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最終章 全ての元凶

あの子を絶対助けなきゃ!

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「……が、ガーネット……」
「やっぱ、裏に誰かいたのか……」

 結衣は声を震わせ、魔央は眉間にシワを寄せる。
 あまりにも突然のことに、結衣はただ突っ立っていることしか出来ない。
 だが、魔央はこの日を知っていたように颯爽と歩き出す。

「行くぞ、結衣。グズグズするな」
「……え、で、でも……」
「あいつはみんなを集めろって言った。俺もその通りにした方がいいと思う」
「……え?」

 それはつまり、相手の要求を飲むということだろうか。
 そんなことをすれば、相手の思うつぼだ。
 なのになぜ――……

「……ガーネットを、取り戻したいだろ?」

 その言葉を聞いて、結衣の迷いは消えた。
 ――そうだ。ガーネットを助けなくてはならない。
 ただ、それだけだ。
 結衣は自分の胸に手を当て、深呼吸する。

「すぅー……はぁー……」

 そして、改めて魔央の顔を見る。
 魔央は結衣を見て不敵に笑っている。
 ――俺らが負けるわけないだろ?
 そう、言っているように見えた。

「……うん。よし、行こう!」

 そう決意し、みんなの家を訪ねた。

 ☆ ☆ ☆

「……え、そんな……ことに……なってた、の?」

 真菜が驚いた様子で目を見開く。
 すると、夏音が不安そうに瞳を潤ませる。

「ガーネットは無事なんですにゃ……?」
「多分大丈夫だと思うぞ。ガーネットも充分強いからさ」

 そんな夏音を安心させるように、魔央が口角を上げて言う。
 だが、危険な状況にあることに変わりはない。
 一刻も早くガーネットを救わなければ……!

「あ、あの……ちょっといいですか?」

 おずおずと、緋依が手を挙げた。
 それに驚いていないのは、せーちゃんと美波だけ。
 どうやらその二人は、緋依が言おうとしていることがわかっているようだ。

「……その、言おうかどうか迷ってたんですが……言うなら今しかないなと思って……」
「う、うん。わかった。じゃあ、話してみて?」

 結衣が戸惑いながら優しく言うと、緋依はゆっくりと口を開いた。
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