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最終章 全ての元凶
不完全を完全に
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「……は? おい、何言ってんだよ……」
魔央には結衣が何を言っているのかわからなかった。
たしかに結衣の殺意と同調して乗り移ろうとしていたことはある。
だがそれは、まだ魔央が実体を持っていなかった頃の話だ。
「大丈夫。出来るよ。きっと」
「無茶言ってんじゃねぇ! んなこと出来るはずが――!」
「……私を、信じて」
魔央が吼えるように言うと、結衣は静かに呟く。
その結衣の言葉には、なぜか異常なまでの信頼性があり、魔央は反論できなかった。
「……信じていいんだな?」
その言葉に、複数の意味を乗せて訊いた。
そんな魔央の言葉に、結衣はこくりと力強く頷く。
魔央はため息をつき、不敵な笑みを浮かべる。
「はぁ……そんじゃ、あの囚われのお姫様を助けに行きますか!」
「うん、きっとできるよ! 私たちなら!」
結衣と魔央は見つめ合い、両手を絡ませた。
そして二人は目を閉じ、互いの身体を密着させて元々一人の身体だと言わんばかりの状態になる。
「……な、なにが……起きてる……の?」
真菜が疑問を声に出す。
だが、それに答えられるものはいなかった。
全員がみんな、真菜と同じ疑問を抱いていたからだ。
その光景は、何とも形容しがたい。
結衣と魔央は別々の人間のはずなのに、それが一つに溶け合っている。
身体が触れ合っている部分から、魔央の身体が溶けて結衣の中へ吸収されていた。
「これ……どういう原理なんだ……?」
美波は目を見開き、その光景を目に焼き付ける。
魔央の姿が完全に消えた時、結衣の姿がだんだんと変化し始めた。
紅い髪が黒く染まり、翠色の瞳が琥珀色に上書きされ――背中から半透明の蝶のような翼が生える。
これが結衣の――完全な姿なのだろうか……
魔央には結衣が何を言っているのかわからなかった。
たしかに結衣の殺意と同調して乗り移ろうとしていたことはある。
だがそれは、まだ魔央が実体を持っていなかった頃の話だ。
「大丈夫。出来るよ。きっと」
「無茶言ってんじゃねぇ! んなこと出来るはずが――!」
「……私を、信じて」
魔央が吼えるように言うと、結衣は静かに呟く。
その結衣の言葉には、なぜか異常なまでの信頼性があり、魔央は反論できなかった。
「……信じていいんだな?」
その言葉に、複数の意味を乗せて訊いた。
そんな魔央の言葉に、結衣はこくりと力強く頷く。
魔央はため息をつき、不敵な笑みを浮かべる。
「はぁ……そんじゃ、あの囚われのお姫様を助けに行きますか!」
「うん、きっとできるよ! 私たちなら!」
結衣と魔央は見つめ合い、両手を絡ませた。
そして二人は目を閉じ、互いの身体を密着させて元々一人の身体だと言わんばかりの状態になる。
「……な、なにが……起きてる……の?」
真菜が疑問を声に出す。
だが、それに答えられるものはいなかった。
全員がみんな、真菜と同じ疑問を抱いていたからだ。
その光景は、何とも形容しがたい。
結衣と魔央は別々の人間のはずなのに、それが一つに溶け合っている。
身体が触れ合っている部分から、魔央の身体が溶けて結衣の中へ吸収されていた。
「これ……どういう原理なんだ……?」
美波は目を見開き、その光景を目に焼き付ける。
魔央の姿が完全に消えた時、結衣の姿がだんだんと変化し始めた。
紅い髪が黒く染まり、翠色の瞳が琥珀色に上書きされ――背中から半透明の蝶のような翼が生える。
これが結衣の――完全な姿なのだろうか……
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