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第三章 まさかの裏切り
ガーネットの元へ
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――はやくガーネットを見つけなきゃ。
結衣は自力で天使モードになり、ガーネットを探し出す。
とはいえ、ガーネットの放つ魔力を辿っているだけだが。
天使モードになった今ならわかる。
ガーネットがとてつもないほどの力を持っていることを。
ガーネットがそれに、苦しんでいることを。
「……うっ、ぐぅ……っ!」
結衣の身体に痛みが奔る。
――この姿は完全ではない。
皮膚が焦げ付き、灼けるような痛みが結衣を襲う。
頭痛も、腹痛も、心臓が握りつぶされるような痛みもある。
「……っ! 負け、ない……っ!」
それでも、その痛みに負けるわけにはいかない。
ガーネットを助けて、またいつものようにドタバタとした日常を過ごしたい。
それだけが、結衣の身体を突き動かしていた。
「――ったく、一人で無茶しやがって」
「……え?」
結衣が限界に達しそうになった時、唐突に声をかけられた。
それは、嫌というほど聞いた声。
愛しい妹の――たった一人の姉妹の声。
「……魔央……」
「って! もうボロボロじゃねぇか!」
魔王のような格好に似合わず、本気で結衣を心配する魔央。
そんな魔央が結衣の肩に手を触れた時、痛みが軽減した。
「……え、な、なんで??」
「ん? どうした、結衣」
「いや……よくわかんないけど、痛みが軽くなった気がする……」
「ほんとか!? なら良かったな」
――……本当に、どうして?
結衣にも魔央にもわからないが、とにかく痛みは完全に引いたみたいだ。
「じゃあ行くぞっ! お姉ちゃんだけに無茶させるわけにはいかねーからな」
「あ、ありがとう……! でも、どうしてここに?」
魔央が張り切った様子で言うが、結衣はそこがどうしても気になった。
結衣が純粋にそう問うと、魔央は照れくさそうな表情を浮かべる。
「……や、その……俺もせーちゃんってやつがどんなやつか気になっててさ、そしたらお前が飛んでくところが見えたから……」
――つまり、魔央も一緒に遊びたかったということらしい。
頬を赤らめている魔央を見て、
(今度は魔央も混ぜて一緒に遊んでもいいよな……今日遊べなかったし)
と笑顔でそんなことを思うのだった。
結衣は自力で天使モードになり、ガーネットを探し出す。
とはいえ、ガーネットの放つ魔力を辿っているだけだが。
天使モードになった今ならわかる。
ガーネットがとてつもないほどの力を持っていることを。
ガーネットがそれに、苦しんでいることを。
「……うっ、ぐぅ……っ!」
結衣の身体に痛みが奔る。
――この姿は完全ではない。
皮膚が焦げ付き、灼けるような痛みが結衣を襲う。
頭痛も、腹痛も、心臓が握りつぶされるような痛みもある。
「……っ! 負け、ない……っ!」
それでも、その痛みに負けるわけにはいかない。
ガーネットを助けて、またいつものようにドタバタとした日常を過ごしたい。
それだけが、結衣の身体を突き動かしていた。
「――ったく、一人で無茶しやがって」
「……え?」
結衣が限界に達しそうになった時、唐突に声をかけられた。
それは、嫌というほど聞いた声。
愛しい妹の――たった一人の姉妹の声。
「……魔央……」
「って! もうボロボロじゃねぇか!」
魔王のような格好に似合わず、本気で結衣を心配する魔央。
そんな魔央が結衣の肩に手を触れた時、痛みが軽減した。
「……え、な、なんで??」
「ん? どうした、結衣」
「いや……よくわかんないけど、痛みが軽くなった気がする……」
「ほんとか!? なら良かったな」
――……本当に、どうして?
結衣にも魔央にもわからないが、とにかく痛みは完全に引いたみたいだ。
「じゃあ行くぞっ! お姉ちゃんだけに無茶させるわけにはいかねーからな」
「あ、ありがとう……! でも、どうしてここに?」
魔央が張り切った様子で言うが、結衣はそこがどうしても気になった。
結衣が純粋にそう問うと、魔央は照れくさそうな表情を浮かべる。
「……や、その……俺もせーちゃんってやつがどんなやつか気になっててさ、そしたらお前が飛んでくところが見えたから……」
――つまり、魔央も一緒に遊びたかったということらしい。
頬を赤らめている魔央を見て、
(今度は魔央も混ぜて一緒に遊んでもいいよな……今日遊べなかったし)
と笑顔でそんなことを思うのだった。
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