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第三章 まさかの裏切り
ガーネットのいない日常
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――ピピピピピピピ。
時計のアラームが朝を報せる音を鳴らす。
「――朝だっ!」
結衣は飛び起き、学校に行く準備をし出す。
その音で、遅れて魔央が起きる。
いつもより一層不機嫌そうな顔で結衣を睨む。
「……おはようございます……」
「うーん、見事に寝ぼけてるね……」
きつい顔で敬語を使うというギャップに、最初は結衣も驚いていたが、慣れてしまっていた。
まあ、ぶっちゃけいつもの事なのである。
魔央が朝に弱いことは、共に生活していくうちに気づけることだから。
「――って、それより早く着替えなよ。学校行かなきゃ」
「う~ん……お姉ちゃん……」
「甘えてもダメ! 早く起きて!」
結衣は、だいぶ姉が板についてきた。
魔央が色々ダメダメだから、よりしっかりとした姉になったのである。
“お姉ちゃんだからしっかりしなきゃ”という思いも、多少はあるだろう。
そんなこんなで、結衣たちの日常がスタートする。
☆ ☆ ☆
「あ、結衣……魔央……おは、よー……」
「結衣さん! 魔央さん! ごきげんよう」
学校に着くと、真菜と明葉が廊下でだべっていた。
だが、結衣と魔央の姿を捉えると、会話をやめて結衣たちに朝の挨拶をする。
「おはよー!」
「おはー」
元気に応える結衣と、まだ眠気が覚めていない様子の魔央。
ほのぼのとした、平和な日常がある。
四人はひとしきり話し終えたあと、それぞれのクラスへ戻った。
結衣と明葉のペア、真菜と魔央のペアが同じクラスに割り当てられている。
結衣は自分の席についた時、決まって外を眺める。
青々とした鮮やかな空。
大きなメタセコイアのあるグラウンド。
そこに、もう何日も顔を見ていないものの姿が上書きされる。
(……ガーネット……)
――こうして、またガーネットのいない一日がスタートするのであった。
時計のアラームが朝を報せる音を鳴らす。
「――朝だっ!」
結衣は飛び起き、学校に行く準備をし出す。
その音で、遅れて魔央が起きる。
いつもより一層不機嫌そうな顔で結衣を睨む。
「……おはようございます……」
「うーん、見事に寝ぼけてるね……」
きつい顔で敬語を使うというギャップに、最初は結衣も驚いていたが、慣れてしまっていた。
まあ、ぶっちゃけいつもの事なのである。
魔央が朝に弱いことは、共に生活していくうちに気づけることだから。
「――って、それより早く着替えなよ。学校行かなきゃ」
「う~ん……お姉ちゃん……」
「甘えてもダメ! 早く起きて!」
結衣は、だいぶ姉が板についてきた。
魔央が色々ダメダメだから、よりしっかりとした姉になったのである。
“お姉ちゃんだからしっかりしなきゃ”という思いも、多少はあるだろう。
そんなこんなで、結衣たちの日常がスタートする。
☆ ☆ ☆
「あ、結衣……魔央……おは、よー……」
「結衣さん! 魔央さん! ごきげんよう」
学校に着くと、真菜と明葉が廊下でだべっていた。
だが、結衣と魔央の姿を捉えると、会話をやめて結衣たちに朝の挨拶をする。
「おはよー!」
「おはー」
元気に応える結衣と、まだ眠気が覚めていない様子の魔央。
ほのぼのとした、平和な日常がある。
四人はひとしきり話し終えたあと、それぞれのクラスへ戻った。
結衣と明葉のペア、真菜と魔央のペアが同じクラスに割り当てられている。
結衣は自分の席についた時、決まって外を眺める。
青々とした鮮やかな空。
大きなメタセコイアのあるグラウンド。
そこに、もう何日も顔を見ていないものの姿が上書きされる。
(……ガーネット……)
――こうして、またガーネットのいない一日がスタートするのであった。
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