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第二章 似すぎている敵

ついに決着……?

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 天使と魔王の戦いは、熾烈を極めた。
 姿が似ているせいか力も互角で、なかなか勝負がつかない。

「……おい、どうした。息があがってるぞ」
「……そっちこそ。そろそろ諦めてもいいんじゃない?」

 ひとしきり衝突し終えたあと、ボロボロになりながら対峙している。
 元々少なかった布面積がさらに少なくなっている。
 だが、二人の闘志の光は未だ消えていない。
 そしてもう一度、今度こそ、仕留めるために。
 二人は血なまぐさい戦いを繰り広げる。

 天使は四つ羽を駆使し、魔王はマントを広げて飛ぶ。
 槍を携え、相手を穿かんとする。
 音も風も置き去りに、人間を超越した二つの種族本能だけを頼りに――殺し合う。
 相容れぬ敵同士。
 正反対で真逆な二人。
 どう考えても、和解して仲良くなれるとは思えない。

 一突き。二突き。
 二人は攻撃し合う。だが、互いの攻撃は通らない。
 相手が自分の攻撃を読んでいるようで、二人はすごく不愉快な気分になる。

「……はぁ……はぁ……」

 もはや限界だ。
 魔力消費が激しく、魔力が底をつきそうになっている。
 魔力がつきれば、もう戦えない。
 だから、こんなところで戦闘不能になるわけにはいかないのだ――!

「――っ! ああああああああぁぁぁ!!」

 槍を再び顕現させようと口を開いたものの、激しい痛みに襲われた。
 今まで感じたことの無いような激痛に、少女は悶えることしかできない。

「――ガーネット」
「はいはーい!」

 ガーネットを即座に呼んだ結衣。
 天使モードを解除し、普段のバージョンになる。
 そしてもんどりうつ少女に近づき、詠唱を紡ぐ。

「――再生リバイバル!」

 そう言うだけで、少女の魔力不足は改善されていく。

「……お、お前……なんで……」

 少女が驚いたように目を見張る。
 だが結衣は、『じっとしていて』と言わんばかりに少女を睨む。
 最初は驚くばかりだった少女だが、次第に素直に結衣の治療を受けることにした。
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