15 / 239
第一章 高校一年生(一学期)
しまい(美久里)
しおりを挟む
「た、ただいま……」
「おー、おかえり。おねえ」
美久里が帰宅すると、すぐさま妹が出迎えてくれた。
妹も帰ってきたばかりのようで、家なのにセーラー服を纏っている。
「あれ……今日は部活ないの?」
「そうだよー。って言ってもまだ仮入部だからそこにするとは決めてないけどね」
美久里がそう問うと、セーラー服を脱ぎながら肯定する。
スカートが床に落ちると、体操服のズボンが顔を出し、一気に女子中学生感が抜ける。
美久里と妹は年が三歳離れており、妹も中学に入ったばかりだ。
「おねえは部活何にするか決めたの?」
「へっ!? え……あー……その、まだだけど……」
「おねえってほんと優柔不断だよね~」
「う、うるさいな……」
中学と違って、高校の部活はバリエーション豊富だ。
それに部活だけでなく、同好会というものもあり、本当に決めるのが難しい。
しかも、タピ女では一年生の間は部活に入ることが絶対のようで、『帰宅部』という選択肢はない。
「ううう……どうしよう……」
美久里はカバンを置き、ため息をつく。
そして、部屋着に着替えるため、制服に手をかける。
そんな姉を見て、妹はからかうように笑う。
「おねえはアニメとか好きだしそういう部活に行けば? 高校なんだからあるでしょ」
「ふぇっ!? そ、そんなのあるの……?」
「え、なんで知らないの?」
妹の冷ややかなツッコミを無視し、美久里はタピ女の部活動一覧を取り出す。
その中には妹の言う通り、『マンガ・アニメ研究会』というものがある。
(ほ、ほんとにあるんだ……)
そういうのはマンガやアニメだけのものだと思っていた。
美久里は自分が下着姿なのも忘れ、嬉しさで身体を踊らせる。
突然踊り出した姉に、妹は頭のおかしな人を見るような目を向ける。
「大丈夫!? おねえ病院行ってきた方がいいんじゃない!?」
心配しているのか馬鹿にしているのかよくわからないが、姉の奇行を止めるべく妹が近づく。
そんな妹の言葉も手もかわし、姉は踊ることをやめない。
個性的な女子高生は、家でも個性を爆発させていたのだった……
「おー、おかえり。おねえ」
美久里が帰宅すると、すぐさま妹が出迎えてくれた。
妹も帰ってきたばかりのようで、家なのにセーラー服を纏っている。
「あれ……今日は部活ないの?」
「そうだよー。って言ってもまだ仮入部だからそこにするとは決めてないけどね」
美久里がそう問うと、セーラー服を脱ぎながら肯定する。
スカートが床に落ちると、体操服のズボンが顔を出し、一気に女子中学生感が抜ける。
美久里と妹は年が三歳離れており、妹も中学に入ったばかりだ。
「おねえは部活何にするか決めたの?」
「へっ!? え……あー……その、まだだけど……」
「おねえってほんと優柔不断だよね~」
「う、うるさいな……」
中学と違って、高校の部活はバリエーション豊富だ。
それに部活だけでなく、同好会というものもあり、本当に決めるのが難しい。
しかも、タピ女では一年生の間は部活に入ることが絶対のようで、『帰宅部』という選択肢はない。
「ううう……どうしよう……」
美久里はカバンを置き、ため息をつく。
そして、部屋着に着替えるため、制服に手をかける。
そんな姉を見て、妹はからかうように笑う。
「おねえはアニメとか好きだしそういう部活に行けば? 高校なんだからあるでしょ」
「ふぇっ!? そ、そんなのあるの……?」
「え、なんで知らないの?」
妹の冷ややかなツッコミを無視し、美久里はタピ女の部活動一覧を取り出す。
その中には妹の言う通り、『マンガ・アニメ研究会』というものがある。
(ほ、ほんとにあるんだ……)
そういうのはマンガやアニメだけのものだと思っていた。
美久里は自分が下着姿なのも忘れ、嬉しさで身体を踊らせる。
突然踊り出した姉に、妹は頭のおかしな人を見るような目を向ける。
「大丈夫!? おねえ病院行ってきた方がいいんじゃない!?」
心配しているのか馬鹿にしているのかよくわからないが、姉の奇行を止めるべく妹が近づく。
そんな妹の言葉も手もかわし、姉は踊ることをやめない。
個性的な女子高生は、家でも個性を爆発させていたのだった……
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
絶世の美女の侍女になりました。
秋月一花
キャラ文芸
十三歳の朱亞(シュア)は、自分を育ててくれた祖父が亡くなったことをきっかけに住んでいた村から旅に出た。
旅の道中、皇帝陛下が美女を後宮に招くために港町に向かっていることを知った朱亞は、好奇心を抑えられず一目見てみたいと港町へ目的地を決めた。
山の中を歩いていると、雨の匂いを感じ取り近くにあった山小屋で雨宿りをすることにした。山小屋で雨が止むのを待っていると、ふと人の声が聞こえてびしょ濡れになってしまった女性を招き入れる。
女性の名は桜綾(ヨウリン)。彼女こそが、皇帝陛下が自ら迎えに行った絶世の美女であった。
しかし、彼女は後宮に行きたくない様子。
ところが皇帝陛下が山小屋で彼女を見つけてしまい、一緒にいた朱亞まで巻き込まれる形で後宮に向かうことになった。
後宮で知っている人がいないから、朱亞を侍女にしたいという願いを皇帝陛下は承諾してしまい、朱亞も桜綾の侍女として後宮で暮らすことになってしまった。
祖父からの教えをきっちりと受け継いでいる朱亞と、絶世の美女である桜綾が後宮でいろいろなことを解決したりする物語。
少女が過去を取り戻すまで
tiroro
青春
小学生になり、何気ない日常を過ごしていた少女。
玲美はある日、運命に導かれるように、神社で一人佇む寂しげな少女・恵利佳と偶然出会った。
初めて会ったはずの恵利佳に、玲美は強く惹かれる不思議な感覚に襲われる。
恵利佳を取り巻くいじめ、孤独、悲惨な過去、そして未来に迫る悲劇を打ち破るため、玲美は何度も挫折しかけながら仲間達と共に立ち向かう。
『生まれ変わったら、また君と友達になりたい』
玲美が知らずに追い求めていた前世の想いは、やがて、二人の運命を大きく変えていく────
※この小説は、なろうで完結済みの小説のリメイクです
※リメイクに伴って追加した話がいくつかあります
内容を一部変更しています
※物語に登場する学校名、周辺の地域名、店舗名、人名はフィクションです
※一部、事実を基にしたフィクションが入っています
※タグは、完結までの間に話数に応じて一部増えます
※イラストは「画像生成AI」を使っています
【完結】神様WEB!そのネットショップには、神様が棲んでいる。
かざみはら まなか
キャラ文芸
22歳の男子大学生が主人公。
就活に疲れて、山のふもとの一軒家を買った。
その一軒家の神棚には、神様がいた。
神様が常世へ還るまでの間、男子大学生と暮らすことに。
神様をお見送りした、大学四年生の冬。
もうすぐ卒業だけど、就職先が決まらない。
就職先が決まらないなら、自分で自分を雇う!
男子大学生は、イラストを売るネットショップをオープンした。
なかなか、売れない。
やっと、一つ、売れた日。
ネットショップに、作った覚えがないアバターが出現!
「神様?」
常世が満席になっていたために、人の世に戻ってきた神様は、男子学生のネットショップの中で、住み込み店員になった。
どんな学校でも恋したっていいですよね?
さっきーオズマ
青春
山崎啓介(やまざきけいすけ)は男子校に通っているごく普通の高校生
男子校は最高だ
例えば周りの目を気にすることなく言いたいことが言える
例えば恋愛による関係性の破壊がほとんど全く無い
例えば陰キャ陽キャがあまり分かれていない
ただ一つの最大の利点であり欠点を上げるならば
女子がいない
女子がいないことが利点の大部分を占めているものの
女子がいない、すなわち恋愛ができないことが最大の欠点なのだ
共学に通っている友達からはこの子が可愛いんだよねと、
隣の席のこの人が好きなんだよねと
そんな喧嘩売ってるのかって話が舞い込んでくる
もちろん男子を好きになればいいという声もあるだろう
だがしかし、性的趣向はそう簡単に変わるものではない
簡単に変わったら苦労はしない
恋愛が出来ないということはすなわち、青春の醍醐味の半分を失うということ
勿論、自分は恋愛なんてしなくてもいいや・・・と思っているのも柄の間
小学校で恋愛に興味が無かった者達は皆こう言った
「彼女が欲しい」
俺も例外ではない
しかもここは中高一貫校、6年間も異性とかかわることが無いのだ
そりゃあ虚しくもなる
そこで、考えた
「彼女つくれないかな」
って
思いつかなかった
やはり救いようが無かった
だが、まだあきらめるのには早すぎる
何か、何か恋愛をする方法はないのか!
そんな、青春の楽しみの一つをうばわれた悲しき生き物(モンスター)たちが
恋に奮闘するお話
※BL作品ではありません
※この小説の中には作者である「さっきーオズマ(をもとにしたキャラ)」が出てきます。普段の文体などから、誰なのか是非探し当ててみてね!
※答えは番外編の主人公です
不審者が俺の姉を自称してきたと思ったら絶賛売れ出し中のアイドルらしい
春野 安芸
青春
【雨の日に出会った金髪アイドルとの、ノンストレスラブコメディ――――】
主人公――――慎也は無事高校にも入学することができ可もなく不可もなくな日常を送っていた。
取り立てて悪いこともなく良いこともないそんな当たり障りのない人生を―――――
しかしとある台風の日、豪雨から逃れるために雨宿りした地で歯車は動き出す。
そこに居たのは存在を悟られないようにコートやサングラスで身を隠した不審者……もとい小さな少女だった。
不審者は浮浪者に進化する所を慎也の手によって、出会って早々自宅デートすることに!?
そんな不審者ムーブしていた彼女もそれは仮の姿……彼女の本当の姿は現在大ブレイク中の3人組アイドル、『ストロベリーリキッド』のメンバーだった!!
そんな彼女から何故か弟認定されたり、他のメンバーに言い寄られたり――――慎也とアイドルを中心とした甘々・イチャイチャ・ノンストレス・ラブコメディ!!
御伽噺GIRLS!! ~赤ずきんちゃんが銃を撃ったり雪女が冷気で斬撃をしたり恩返しの鶴が魔法少女に変身をしたり~
八乃前陣(やのまえ じん)
青春
超現実主義な男子高校生「御伽噺章太郎(おとぎばなし しょうたろう)」の前に、三人の転入生がやって来た。
三人とも、それぞれタイプの違う美人だけど、彼女たちの正体は、なんと有名童話の主人公たちだった!
わけありのイケメン捜査官は英国名家の御曹司、潜入先のロンドンで絶縁していた家族が事件に
川喜多アンヌ
ミステリー
あのイケメンが捜査官? 話せば長~いわけありで。
もしあなたの同僚が、潜入捜査官だったら? こんな人がいるんです。
ホークは十四歳で家出した。名門の家も学校も捨てた。以来ずっと偽名で生きている。だから他人に化ける演技は超一流。証券会社に潜入するのは問題ない……のはずだったんだけど――。
なりきり過ぎる捜査官の、どっちが本業かわからない潜入捜査。怒涛のような業務と客に振り回されて、任務を遂行できるのか? そんな中、家族を巻き込む事件に遭遇し……。
リアルなオフィスのあるあるに笑ってください。
主人公は4話目から登場します。表紙は自作です。
主な登場人物
ホーク……米国歳入庁(IRS)特別捜査官である主人公の暗号名。今回潜入中の名前はアラン・キャンベル。恋人の前ではデイヴィッド・コリンズ。
トニー・リナルディ……米国歳入庁の主任特別捜査官。ホークの上司。
メイリード・コリンズ……ワシントンでホークが同棲する恋人。
カルロ・バルディーニ……米国歳入庁捜査局ロンドン支部のリーダー。ホークのロンドンでの上司。
アダム・グリーンバーグ……LB証券でのホークの同僚。欧州株式営業部。
イーサン、ライアン、ルパート、ジョルジオ……同。
パメラ……同。営業アシスタント。
レイチェル・ハリー……同。審査部次長。
エディ・ミケルソン……同。株式部COO。
ハル・タキガワ……同。人事部スタッフ。東京支店のリストラでロンドンに転勤中。
ジェイミー・トールマン……LB証券でのホークの上司。株式営業本部長。
トマシュ・レコフ……ロマネスク海運の社長。ホークの客。
アンドレ・ブルラク……ロマネスク海運の財務担当者。
マリー・ラクロワ……トマシュ・レコフの愛人。ホークの客。
マーク・スチュアート……資産運用会社『セブンオークス』の社長。ホークの叔父。
グレン・スチュアート……マークの息子。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる