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第三章 まさかの裏切り
既視感のある光景
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「ど、どうすんの!? ガーネットいなくなっちゃったよ!?」
「……どうせすぐ戻ってくんだろ。心配ねーって」
ガーネットがいなくなったあと、結衣たちはどうすることも出来ず島に取り残された。
ガーネットを追いかけようにも、ガーネットが放つ魔力すら認識出来なくなってしまったのだから。
「それにしてもすげーよな、あいつ。認識阻害であそこまで認識不可能にできるなんて」
「か、感心してる場合じゃないでしょ!? それほどすごかったら誰かに狙われるかもしれないのに!」
ガーネットの力が凄まじいことは、結衣もよく知っている。
だからこそ、誰かに悪用された時には手がつけられなくなってしまうだろう。
「心配いらねーよ。あいつは確かに自分でものを決めるのは苦手な奴だ。だがな、危機管理能力がなければ――そもそも結衣の前になんて現れてねぇよ」
「? そ、それって、どーゆう――」
「話はあとだ。来たぞ」
変なことばかり喋る魔央に、思考が追いつかない結衣。
だが、それを一旦切断するしかない状況になる。
魔央が見つめる先には、ガーネットがいた。
何かを決意した表情で、じっとこちらを見据えるガーネット。
ここで戦った時の虚ろな表情は既になく、熱の――魂のこもった表情をしている。
それこそ、ガーネットにふさわしい表情だ。
「……結衣様、魔央様。お二人のお力を、試そうと思います」
そう呟き、ガーネットは堕天使のような翼を広げる。
この世界を覆い尽くすほどの巨大な翼。
結衣はなぜか、その光景に既視感を覚えた。
前にも……こんなことがあったのだろうか。
よくわからないが、今の結衣にはやることがわかっていた。
――目の前の敵を一発殴って、目を覚まさせなければならないということを。
「……どうせすぐ戻ってくんだろ。心配ねーって」
ガーネットがいなくなったあと、結衣たちはどうすることも出来ず島に取り残された。
ガーネットを追いかけようにも、ガーネットが放つ魔力すら認識出来なくなってしまったのだから。
「それにしてもすげーよな、あいつ。認識阻害であそこまで認識不可能にできるなんて」
「か、感心してる場合じゃないでしょ!? それほどすごかったら誰かに狙われるかもしれないのに!」
ガーネットの力が凄まじいことは、結衣もよく知っている。
だからこそ、誰かに悪用された時には手がつけられなくなってしまうだろう。
「心配いらねーよ。あいつは確かに自分でものを決めるのは苦手な奴だ。だがな、危機管理能力がなければ――そもそも結衣の前になんて現れてねぇよ」
「? そ、それって、どーゆう――」
「話はあとだ。来たぞ」
変なことばかり喋る魔央に、思考が追いつかない結衣。
だが、それを一旦切断するしかない状況になる。
魔央が見つめる先には、ガーネットがいた。
何かを決意した表情で、じっとこちらを見据えるガーネット。
ここで戦った時の虚ろな表情は既になく、熱の――魂のこもった表情をしている。
それこそ、ガーネットにふさわしい表情だ。
「……結衣様、魔央様。お二人のお力を、試そうと思います」
そう呟き、ガーネットは堕天使のような翼を広げる。
この世界を覆い尽くすほどの巨大な翼。
結衣はなぜか、その光景に既視感を覚えた。
前にも……こんなことがあったのだろうか。
よくわからないが、今の結衣にはやることがわかっていた。
――目の前の敵を一発殴って、目を覚まさせなければならないということを。
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