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 第三章 まさかの裏切り

ガーネットが消えた

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「……はぁ……まさかこんなに早く気づかれるとは……」

 墜落していたガーネットは、結衣によって助けられた。
 そして三人は地に降り立って話している。

「……え、えーっと、どういうこと?」
「言った通りですよぉ。あの魔法陣、触ったの結衣様でしょう?」

 あの魔法陣――ガーネットが墜落する原因となったであろう大きな魔法陣のことだろう。

「え、う、うん……そうだけど……」
「あれ、私が魔法を使えるように細工した魔法陣なんですよ」
「――え?」

 ガーネットの話によると、あの魔法陣は自分が魔力を使えるようにするものということらしい。
 そういえば前に、ガーネットは自分で魔法を使うことができないと聞かされたことがある。
 その理由まではわからないが、ガーネットは人に使われることでその力を発揮するらしいのだ。

「そういえばそうだったね……」

 結衣はそのことをすっかり忘れていた。
 あまりに自然に魔力を放っていたから、てっきり普通に魔法が使えるのかと勘違いしてしまった。

「あとお前さ、人の願いを叶える魔法しか使えないだろ。それを無理やりあの魔法陣で自分用に改ざんし――自分の魔力を消費しようとした」
「え――ッ!?」

 魔央は腕を組みながら、威圧感を出して言う。
 そして魔央は、ガーネットを見下すような眼で睨んだ。

「お前は、“自分が消えればいい”って思ってんだろ? くだらねぇ」
「え、そ、そうなの? ガーネット?」

 ガーネットは俯き、図星だと言わんばかりに目を逸らす。
 結衣はなんて声をかければいいかわからず、戸惑った。

 だが、ガーネットは自分の胸に手を置き、ブツブツと何かを呟いた。
 すると、胸から鋭い光が放たれ、ガーネットを包み込む。

「……そうです。私が消えれば万事解決――全てが上手くいくのですぅ」

 そう言ってガーネットは、姿を消した。
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