187 / 262
第二章 似すぎている敵
ガーネットの新たな形態
しおりを挟む
「へぇ~、“魔央”ね……いい名前じゃない」
「えっへへ。そうでしょそうでしょ!」
映画を楽しんだ後。
ちょうど昼時になったため、近くのレストランで昼食を摂っていた。
「……っ、もうそんな話はいいだろ。さっさと食おうぜ」
「ふふふ。魔央は恥ずかしがり屋さんなのね」
ガツガツとカレーを頬張る魔央と、その食べっぷりを愛おしそうに見るお母さん。
そんな二人を見ていて、結衣は自然と笑顔になる。
こんな平和で、なんでもない普通の日常が続いたらどんなにいいか……
「……ねぇ、ガーネット」
「ん? どうしたんです?」
結衣は二人に気づかれないように、静かにガーネットに話しかけた。
それに気づいたガーネットが、小首を傾げるような仕草で応える。
「こんな平和な日常が……ずっと続くといいね……」
結衣本人も、この時なぜガーネットにこれを言ったのかはわからない。
だが、ガーネットなら――
『あっははぁ。そうですねぇ~! これからもよろしくお願いしますぅ!』
とか、元気に言いそうなイメージがあったが。
その時は、なぜか心苦しそうに呟いた。
「……っ、それは……難しいかと……」
「え?」
「ごめんなさいっ! 結衣様っ!!」
「へっ!?」
ガーネットがそう叫ぶと、煌びやかな光を放った。
結衣は目を開けていられず、腕を目のところへ持ってくる。
魔央とお母さんも、何が起こったのか分からず狼狽えている。
そして、光が収まった時。
ガーネットの姿が変わっていたのだ。
それは、魔法のステッキでも、本でもなかった。
ただの――普通の少女のように見える。
ハーフのような顔立ちに、小麦色の短い髪、桜色の瞳を持った少女。
なぜか結衣は、その姿に既視感を抱いた。
まるで、あの時の――
(……え、なに……今の……)
昔の、古い記憶が呼び起こされたような感覚がある。
結衣がその感覚に戸惑っていると、ガーネットらしき少女が……
「……ごめんなさい。結衣様……っ!」
と、泣きそうな顔で店を飛び出した。
「えっへへ。そうでしょそうでしょ!」
映画を楽しんだ後。
ちょうど昼時になったため、近くのレストランで昼食を摂っていた。
「……っ、もうそんな話はいいだろ。さっさと食おうぜ」
「ふふふ。魔央は恥ずかしがり屋さんなのね」
ガツガツとカレーを頬張る魔央と、その食べっぷりを愛おしそうに見るお母さん。
そんな二人を見ていて、結衣は自然と笑顔になる。
こんな平和で、なんでもない普通の日常が続いたらどんなにいいか……
「……ねぇ、ガーネット」
「ん? どうしたんです?」
結衣は二人に気づかれないように、静かにガーネットに話しかけた。
それに気づいたガーネットが、小首を傾げるような仕草で応える。
「こんな平和な日常が……ずっと続くといいね……」
結衣本人も、この時なぜガーネットにこれを言ったのかはわからない。
だが、ガーネットなら――
『あっははぁ。そうですねぇ~! これからもよろしくお願いしますぅ!』
とか、元気に言いそうなイメージがあったが。
その時は、なぜか心苦しそうに呟いた。
「……っ、それは……難しいかと……」
「え?」
「ごめんなさいっ! 結衣様っ!!」
「へっ!?」
ガーネットがそう叫ぶと、煌びやかな光を放った。
結衣は目を開けていられず、腕を目のところへ持ってくる。
魔央とお母さんも、何が起こったのか分からず狼狽えている。
そして、光が収まった時。
ガーネットの姿が変わっていたのだ。
それは、魔法のステッキでも、本でもなかった。
ただの――普通の少女のように見える。
ハーフのような顔立ちに、小麦色の短い髪、桜色の瞳を持った少女。
なぜか結衣は、その姿に既視感を抱いた。
まるで、あの時の――
(……え、なに……今の……)
昔の、古い記憶が呼び起こされたような感覚がある。
結衣がその感覚に戸惑っていると、ガーネットらしき少女が……
「……ごめんなさい。結衣様……っ!」
と、泣きそうな顔で店を飛び出した。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
爆誕!異世界の歌姫~チートもヒロイン補正もないので、仕方がないから歌います~
ロゼーナ
ファンタジー
気づいたら異世界の森の中に転移していたアラサー会社員チヨリ。何かチートがあるかと期待したものの、装備はパジャマ、お金なし、自動翻訳機能なしでいきなり詰む。冷静かつ図太い性格(本人談)を存分に生かし、開き直って今日も楽しく歌をうたう。
*ほのぼの異世界生活、後にちょっと冒険。チートあり。血生臭い争いは起こりませんが、ケガや出血の描写は多少出てきます。ちびっ子や恋愛要素もあり。
*9/27追記:全編完結いたしました。応援ありがとうございました!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ハーレムが大好きです!〜全ルート攻略開始〜
M・A・J・O
大衆娯楽
【大衆娯楽小説ランキング、最高第7位達成!】
黒髪赤目の、女の子に囲まれたい願望を持つ朱美。
そんな彼女には、美少女の妹、美少女の幼なじみ、美少女の先輩、美少女のクラスメイトがいた。
そんな美少女な彼女たちは、朱美のことが好きらしく――?
「私は“百合ハーレム”が好きなのぉぉぉぉぉぉ!!」
誰か一人に絞りこめなかった朱美は、彼女たちから逃げ出した。
……
ここから朱美の全ルート攻略が始まる!
・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる