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第二章 似すぎている敵
一難去ってまた一難!?
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「あー、いたー!」
「もう、どこ行ってたの!?」
林を抜けると、グループの子たちが一斉に結衣たちに駆け寄る。
そしてふと、結衣の両隣にいる二人に気づく。
「え、だ、誰……?」
「っていうか右の子、結衣ちゃんに似てない?」
まあ、こうなることは結衣にもわかっていた。
みんなと一緒に肝試しをしていたはずなのに、結衣と明葉がいきなり消えたのだ。
そりゃ、グループの子たちが心配するわけである。
それに、知らない人がいきなり二人も現れたら、混乱するのも無理はない。
「あ、えーっと……」
「ハジメマシテ。紺條カスミと言いマス」
結衣がどう言おうか口ごもっていると、カスミが自己紹介を始めた。
「ミーは結衣サンの――“親友”デス♡」
「――はい!?」
満面の笑みで、結衣との関係性を二文字で言う。
そんなカスミの言葉に、結衣は驚きのあまり声が裏返る。
「な……ななな何言ってるの!?」
“親友”というワードが、カスミの口から出てくるとは思わなかった。
たしかに、結衣は“親友”が欲しいとは思っている。
だが……その……カスミとそういう関係性なのかと問われると、少し違うような気がする。
そもそも――
「わ、私……カスミちゃんのことそんなに知ってるわけじゃないし……その、“親友”とは言えない気が……」
と、申し訳なさそうに呟く。
“親友”という言葉には、昔から仲が良く、いつも一緒にいるような関係という感じが強い。
だけど、結衣とカスミはそれに当てはめようとすると、当てはまらないような気がするのだ。
「……結衣サンとは仲良しだと思ってたンデスガ……違うンデスカ……?」
「ふぇ!? ち、ちがっ……! そういうことじゃないんだけど……なんて言ったらいいのか……」
結衣が否定したことにより、カスミは今にも泣きそうな顔になる。
なぜカスミはこんなにも涙もろくなってしまったのか。
それとも、これこそが“素”なのか。
ともあれ、たじろがずにはいられなくなり、結衣は尻すぼみに――婉曲にカスミとは仲良しだと言った。
するとカスミはパァーっと顔を輝かせて、結衣に近づく。
「仲良しで“親友”がだめなら――“恋人”でどうデショウ?」
「はいぃ!? え、ちょっ……色々言いたいことはあるけど女の子同士でなんて――」
「え、二人ってそういう関係だったの?」
「そうなんだぁ~! お祝いしてあげるね!」
「いやあああやめてえええ!!」
カスミの奇想天外な発言によって。
グループの子たちはどこか楽しそうに、結衣は血の気が引きながら力いっぱい叫んだ。
そんな混沌な空間を遠くから眺めていた赤毛の少女は。
「なんかさっきも同じような展開なかったか……?」
もはや見慣れた様子で、ため息をついていた。
「もう、どこ行ってたの!?」
林を抜けると、グループの子たちが一斉に結衣たちに駆け寄る。
そしてふと、結衣の両隣にいる二人に気づく。
「え、だ、誰……?」
「っていうか右の子、結衣ちゃんに似てない?」
まあ、こうなることは結衣にもわかっていた。
みんなと一緒に肝試しをしていたはずなのに、結衣と明葉がいきなり消えたのだ。
そりゃ、グループの子たちが心配するわけである。
それに、知らない人がいきなり二人も現れたら、混乱するのも無理はない。
「あ、えーっと……」
「ハジメマシテ。紺條カスミと言いマス」
結衣がどう言おうか口ごもっていると、カスミが自己紹介を始めた。
「ミーは結衣サンの――“親友”デス♡」
「――はい!?」
満面の笑みで、結衣との関係性を二文字で言う。
そんなカスミの言葉に、結衣は驚きのあまり声が裏返る。
「な……ななな何言ってるの!?」
“親友”というワードが、カスミの口から出てくるとは思わなかった。
たしかに、結衣は“親友”が欲しいとは思っている。
だが……その……カスミとそういう関係性なのかと問われると、少し違うような気がする。
そもそも――
「わ、私……カスミちゃんのことそんなに知ってるわけじゃないし……その、“親友”とは言えない気が……」
と、申し訳なさそうに呟く。
“親友”という言葉には、昔から仲が良く、いつも一緒にいるような関係という感じが強い。
だけど、結衣とカスミはそれに当てはめようとすると、当てはまらないような気がするのだ。
「……結衣サンとは仲良しだと思ってたンデスガ……違うンデスカ……?」
「ふぇ!? ち、ちがっ……! そういうことじゃないんだけど……なんて言ったらいいのか……」
結衣が否定したことにより、カスミは今にも泣きそうな顔になる。
なぜカスミはこんなにも涙もろくなってしまったのか。
それとも、これこそが“素”なのか。
ともあれ、たじろがずにはいられなくなり、結衣は尻すぼみに――婉曲にカスミとは仲良しだと言った。
するとカスミはパァーっと顔を輝かせて、結衣に近づく。
「仲良しで“親友”がだめなら――“恋人”でどうデショウ?」
「はいぃ!? え、ちょっ……色々言いたいことはあるけど女の子同士でなんて――」
「え、二人ってそういう関係だったの?」
「そうなんだぁ~! お祝いしてあげるね!」
「いやあああやめてえええ!!」
カスミの奇想天外な発言によって。
グループの子たちはどこか楽しそうに、結衣は血の気が引きながら力いっぱい叫んだ。
そんな混沌な空間を遠くから眺めていた赤毛の少女は。
「なんかさっきも同じような展開なかったか……?」
もはや見慣れた様子で、ため息をついていた。
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