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第二章 似すぎている敵
正反対な二人
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「……ったく、なんなんだよお前……」
「だ、だって……! 急な出来事にびっくりしちゃって……」
結衣と少女は階段を降りて一階に着く。
そして軽く口論をしながら朝ごはんの準備をする。
と言っても、パンをトースターに入れ、その間に市販のヨーグルトと牛乳を冷蔵庫から出すだけという簡単なものだが。
それにしても、手馴れたものである。
休日は朝早く起きて、好きなアニメをリアタイで観るというルーティーンがあるおかげだろう。
「今日の『おばけレストラン』、どんな話があるんだろ……!」
そうワクワクした声色でテレビをつける。
『おばけレストラン』とは、子供向けのホラーアニメだ。
オカルト好きの結衣にとって、見逃せないアニメになっている。
「ほわああ……この待ち遠しい時間も大切だよね……!」
結衣は誰に言うでもなく零した。
すると、パンが焼き上がったようで、香ばしい匂いが漂う。
「あ、焼き上がったね。じゃあ食べようか」
パンをトースターから抜き、お皿に置いて持ってくる。
いい焼き具合で、こんがりとした優しい茶色だ。
「ふはー……パンはいいねぇ……朝はパンに限るよ……」
「そうか? 俺はどっちかって言うとご飯派だけどな」
結衣がパンを口に咥え、幸せそうに仏のような笑みを浮かべる。
すると、それに反抗するように、しぶしぶパンを手に取って少女は言う。
どこか結衣の考えや趣味嗜好を否定するように言った少女に、結衣はムッとする。
「じ、じゃあ、犬か猫だったらどっちが好き?」
「は? いきなりなんだよ。……まあ、そーだな……猫」
少し考えるような仕草をしたあと、少女はズバッと断言した。
それを聞いた結衣は、絶望しきった顔になる。
どう考えても犬の方が可愛いのに……
だが、結衣は諦めず、何か一つぐらい共通点がないかを確かめる。
「な、なら! インドアかアウトドアだったら!?」
「うおっ!? 急に大きな声出すなよ」
結衣がガタッと椅子を蹴って机を叩くと、少女はビクッと肩を震わせた。
だが、結衣は少女の声に取り合わず、少女の答えを待っている。
その視線を感じとった少女は、「そうだな……」と顎に手を当てて。
「インドアもいいが……どっちかって言うとアウトドアだな」
「なんで!?」
「なんでって言われてもなぁ!?」
「じゃ……じゃあ――!」
そんな二人のやり取りは、『おばけレストラン』が終わるまで続いた。
「だ、だって……! 急な出来事にびっくりしちゃって……」
結衣と少女は階段を降りて一階に着く。
そして軽く口論をしながら朝ごはんの準備をする。
と言っても、パンをトースターに入れ、その間に市販のヨーグルトと牛乳を冷蔵庫から出すだけという簡単なものだが。
それにしても、手馴れたものである。
休日は朝早く起きて、好きなアニメをリアタイで観るというルーティーンがあるおかげだろう。
「今日の『おばけレストラン』、どんな話があるんだろ……!」
そうワクワクした声色でテレビをつける。
『おばけレストラン』とは、子供向けのホラーアニメだ。
オカルト好きの結衣にとって、見逃せないアニメになっている。
「ほわああ……この待ち遠しい時間も大切だよね……!」
結衣は誰に言うでもなく零した。
すると、パンが焼き上がったようで、香ばしい匂いが漂う。
「あ、焼き上がったね。じゃあ食べようか」
パンをトースターから抜き、お皿に置いて持ってくる。
いい焼き具合で、こんがりとした優しい茶色だ。
「ふはー……パンはいいねぇ……朝はパンに限るよ……」
「そうか? 俺はどっちかって言うとご飯派だけどな」
結衣がパンを口に咥え、幸せそうに仏のような笑みを浮かべる。
すると、それに反抗するように、しぶしぶパンを手に取って少女は言う。
どこか結衣の考えや趣味嗜好を否定するように言った少女に、結衣はムッとする。
「じ、じゃあ、犬か猫だったらどっちが好き?」
「は? いきなりなんだよ。……まあ、そーだな……猫」
少し考えるような仕草をしたあと、少女はズバッと断言した。
それを聞いた結衣は、絶望しきった顔になる。
どう考えても犬の方が可愛いのに……
だが、結衣は諦めず、何か一つぐらい共通点がないかを確かめる。
「な、なら! インドアかアウトドアだったら!?」
「うおっ!? 急に大きな声出すなよ」
結衣がガタッと椅子を蹴って机を叩くと、少女はビクッと肩を震わせた。
だが、結衣は少女の声に取り合わず、少女の答えを待っている。
その視線を感じとった少女は、「そうだな……」と顎に手を当てて。
「インドアもいいが……どっちかって言うとアウトドアだな」
「なんで!?」
「なんでって言われてもなぁ!?」
「じゃ……じゃあ――!」
そんな二人のやり取りは、『おばけレストラン』が終わるまで続いた。
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