魔法少女になれたなら【完結済み】

第三章 まさかの裏切り

せーちゃんの家で

「ねぇ、結衣さん。今日一緒に遊びまへんか？」
「あー……ごめん。今日はせーちゃんと約束してて……」
「そうなんやね……じゃ、また明日」
「うん！　またね！」

　学校が終わり、結衣は急いでせーちゃんの家に向かう。
　せーちゃんに会うのは久しぶりだし、それに――

(……あ、見えた！)

　そこは、大きな御屋敷だった。
　お城だと言われても違和感のない、とてつもない大きさを誇っている。

「い、いつ見てもすごいなぁ……」

　結衣はあまりのすごさにそう呟いた。
　現実の厳しさと人生の不平等さを突きつけられた気がする。
　だが、そんなネガティブな思考を振り切り、インターホンを押す。
　――ピンポーン。

「はーい。――あ、結衣」
「せーちゃん！　久しぶり！」

　重そうな扉から、見知った顔が飛び出す。
　いつもより上品そうな服に身を包んだせーちゃん。
　何かパーティーでもあったのだろうか……

「……ちょっと来て」
「え、え！？　ちょっ……！　せーちゃん！？」

　結衣は唐突に腕を引っ張られ、家の中へ連れ込まれる。
　急すぎる展開に結衣は抵抗できず、されるがままの状態で引きずられた。

　気の遠くなるほどの長い廊下を渡り、その奥のせーちゃんの部屋に行き着く。
　――その間、ずっと腕を掴まれたまま。

「あ、あの……そろそろ離してくれないかな……」
「……へ？　――あっ！　ご、ごめんっ！」

　せーちゃんは結衣の言葉にやっと気づいたようだ。
　そしてバッと手を離し、顔を赤くさせた。
　なぜ赤面しているのかは謎だが、それよりもせーちゃんの部屋にいた面々に驚く。

「……え、緋依さんと美波ちゃん！？」
「あ、結衣ちゃん……来てくれたんですね」
「久しぶりだね。で、さっそくなんだけど――」

　顔や声から不安な様子が滲み出ている緋依と美波。
　結衣にもそんな不安が伝わり、ゴクリと喉をならした。