183 / 262
第二章 似すぎている敵
そして、現在
しおりを挟む
「――な、なんで……お前らがここに……」
「……ごめんなさい。あの時、あなたを見捨てて……でも、あの時はああするしかないと思って……」
「話通じねぇのか、お前! なんでって訊いてんだよ!」
どうしてか、少女の居場所がわかった結衣たちは早速少女と対面していた。
――……まあ、おそらく結衣とガーネットの力なのだろうが。
しかも、居場所がわかっても自分のところへ来る意味がわからない。
ダブルミーニングで放った言葉だったが、なぜかスルーされた。
「……はぁ、まあいいや。で? なんの用だよ」
「あははぁ。あなた様も話が通じなさそうな気がしますねぇ……」
先ほど叔母さんが放った言葉で、何となく“なんの用”かはわかる気がするのだが……
少女も人の話を聞かない性格のようである。
だが、それに懲りず、結衣は少女の説得を試みた。
「ねぇ、あの……ちゃんと叔母さんの話を聞いてあげてくれないかな? その……叔母さんはあなたのことで胸を痛めてるのは……本当だから……」
「――は?」
しかし、少女は結衣の言葉に怒りを顕にした。
「今さら何言ってんだ! 謝罪なんてするぐらいなら、俺を生かしてくれればよかったのに……っ!」
力強く言い放った言葉と共に、少女の眼から涙がこぼれ落ちる。
その涙は、今まで溜めていた分が一気に溢れ出したように止まらない。
叔母さんはそんな少女に、ゆっくりと近づいていく。
「……そう、よね。ごめんなさい。謝って済むことじゃないのはわかっているわ。でも、どうしても謝りたかったから……本当にごめんなさい」
「……っ、そんな……ことっ……! 言われても……」
「ええ、わかっているわ。私はこの気持ちを伝えたかっただけだから、これは私のエゴ。さぁ、あなたの気持ちを聞かせて?」
「……俺、の……気持ち……?」
一言発する度に一歩ずつ少女に近づいていた叔母さん。
ついに少女の目の前まで来た叔母さんは、少女をぎゅっと抱きしめる。
それは、母親が我が子を宝物として扱うような優しさが感じられた。
「……っ、うっ、俺は……俺は……仮染めでもいいから、生きたい……っ! 家族とか友だちが欲しい! いっぱい楽しいことがしたい! 俺はまだ――死にたくないっ!!」
次々に、少女の本音がこぼれ落ちる。
そして、少女は叔母さんを抱きしめ返すと、声を上げて泣いた。
「……ごめんなさい。あの時、あなたを見捨てて……でも、あの時はああするしかないと思って……」
「話通じねぇのか、お前! なんでって訊いてんだよ!」
どうしてか、少女の居場所がわかった結衣たちは早速少女と対面していた。
――……まあ、おそらく結衣とガーネットの力なのだろうが。
しかも、居場所がわかっても自分のところへ来る意味がわからない。
ダブルミーニングで放った言葉だったが、なぜかスルーされた。
「……はぁ、まあいいや。で? なんの用だよ」
「あははぁ。あなた様も話が通じなさそうな気がしますねぇ……」
先ほど叔母さんが放った言葉で、何となく“なんの用”かはわかる気がするのだが……
少女も人の話を聞かない性格のようである。
だが、それに懲りず、結衣は少女の説得を試みた。
「ねぇ、あの……ちゃんと叔母さんの話を聞いてあげてくれないかな? その……叔母さんはあなたのことで胸を痛めてるのは……本当だから……」
「――は?」
しかし、少女は結衣の言葉に怒りを顕にした。
「今さら何言ってんだ! 謝罪なんてするぐらいなら、俺を生かしてくれればよかったのに……っ!」
力強く言い放った言葉と共に、少女の眼から涙がこぼれ落ちる。
その涙は、今まで溜めていた分が一気に溢れ出したように止まらない。
叔母さんはそんな少女に、ゆっくりと近づいていく。
「……そう、よね。ごめんなさい。謝って済むことじゃないのはわかっているわ。でも、どうしても謝りたかったから……本当にごめんなさい」
「……っ、そんな……ことっ……! 言われても……」
「ええ、わかっているわ。私はこの気持ちを伝えたかっただけだから、これは私のエゴ。さぁ、あなたの気持ちを聞かせて?」
「……俺、の……気持ち……?」
一言発する度に一歩ずつ少女に近づいていた叔母さん。
ついに少女の目の前まで来た叔母さんは、少女をぎゅっと抱きしめる。
それは、母親が我が子を宝物として扱うような優しさが感じられた。
「……っ、うっ、俺は……俺は……仮染めでもいいから、生きたい……っ! 家族とか友だちが欲しい! いっぱい楽しいことがしたい! 俺はまだ――死にたくないっ!!」
次々に、少女の本音がこぼれ落ちる。
そして、少女は叔母さんを抱きしめ返すと、声を上げて泣いた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

爆誕!異世界の歌姫~チートもヒロイン補正もないので、仕方がないから歌います~
ロゼーナ
ファンタジー
気づいたら異世界の森の中に転移していたアラサー会社員チヨリ。何かチートがあるかと期待したものの、装備はパジャマ、お金なし、自動翻訳機能なしでいきなり詰む。冷静かつ図太い性格(本人談)を存分に生かし、開き直って今日も楽しく歌をうたう。
*ほのぼの異世界生活、後にちょっと冒険。チートあり。血生臭い争いは起こりませんが、ケガや出血の描写は多少出てきます。ちびっ子や恋愛要素もあり。
*9/27追記:全編完結いたしました。応援ありがとうございました!
百合ハーレムが大好きです!〜全ルート攻略開始〜
M・A・J・O
大衆娯楽
【大衆娯楽小説ランキング、最高第7位達成!】
黒髪赤目の、女の子に囲まれたい願望を持つ朱美。
そんな彼女には、美少女の妹、美少女の幼なじみ、美少女の先輩、美少女のクラスメイトがいた。
そんな美少女な彼女たちは、朱美のことが好きらしく――?
「私は“百合ハーレム”が好きなのぉぉぉぉぉぉ!!」
誰か一人に絞りこめなかった朱美は、彼女たちから逃げ出した。
……
ここから朱美の全ルート攻略が始まる!
・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。


ばじゅてんっ!〜馬術部の天使と不思議な聖女〜【完結済み】
M・A・J・O
キャラ文芸
馬が好きな女子高生、高宮沙織(たかみやさおり)は伝統のある星花女子学園に通っている。
そこは特段、馬術で有名な学校……とかではないのだが、馬術部の先生が優しくて気に入っている。
どこかの誰かとは大違いなほどに――
馬術の才能がある沙織は一年生にもかかわらず、少人数の馬術部員の中で成績がずば抜けていた。
そんな中、沙織はある人が気になっていた。
その人は沙織の一つ先輩である、渡島嫩(おしまふたば)。
彼女は心優しく、誰にでも尽くしてしまうちょっと変わった先輩だ。
「なんであんなに優しいのに、それが怖いんだろう……」
沙織はのちに、彼女が誰にでも優しい理由を知っていくこととなる……
・表紙絵はくめゆる様(@kumeyuru)より。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる