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第一章 高校一年生(一学期)
せいり(美久里)
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――まずい、ことになった。
今日から約一週間、血祭りウィークが始まる。
にも関わらず、それに必要な道具を忘れて学校に来てしまった。
(どうしよう……誰かに借りないと……でも……)
――そう。コミュ障な美久里にとって、誰かに物を借りることは結構ハードルが高い。
だが、その時。
「おはよー。今日も早いな。いつも何時ぐらいに学校来てんの?」
救世主が現れた!
今日はいつものポニテ姿ではなく、髪をおろしている。
「さ、朔良……っ! あ、あの……」
美久里は目を輝かせ、朔良に駆け寄る。
――が、突然美久里のお腹に強烈な痛みが奔った。
「ぐっ……!」
締め付けられるような痛みに耐えられなかったのか、その場にうずくまる。
突然の出来事に驚いたのは、美久里だけではない。
「お、おい。美久里……? 大丈夫か!?」
朔良は美久里の元に駆け寄り、美久里の身体をゆする。
そんな朔良に、美久里は息絶えだえに言う。
「だ、大丈夫……ただの……生理痛……だから……」
「いや、大丈夫じゃねーだろ。お前薬は? 痛み止め持ってるか?」
「い、一応は……」
「どこにある? とってやるからちゃんと飲めよ?」
朔良は立ち上がり、美久里のカバンの中を漁る。
……と、そこには。
「……す、すげぇ……」
たくさんの『魔法少女になれたなら』の関連グッズが入っていたのだ。
アクキーや缶バッジ、同人誌やクリアファイルなどなど。
美久里がいかに『まほなれ』の大ファンなのかがよくわかる。
「――はっ! そんなことより薬……!」
つい『まほなれ』グッズに惹き付けられてしまっていた朔良だったが、なんとか正気に戻ることができた。
そして、ふちの方にしまわれていたピンク色のポーチから薬を取り出す。
「ほら、飲めるか?」
「……ん……」
もう、意識を保つのが限界にきていた美久里。
そんな美久里は、朔良にもたれかかるように倒れ、意識を手放した。
今日から約一週間、血祭りウィークが始まる。
にも関わらず、それに必要な道具を忘れて学校に来てしまった。
(どうしよう……誰かに借りないと……でも……)
――そう。コミュ障な美久里にとって、誰かに物を借りることは結構ハードルが高い。
だが、その時。
「おはよー。今日も早いな。いつも何時ぐらいに学校来てんの?」
救世主が現れた!
今日はいつものポニテ姿ではなく、髪をおろしている。
「さ、朔良……っ! あ、あの……」
美久里は目を輝かせ、朔良に駆け寄る。
――が、突然美久里のお腹に強烈な痛みが奔った。
「ぐっ……!」
締め付けられるような痛みに耐えられなかったのか、その場にうずくまる。
突然の出来事に驚いたのは、美久里だけではない。
「お、おい。美久里……? 大丈夫か!?」
朔良は美久里の元に駆け寄り、美久里の身体をゆする。
そんな朔良に、美久里は息絶えだえに言う。
「だ、大丈夫……ただの……生理痛……だから……」
「いや、大丈夫じゃねーだろ。お前薬は? 痛み止め持ってるか?」
「い、一応は……」
「どこにある? とってやるからちゃんと飲めよ?」
朔良は立ち上がり、美久里のカバンの中を漁る。
……と、そこには。
「……す、すげぇ……」
たくさんの『魔法少女になれたなら』の関連グッズが入っていたのだ。
アクキーや缶バッジ、同人誌やクリアファイルなどなど。
美久里がいかに『まほなれ』の大ファンなのかがよくわかる。
「――はっ! そんなことより薬……!」
つい『まほなれ』グッズに惹き付けられてしまっていた朔良だったが、なんとか正気に戻ることができた。
そして、ふちの方にしまわれていたピンク色のポーチから薬を取り出す。
「ほら、飲めるか?」
「……ん……」
もう、意識を保つのが限界にきていた美久里。
そんな美久里は、朔良にもたれかかるように倒れ、意識を手放した。
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