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第二章 似すぎている敵

少女の言葉の真意とは……

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「え……ちょっと、ねぇ! どういうこと!?」
「どうもこうもねぇよ。あの女は人殺し、それだけだ」
「意味わかんないよ!」

 結衣が少々ヒステリックにわめくも、少女はそれに取り合わない。
 そして相も変わらず、結衣のお母さんを睨むように見ている。
 お母さんは何も言えないようで、ただただ結衣と少女を交互に見ている。

「俺はあの時産まれてくるはずだった。なのに――」

 何かに耐えられなくなったのか、少女が言葉を発するたびに涙がこぼれ落ちる。
 少女は涙を流しながらも、必死で言葉を紡ぐ。

「俺は、俺は――ッ!!」

 そうやって力強く叫ぶと、少女は魔王姿に変身した。
 いつもより禍々しいオーラを放ち、いつもより数倍長い槍を手にし。
 そして、勢いよく――お母さん目掛けて攻撃を繰り出す。

「――幻想展開、黒・ブラック・光刃ライトスペアー!」

 今にも殺さんと、お母さんへ迫る赤毛の少女。
 それを止めるべく、結衣がガーネットを掴む。

「――防壁バリア!」

 そう紡ぐと、魔法でできたドーム状の結界が張られる。
 何かと破れやすい防壁だが、今回は違う。
 何重にも層を重ね、より強固な防壁が出来上がる。
 突き破ろうとする槍を、なんとか食い止めることができた。

「……ふん、そっちに従くか。まあ、そりゃそーだよなぁ。自分を生かしてくれたんだもんなぁ!」
「……な、何言って――」
「だがな、一歩間違えてたら――お前は生きてなかったってこと、忘れんなよッ!」

 より一層力を入れて、防壁に槍を突き立てたあと。
 くるりと向きを変え、ものすごいスピードで家を出ていく。

 残された結衣とお母さんは、少女が泣きそうに歪んだ顔で去っていった方向を、ただ見つめるしかできなかった……
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