魔法少女になれたなら【完結済み】

幕間 少女たちの過去(後編)

明葉の過去

　――寂しくない、といえば嘘になる。
　だけど、親からの愛は感じていたし、それほど苦にはならなかった。
　それでも、欲深い自分は……いつもそばにいて欲しいと願っている。

(それを寂しい言うんやろなぁ……)

　明葉は自分で食べる分の料理をしながら、そんなことを考えていた。

　両親が共働きなので、家事はだいたい一人で出来る。
　出来ないことも当然あるが、それは両親が代わりにやってくれる。

　それに、明葉の誕生日や何かのお祝いごとがある日には一緒にいてくれるのだ。
　そんな両親のことが大好きな明葉。
　だからこそ、一緒にいたいと思っているのだが……

(そう思うことすらおこがましゅうなってきたわ……)

　両親は明葉に苦しい思いをさせないように働いてくれているのだから。
　明葉を養っていくために必要なお金を稼いでくれているのだから。

　でも、それでも……一緒にいたいと願うのはわがままなのだろうか。
　まだ甘えたい盛りの明葉だが、わがままを通せるほど子どもではない。
　なので、今までずっと孤独と戦っていた。

「あ、こげちゃう……！」

　考え事をしていたしていたら、料理がいい感じに焦げてきた。
　コンロの火を消し、お皿に料理を盛っていく。
　自分一人で食べるだけの料理を。

「……いただきます……」

　シーンとした空気。夜は特に孤独感が強くなる。
　だから、いつもテレビをつけてそれらを誤魔化す。
　音量を大きくして、夜に一人というシチュを和らげるのだ。
　……そんなことしか、自分にできることがない。