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幕間 少女たちの過去(後編)

夏音の過去Ⅱ

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「え、そんなことだったの!?」
「しかもその子を育てるぐらいの余裕……あったらしいですにゃ……」
「うわー、間や運が悪かったってことですよねぇ……」

 夏音は両親の話を聞いた翌日。
 結衣の家を訪れ、昨日起きたことを二人に話した。

 心做しか、夏音がどこか疲れているような感じがした。
 そんな夏音の話を聞いて、結衣とガーネットは心底驚く。

「ん? ってことは……くだらないことでずっと悩んでた……ってことだよね」
「……そうなりますにゃ……」

 ――なるほど。つまりはそういうことになる。
 まあ、些細なことの食い違いが大きくなってしまうこともあるから、そこまで不思議なことではないが……

「なんか……あれだね……どんまい、としか言いようがないというか……」

 さすがの結衣も、このことに関しては何も言えず、ただ苦笑いしてそう言った。
 ガーネットも夏音の事情を考慮してか、無言で漂っている。
 結衣とガーネットの気遣いに勘づいたのか、夏音は申し訳なさそうに萎縮する。

「……ほんとに、迷惑かけてごめんなさいですにゃ……」
「え!? いや、私は別に迷惑だなんて思ってないよ??」

 夏音と戦った時は確かに手強かった。
 だが、時間が経つにつれ、夏音は大切な存在となっていったのだ。

 だから、結衣は別に迷惑だなんて思っていない。
 それどころか、夏音と出会えて仲良くなれたことが嬉しいと感じている。

「あー……でもさ、それって逆にいいことなんじゃない?」
「……? どういう意味ですにゃ?」

 結衣の言葉に、いまいち要領がつかめていない様子の夏音。
 そんな夏音に、結衣は笑顔で言う。

「だってさ、今まで通り家族は一緒で、仲良く暮らせるってことでしょ? それっていいことじゃん?」
「――っ! た、確かににゃ……」

 結衣の暖かい言葉に、夏音は目を輝かせる。

(……そうか、にゃ。これに気づけたのは……結衣おねーさんのおかげですにゃ……)

 夏音はぐるりと結衣に向き直る。
 そして、満面の笑みを浮かべて感謝を伝えた。

「結衣おねーさん、ありがとうございますにゃ」

 その顔にもう、あの時の涙はなかった。
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