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第一章 高校一年生(二学期)
しゃわー(紫乃)
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自分の身体を包んでいたものを全部脱ぎ捨てて、お風呂に入る。
すると、真正面に鏡が設置されている。
紫乃は鏡を見ながら無意識に自分の胸を触っていた。
「んー……なかなか大きくならない……」
ポツリと零して、大きなため息をつく。
ほとんど肉付きがなく体重が軽い紫乃は、当然ながら胸の脂肪もない。
少食や偏食というわけでもないのに、なぜこんなにも肉が付かないのか。
栄養が口から入っても、そのままお尻から出てしまっているのではと本気で考えたことがある。
今はそんな馬鹿げたことを考えてはいないが。
「はふぅ……」
紫乃は自分の身体にシャワーをかける。
頭頂部からつま先にかけて、温かいお湯が流れる。
それに伴って、疲労や老廃物も一緒に流れるようだ。
忌々しい記憶だって、今なら流せそう……
『うわー、めっちゃ絵上手いね!』
脳裏に焼き付いた言葉が、今になって蘇る。
その言葉を思い出した紫乃は、急激に胸が熱くなった。
『誰がなんと言おうと、私は紫乃ちゃんの味方だよ!』
一つのことを思い出すと、次から次へと色々なことを思い出す。
目頭が熱くなって、シャワーのお湯とは違う液体が流れ出す。
紫乃の蒼輝のような瞳は、今とは違う時間軸。映し出している。
あの忌々しい記憶の中で、唯一輝いているあの子のことが目に浮かぶ。
『紫乃ちゃん……もう嫌だよ……』
多分あの子は、誰よりも繊細で傷つきやすかったんだと思う。
メンタルが弱くて、いつも人間関係に悩んでいたように見えた。
だけど、紫乃はそんなあの子に救われたのだ。
『紫乃ちゃん、大好き!』
その言葉を思い出した時。
紫乃は頭からボンッと爆発音を出して、その場に崩れ落ちた。
すると、真正面に鏡が設置されている。
紫乃は鏡を見ながら無意識に自分の胸を触っていた。
「んー……なかなか大きくならない……」
ポツリと零して、大きなため息をつく。
ほとんど肉付きがなく体重が軽い紫乃は、当然ながら胸の脂肪もない。
少食や偏食というわけでもないのに、なぜこんなにも肉が付かないのか。
栄養が口から入っても、そのままお尻から出てしまっているのではと本気で考えたことがある。
今はそんな馬鹿げたことを考えてはいないが。
「はふぅ……」
紫乃は自分の身体にシャワーをかける。
頭頂部からつま先にかけて、温かいお湯が流れる。
それに伴って、疲労や老廃物も一緒に流れるようだ。
忌々しい記憶だって、今なら流せそう……
『うわー、めっちゃ絵上手いね!』
脳裏に焼き付いた言葉が、今になって蘇る。
その言葉を思い出した紫乃は、急激に胸が熱くなった。
『誰がなんと言おうと、私は紫乃ちゃんの味方だよ!』
一つのことを思い出すと、次から次へと色々なことを思い出す。
目頭が熱くなって、シャワーのお湯とは違う液体が流れ出す。
紫乃の蒼輝のような瞳は、今とは違う時間軸。映し出している。
あの忌々しい記憶の中で、唯一輝いているあの子のことが目に浮かぶ。
『紫乃ちゃん……もう嫌だよ……』
多分あの子は、誰よりも繊細で傷つきやすかったんだと思う。
メンタルが弱くて、いつも人間関係に悩んでいたように見えた。
だけど、紫乃はそんなあの子に救われたのだ。
『紫乃ちゃん、大好き!』
その言葉を思い出した時。
紫乃は頭からボンッと爆発音を出して、その場に崩れ落ちた。
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