内容を一部変更しています
※物語に登場する学校名、周辺の地域名、店舗名、人名はフィクションです
※一部、事実を基にしたフィクションが入っています
※タグは、完結までの間に話数に応じて一部増えます
※イラストは「画像生成AI」を使っています
不審者が俺の姉を自称してきたと思ったら絶賛売れ出し中のアイドルらしい
春野 安芸
青春
【雨の日に出会った金髪アイドルとの、ノンストレスラブコメディ――――】
主人公――――慎也は無事高校にも入学することができ可もなく不可もなくな日常を送っていた。
取り立てて悪いこともなく良いこともないそんな当たり障りのない人生を―――――
しかしとある台風の日、豪雨から逃れるために雨宿りした地で歯車は動き出す。
そこに居たのは存在を悟られないようにコートやサングラスで身を隠した不審者……もとい小さな少女だった。
不審者は浮浪者に進化する所を慎也の手によって、出会って早々自宅デートすることに!?
そんな不審者ムーブしていた彼女もそれは仮の姿……彼女の本当の姿は現在大ブレイク中の3人組アイドル、『ストロベリーリキッド』のメンバーだった!!
そんな彼女から何故か弟認定されたり、他のメンバーに言い寄られたり――――慎也とアイドルを中心とした甘々・イチャイチャ・ノンストレス・ラブコメディ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる