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第一章 高校一年生(一学期)
たいいく(萌花)
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「では、早速体力テストを始めたいと思います」
先生の声掛けで、高校初の体育が始まった。
体力テストは小・中学校の時もやっていたため、何をするべきなのかはわかる。
わかる……のだが……
「あ、あの……何でそんなことに?」
「……へ? いや……その……」
目の前のものには、どう反応していいのかがわかない。
「美久里ちゃんって……なんていうか……すごいよねぇ……」
「ふひゃゃゃ! なんなんすかこの状況。笑うしかないっす」
紫乃と葉奈もそれぞれ違う反応を示す。
みんなに変な目で見られている美久里は、不思議そうに首を傾げた。
「……えっと……な、なにか変だった?」
「いや、変っていうか……」
美久里の疑問に朔良が答えようとするも、上手く答えられないようだ。
それもそのはず。
美久里は握力を測っているのだが、なぜか軽く走ってきたぐらいの汗が出ているから。
普通、握力にそこまで体力を削られるだろうか……
(な、謎すぎる……)
とりあえず、美久里が貧弱だということはわかった。
それに加え、吐息がなぜか色っぽくなっていて、こちらが居た堪れなくなってくる。
「つ、疲れた……萌花ちゃん……次、どうぞ」
瞳を潤ませ、謎に上目遣いでこちらを見つめる美久里。
それに対して戸惑いはしたものの、萌花はなんとか平静を装う。
「あ、ありがとうございます……」
そして、萌花はぎゅうっと握力計を握りしめる。
どんな結果が出たのか確認すると、みんなが「おお~」と小さく拍手をしてくれた。
結構いい結果が出たようだ。
「わぁ……!」
萌花は小さく歓喜の声を上げる。
この結果は、今までの自己ベストを更新しているのだ。
「美久里と比べちゃうと萌花の方が何倍もすごいな」
「たしかに~。あ、でも僕も握力に自信ないから人の事言えないんだけどね~……」
「いやいや、美久里よりは大丈夫だと思うっすよ!」
「みんな酷くない!?」
賑やかで騒がしいこの情景に、萌花は小さく口角を上げた。
今、この時間が、何より楽しいと感じるから。
先生の声掛けで、高校初の体育が始まった。
体力テストは小・中学校の時もやっていたため、何をするべきなのかはわかる。
わかる……のだが……
「あ、あの……何でそんなことに?」
「……へ? いや……その……」
目の前のものには、どう反応していいのかがわかない。
「美久里ちゃんって……なんていうか……すごいよねぇ……」
「ふひゃゃゃ! なんなんすかこの状況。笑うしかないっす」
紫乃と葉奈もそれぞれ違う反応を示す。
みんなに変な目で見られている美久里は、不思議そうに首を傾げた。
「……えっと……な、なにか変だった?」
「いや、変っていうか……」
美久里の疑問に朔良が答えようとするも、上手く答えられないようだ。
それもそのはず。
美久里は握力を測っているのだが、なぜか軽く走ってきたぐらいの汗が出ているから。
普通、握力にそこまで体力を削られるだろうか……
(な、謎すぎる……)
とりあえず、美久里が貧弱だということはわかった。
それに加え、吐息がなぜか色っぽくなっていて、こちらが居た堪れなくなってくる。
「つ、疲れた……萌花ちゃん……次、どうぞ」
瞳を潤ませ、謎に上目遣いでこちらを見つめる美久里。
それに対して戸惑いはしたものの、萌花はなんとか平静を装う。
「あ、ありがとうございます……」
そして、萌花はぎゅうっと握力計を握りしめる。
どんな結果が出たのか確認すると、みんなが「おお~」と小さく拍手をしてくれた。
結構いい結果が出たようだ。
「わぁ……!」
萌花は小さく歓喜の声を上げる。
この結果は、今までの自己ベストを更新しているのだ。
「美久里と比べちゃうと萌花の方が何倍もすごいな」
「たしかに~。あ、でも僕も握力に自信ないから人の事言えないんだけどね~……」
「いやいや、美久里よりは大丈夫だと思うっすよ!」
「みんな酷くない!?」
賑やかで騒がしいこの情景に、萌花は小さく口角を上げた。
今、この時間が、何より楽しいと感じるから。
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