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最終章 全ての元凶

今度は結衣の番

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 結衣がガーネットの内部に入ると、ガーネットの記憶が流れ込んできた。
 どれだけ辛かったか、怖かったか……それがすごく伝わってくる。

「うっ……うっ……」
『結衣……泣いてる場合じゃねぇぞ。はやくガーネットを助けねぇと』
「そんなことわかってるよ! わかってるけど……」

 結衣が堪えきれずに嗚咽を吐き出すと、魔央は冷たそうにそう言う。
 否、冷たそうに聞こえるだけで、魔央もガーネットの記憶に何も感じなかったわけではない。
 ただ、ガーネットの記憶に涙するより、ガーネットを助け出すことの方が大事だ。

『これじゃあ、なんのためにここに来たのか分からねぇじゃねぇか……』

 結衣がガーネットの記憶に感化されたのか、崩れ落ちて泣いている。
 魔央はそんな結衣の様子にイライラしていた。
 だが、結衣は突然思いもよらないことを口にした。

「私を選んでくれて……見つけてくれて、ありがとう」

 その言葉は、ガーネットに贈られるもの。
 ガーネットが自分を選んでくれた。
 ガーネットは、結衣ならきっといいパートナーになってくれると……信じてくれていたのだ。
 結衣がガーネットを見つける前に。

「ごめんね、魔央。進もう」

 そう言って、結衣は歩き出した。

 しばらく進んだ先に、でかでかとした扉が待ち構えていた。
 いかにもその先に何かがありそうな、大きな扉。
 結衣は丁寧に三回ノックをし、その先にいるであろうガーネットに声をかける。

「ガーネット、迎えに来たよ」

 優しく朗らかに言うと、その扉は容易く開く。
 そして、その先には――円柱状の水槽のような中に、ガーネットは目を閉じて入っていた。
 SFなどで、実験台として呼ばれた人が入れられているようなもの。
 だが、結衣はそれに億さず、堂々と笑顔で呼びかける。

「……ガーネット」
「……結衣、様……?」

 その暖かい声に、ガーネットは目を覚ます。
 ガーネットの表情は、ルリの実験台になった時の表情だった。
 とても暗く、見ている方が悲しくなるような……そんな表情。

「私を魔法少女にしてくれてありがとう。おかげで私……大切な人たちに出会えた。毎日がとても楽しかった」

 それは、ずっとガーネットに伝えようと思っていた言葉。
 ガーネットに出会えたからこそ、他の魔法少女たちと出会えた。
 ガーネットに出会えたからこそ、毎日が楽しくて充実していた。

 だから今度は、結衣がガーネットを助ける番。
 ガーネットがしてくれたように、そのままの台詞で、結衣は笑う。

「――魔法少女になってくださぁい!」

 その瞬間、ガーネットの水槽にヒビが入った。
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