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 第三章 まさかの裏切り

とある少女の過去

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 初めに見たのは、両親であろう魔術師の姿だった。
 少女が目を覚ますと、とても嬉しそうに顔をほころばせていた。

 少女は――神のような存在。
 人々の願いを叶えるために生まれてきた存在。
 人の型をしてはいたが、少女は人間ではなかった。

 お母さんのお腹の中にいたわけでもなく。
 赤ちゃんと呼ばれる状態から成長したわけでもない。
 少女は初めから、小学生ぐらいの姿だった。

「では早速、お前には学校に行ってもらう」
「……学校、ですか?」
「あぁ、そうだ。“学校”という単語は解るね?」
「……はい……」

 少女が小さく肯定すると、魔術師は得意げに笑った。
 どうやら少女に知識というものを埋め込んだのは、彼らしい。

 ……だからだろうか。
 少女が話す度、彼は自分のことしか見えていないようだった。
 顔は笑っているのに、目が少女を映してしなかったから。

「魔法学校に行って、魔法の使い方について学んできなさい」
「……わかりました」

 だが、そんなことはどうでもよかった。
 どうせ他人なのだから。

 ☆ ☆ ☆

「えー、今日から転校生がやってきます。みなさん仲良くしましょうね」

 先生がそう言うと、教室中にどよめきが奔った。
 転校生に対する期待と不安とが入り乱れているのだろう。

「では、どうぞ入ってきてください」

 先生に言われ、少女が毅然とした態度で入ってくる。
 その姿を見て、生徒たちは――いや、先生ですら、息を呑んだ。
 少女の外見に息を呑んだわけではない。
 少女の放つ魔力が圧倒的すぎて、格の違いを見せつけられたような気がしたから。

 それは言うなれば、王の放つオーラ。
 王様には人々がひれ伏し、頭を下げるものである。
 そんな王の威厳のようなものが、少女にはあったのだ。

「よろしくお願いします」

 王のようなオーラを纏う少女の一挙手一投足に、生徒たちは目を奪われた。
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