211 / 262
幕間 少女たちの過去(後編)
カスミの過去Ⅱ
しおりを挟む
自分が嫌になって、なり続けて。
気づいた時には、自暴自棄になっていた。
どうすれば簡単に、楽に死ねるのだろうということをずっと考えるようになったのだ。
両親が会いに来てくれないのなら、自分から会いに行くしかない。
そう、思っていたのに――
『これからはこんなふうに笑い合おうよ!』
こんな言葉を、かけてくれた人がいた。
こんな自分には、もったいないぐらいの優しい言葉。
『……この前のことは、チャラにしてあげるからさ』
一番年下の夏音を利用した酷い自分を許してくれた。
その言葉を聞いて、一生ついて行こうと決意した。
チョロいと思われるかもしれないが、自己嫌悪に陥っていたカスミにとって結衣は救世主なのである。
「結衣サン……」
ずっと暗闇を彷徨っていたカスミに、久しぶりの光が差し込む。
自分に手を差し伸べる結衣の顔は、笑っていた。
――どうしてそんなくだらないことで悩んでいるの?
そう、言われたような気がしたのだ。
そんな結衣の手をとった時、自分の中で何かが変わったような感覚を得た。
自分にも何か出来ることはある。
いや、自分にしか出来ないことがきっとあるだろう。
そう確信した。
結衣がいなければ、そのことに気づけなかったかもしれない。
それどころか、カスミ自身がこの世にいなかったかもしれない。
「……見ていてクダサイ。お父サン、お母サン」
笑顔で呟いたカスミは、大きな青い空に向かって――飛んでいった。
気づいた時には、自暴自棄になっていた。
どうすれば簡単に、楽に死ねるのだろうということをずっと考えるようになったのだ。
両親が会いに来てくれないのなら、自分から会いに行くしかない。
そう、思っていたのに――
『これからはこんなふうに笑い合おうよ!』
こんな言葉を、かけてくれた人がいた。
こんな自分には、もったいないぐらいの優しい言葉。
『……この前のことは、チャラにしてあげるからさ』
一番年下の夏音を利用した酷い自分を許してくれた。
その言葉を聞いて、一生ついて行こうと決意した。
チョロいと思われるかもしれないが、自己嫌悪に陥っていたカスミにとって結衣は救世主なのである。
「結衣サン……」
ずっと暗闇を彷徨っていたカスミに、久しぶりの光が差し込む。
自分に手を差し伸べる結衣の顔は、笑っていた。
――どうしてそんなくだらないことで悩んでいるの?
そう、言われたような気がしたのだ。
そんな結衣の手をとった時、自分の中で何かが変わったような感覚を得た。
自分にも何か出来ることはある。
いや、自分にしか出来ないことがきっとあるだろう。
そう確信した。
結衣がいなければ、そのことに気づけなかったかもしれない。
それどころか、カスミ自身がこの世にいなかったかもしれない。
「……見ていてクダサイ。お父サン、お母サン」
笑顔で呟いたカスミは、大きな青い空に向かって――飛んでいった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【第二章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
山咲莉亜
ファンタジー
のんびり、マイペース、気まぐれ。一緒にいると気が抜けるけど超絶イケメン。
俺は桜井渚。高校二年生。趣味は寝ることと読書。夏の海で溺れた幼い弟を助けて死にました。終わったなーと思ったけど目が覚めたらなんか見知らぬ土地にいた。土地?というか水中。あの有名な異世界転生したんだって。ラッキーだね。俺は精霊王に生まれ変わった。
めんどくさいことに精霊王って結構すごい立場らしいんだよね。だけどそんなの関係ない。俺は気まぐれに生きるよ。精霊の一生は長い。だから好きなだけのんびりできるはずだよね。……そのはずだったのになー。
のんびり、マイペース、気まぐれ。ついでに面倒くさがりだけど、心根は優しく仲間思い。これは前世の知識と容姿、性格を引き継いで相変わらずのんびりライフを送ろうとするも、様々なことに巻き込まれて忙しい人生を送ることになる一人の最強な精霊王の物語。
※誤字脱字などありましたら報告してくださると助かります!
※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!
転生したらドラゴンに拾われた
hiro
ファンタジー
トラックに轢かれ、気がついたら白い空間にいた優斗。そこで美しい声を聞いたと思ったら再び意識を失う。次に目が覚めると、目の前に恐ろしいほどに顔の整った男がいた。そして自分は赤ん坊になっているようだ!
これは前世の記憶を持ったまま異世界に転生した男の子が、前世では得られなかった愛情を浴びるほど注がれながら成長していく物語。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~
トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。
そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来?
エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる