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第三章 まさかの裏切り
ガーネットが笑った
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「……どう、なったの……?」
「手応えはあったが……こんなんでやられるやつじゃねぇからな……」
結衣が再生魔法を使ったあの時。
ガーネットは為す術なく無抵抗でやられていた――ように見えた。
確信はない。だが、手応えはあった。
「……ガーネット……」
結衣が不安そうに呟く。
もし攻撃が当たっていても当たっていなくても、どちらも危険であることに変わりはない。
――と、その時。
何かが結衣を目掛けて飛んでくる。
「……っ! 危ねぇ!」
だが、間一髪。
魔央はそれにいち早く気づき、なんとかそれを防ぐことが出来た。
黒い槍を盾にしながら、飛んできたものを見る。
「……これ、真菜の矢……か?」
「で、でも……真菜ちゃんがこんなことするわけないし……」
「あぁ、だとしたらこれは――」
そう言い、二人は矢が飛んできた方角に目を向ける。
その先には、ガーネットが顔を俯かせながら辛そうに立っていた。
矢を放ったガーネットだが、全ての攻撃を避けきれず、少なからずダメージを受けたらしい。
「……ふっ、ふふふ、あはははっ! いいじゃないですかぁ。面白いこと出来るんですねぇ、結衣様」
「……が、ガーネット……?」
これまでずっと、別人のように豊かな表情を見せなかったガーネット。
だが、今――ステッキだった頃に戻ったような雰囲気で笑っている。
……それが、結衣にとってはすごく嬉しかった。
「あ、なるほど……そういうことか……」
「は?」
結衣がまた何かを思いついたかのように目を見張る。
なぜ今までずっと気づかなかったのだろう。
ずっとガーネットのそばにいたのに。
「ねぇ、魔央。みんなを集めてくれない? ――みんなで本来のガーネットを取り戻すよ!」
そう言った結衣に、もう曇った表情はなかった。
その変化を感じとった魔央も、いい表情でマントを翻した。
「手応えはあったが……こんなんでやられるやつじゃねぇからな……」
結衣が再生魔法を使ったあの時。
ガーネットは為す術なく無抵抗でやられていた――ように見えた。
確信はない。だが、手応えはあった。
「……ガーネット……」
結衣が不安そうに呟く。
もし攻撃が当たっていても当たっていなくても、どちらも危険であることに変わりはない。
――と、その時。
何かが結衣を目掛けて飛んでくる。
「……っ! 危ねぇ!」
だが、間一髪。
魔央はそれにいち早く気づき、なんとかそれを防ぐことが出来た。
黒い槍を盾にしながら、飛んできたものを見る。
「……これ、真菜の矢……か?」
「で、でも……真菜ちゃんがこんなことするわけないし……」
「あぁ、だとしたらこれは――」
そう言い、二人は矢が飛んできた方角に目を向ける。
その先には、ガーネットが顔を俯かせながら辛そうに立っていた。
矢を放ったガーネットだが、全ての攻撃を避けきれず、少なからずダメージを受けたらしい。
「……ふっ、ふふふ、あはははっ! いいじゃないですかぁ。面白いこと出来るんですねぇ、結衣様」
「……が、ガーネット……?」
これまでずっと、別人のように豊かな表情を見せなかったガーネット。
だが、今――ステッキだった頃に戻ったような雰囲気で笑っている。
……それが、結衣にとってはすごく嬉しかった。
「あ、なるほど……そういうことか……」
「は?」
結衣がまた何かを思いついたかのように目を見張る。
なぜ今までずっと気づかなかったのだろう。
ずっとガーネットのそばにいたのに。
「ねぇ、魔央。みんなを集めてくれない? ――みんなで本来のガーネットを取り戻すよ!」
そう言った結衣に、もう曇った表情はなかった。
その変化を感じとった魔央も、いい表情でマントを翻した。
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